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第十章 幻夢

第67話 妖刀ニヒル

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ドワーフの里。
鍛冶屋を志す者や、冒険者なら誰もが知る腕利きの鍛冶屋が、立ち並ぶドワーフの隠れ里である。

ドワーフのミツヤにジンタンの剣を頼んでいたのだ。

道歩くドワーフ親子に尋ねる。

「すいませんねー。ご主人。
ここいらに、ミツヤっていないですかね?」

快くドワーフ親子は教えてくれる。

あ、幾つかあるドワーフの工房やお店の数件目にミツヤの工房があった。

「ミツヤ!聖騎士が尋ねて参った!」
わざとドアを多少乱暴にバンッと開ける。

「ハ、ハサンか?!
おー!良く来たな!」

ミツヤは丁度剣を打ち終えたとこだった。

「お前らが来ると思ってな、
予めあの後から剣を叩いていたのよ」
得意そうにミツヤは、今打ち終わったばかりの細身の長剣をジンタンに渡す。

一様に「おぉ~っ!」と声が上がる。

魔鉱石で作った日本刀のような長剣。

鋼が光って見え、その光の中にジンタンの顔が映り込んだ。

「この刀は恐ろしく切れますね。
名刀です。しかし、私の気が逸れると持っていかれますね。」

ジンタンはミツヤを鋭い眼光で見つめる。

「そう。これは妖刀ニヒル。
オマエの気が迷いに転じた時に、
この妖刀は、オマエを乗っ取る」

魔鉱石とは、アヤカシを倒した際に出る魔石を炉で溶かして再度冷やして加工した鉱石を指す。

よって練りに練られたアヤカシの念が宿り凝縮されるのだ。

その魔鉱石をから錬成した魔刀は
「妖刀」と呼ばれ禁断の秘術とされていた。

しかし、ミツヤは悟った。
魔を制する者こそ真の勝利者であると。

敢えてジンタンの素質にミツヤは賭けたのである。

妖刀はジンタンの心になびくかの如く再度キラリと光った。

ジンタンは妖刀ニヒルを手にする。

思わず俺の方が「ゴクッ」て
唾奇つばきを飲み込んでしまった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

早速ジンタンは試し切りをするみたいだ。

付近にアヤカシの気配を探してみるが、どうもいないみたい。

こんな時に限っていないみたいだね。

メリーが指差す。
あっちの方向に強いアヤカシの反応があります。

……ピリッッッ

確かに物凄い圧を感じる。
行ってみるか?

暫く進むとそこに現れたのはオークの巣。

チミャーッッッ!
グゥアァァァ!

オークとは、浅黒い肌、血走った眼、下顎から牙がはみ出ている武骨で醜悪なアヤカシだ。

太い棍棒を振り回しながら、オークは向かってくる。

ジンタンは静一眼に妖刀ニヒルを構える。

横一線!

「あ!いった!」
思わず叫ぶ。タンレン流剣殺法『流』が
オークの体に触れる。

オークは『あれ?』って顔をしている。

その瞬間に、真っ二つにオークの胴体を二分したのである。

す、すげー!

あっという間にオークを切り捨てる。

トホカミエミタメ
トホカミエミタメ

倶利伽羅剣で、オーク達の冥福を、祈る。

オークから見たら我々は侵略者かもしれないな。

倶利伽羅剣により浄化した魂は金色にキラキラ光りながら天に登っていった。
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