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第1章 賢者の世迷言
噂と疑惑
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町からは大分離れた山の麓に、山道からは離れ、肩まである草の茂みによって人の目からはあまり気付かれないような場所に、こじんまりとした木造家屋がある。そこへ、四人の冒険者パーティが今日も懲りずに訪れていた。
「ヨハンさん!お願いしまっス!俺等の師匠になって下さいっス!」
扉の前で、深々と頭を下げているリーダーのナパールに、メンバーは呆れ顔で見守っている。同じ光景を見るのは今日で4日目だからだ。
「ナパール、もう諦めようよ~」
「ええ、あの御老人は旅もできない様な年齢だと思うし」
メンバーの女魔術師と女格闘家が勧誘を止めるように説得するが、ナパールの意思は固い。
「いいや、ダメだ!今の俺達に足りないものをあの方は持っている!」
「力や上位魔法か?それをアテにされても困ると断られたのだろう?」
黙っていた相棒の剣士も痺れを切らして、座っていた切り株から立ち上がり帰り仕度を始めた。
「おや、また来ておったのか?懲りないのぅ」
声は建物とは反対の茂みから聞こえた。どうやら今日は屋内には最初から居なかったらしい。
ドタドタと、ナパールは慌てながらもヨハンに駆け寄った。
「よ、ヨハンさん!お願っ…」
「まぁ、待ちなさい。今日はメンバーにも意見を聞いてみようかのぅ。儂は八十四歳にもなる年寄りじゃ。冒険者では無いが、確かにそれなりに戦える。見たところ、お主達は中級…ギルドではBランクのパーティといった感じかの?」
ナパールの口を杖で制して、やや重装備のもう一人の剣士に聞いてみた。
「ああ。確かに今はBランクだ。Aランクにはあと少しといった位置にいる」
冒険者ギルドには、冒険者個人、冒険者パーティ、以来クエストにS・A・B・C・D・E・Fという順番にランクがつけられている。冒険者自体のランクはクエストの達成度やレベルに応じて決まる。パーティの場合は平均レベルとクエストの攻略数と達成度、昇段試験がある。
「ふむ。ならば、先ずはAランクになる事じゃな。Aランクに成ったら、王都から北東の山岳部にあるミルコムという集落を訪ねなさい。そこでは試練が与えられる。見事達成したあかつきには、お主達を弟子として認めても良いぞ。もちろん、全員が試練を受ける気があるのならばじゃが」
ヨハンは、ナパール以外は自分を必要としていないと思いながらも、全員に認めてあげる為の試練を用意することにした。
「ナパールと違い我々は、別に貴方を師と仰ぐ気持ちは無い。失礼は承知で言わせてもらうが、貴方がいくら強くとも、そう高齢であれば学ぶ事よりも介護に時間を取られそうだ」
ナパールは、仲間達に抗議しようと必死にもがくが、口に当てられたヨハンの杖によって全く動けない。
「うむ。もっともな意見じゃな。儂は別に構わんよ。じゃが、とりあえずコレを渡して置くかの」
ヨハンは亜空間を開いて、何かを取り出すと剣士に渡す。
「これは…?」
「韋駄天の首飾りじゃ。魔力を込めると発動する。魔力を込めている間は音速の速さで動く事が可能じゃ。使用限界は5回。超えると壊れるじゃろう。しかも、呪いが掛かっておる。使用後は、丸一日体重が10倍になる」
呪いと聞いて、彼は思わず落としそうになった。もちろん、持っているだけで掛かる呪いの類いでは無いので安心してほしい。
「使い方は自由じゃが、あくまで逃走用として使って欲しいのぅ。まぁ、儂の試練を受けるなら、必要になるじゃろうからな」
ヨハンは杖を離し、ナパールを自由にしてあげると、彼はすぐさまメンバーに抗議する。
「ザイード、メグ、アンナ、頼むよ!このまま上を目指すだけじゃ駄目なんだ!ただ何でも依頼をこなす何でも屋の冒険者じゃ無く、俺達が目指すのは魔王を倒す勇者パーティだろ⁈ただ強くなるだけじゃなく、あらゆる知識と知恵が必要なんだって!」
ナパールの必死の説得に、剣士のザイードは少し考えた後、受け取った首飾りをナパールに手渡す。
「お前の言い分も分かる。分かるが、その人、いや、賢者様は駄目だ」
「何でだよ⁈」
「お前は知らないかもしれないが、巷では今、賢者様の噂が広まっている」
「噂?」
「ああ。かつて世界各地に広がった疫病と飢饉は、実は賢者達によって引き起こったものだとな」
「はぁ?そんな訳無いだろ!あの時、賢者様達が各地を回ったおかげで被害が少なく収まったんじゃねーか!」
「先日の石化病の時も、あらかじめ金の針を売り込む為だけに、コカトリスを集めてたんじゃないかとかな。他にも、今まで上げた功績は全て自作自演の可能性があるって感じの噂がある」
ナパールは愕然としていた。何をどう考えればそんな発想になるのか。事実、疫病で苦しんでいる所を助けられた人もいる。飢饉による食料困難に、他国からの支援を取り繋いだ事も。コカトリスの件だって、たかだか200Gの金の針を売る為だけに危険なコカトリスを集めて放ったと言うのか⁈
「そんな訳無いだろ!お前だって、金の針が無ければ、賢者様が現れ無ければ、死んでたんだぞ⁉︎」
「ああ。それは感謝している。しかし、この噂はこの町だけじゃない。今朝、商業ギルドの友人から聞いたんだ。世界各地で噂になってるってな」
全員の視線がヨハンに向けられる。ナパールの違いますよね?という訴えの視線が。
「ふむ。どうやら動き出した様じゃの。隠居生活も終わりか」
ヨハンは溜め息を吐くと、左手の小指に嵌めていた翡翠の指輪を外す。
「えーーーー⁇」
ナパール達は驚愕して固まった。
指輪を外した途端、ヨハンの姿が若返ったのだ。20代後半くらいで、背もナパールと同じくらいの逞しい成人男性に。
「だ、誰だアンタ⁉︎」
「失礼だな。ヨハンだよ。ヨハン=アシュミード。それに、若返ったんじゃなくて、元の姿に戻っただけだからね。歳は八十四歳のままだし。この指輪の呪いを利用して、年相応に化けていただけだよ」
声色も口調も若くなり、とても同一人物には見えない。
「もしかして、不老…?」
「正解。人前で歳を重ねて変化が無いのは怖い事だからね。あえて歳をとるように化けていたのさ」
ナパール達が状況を飲み込めないでいると、茂みが突然ガサガサと揺れ出した。やがて人型になり、顔の部分が美しい女性になる。
「おや?久しぶりだね」
『やっと見つけた。ヨハン=アシュミード。今まで何処にいた?世界中を探していたのだぞ』
「すまないね、サリマドール。姿を変えて余生をおくるつもりだったのさ」
ナパール達は二人目の賢者の登場に、息を潜めて話を聞く事にした。
『今、各地で争いが誘発している。主に人間の国だが、隣国の兵士が現れて住民を襲っているようだ。不可侵条約は破られたと、戦争を起こしそうな勢いだ』
「何処も条約期間中で、安心しきっていただろうからな」
『襲った兵士は常軌を逸している奴等ばかりで、その中には屍人も紛れているらしい。おそらく、魔王達の差し金だろう。そう思って魔王達も調べてみたら、案の定集まって何やら計画していた。眷属が着いた場所が悪かったらしく、計画内容ははっきりとは分からないが、魔王全員が我々賢者に対して何やら協力しているみたいだ』
「だとすると、町で広まっている噂も魔王達の計画の一つかもね」
ヨハンは少し考えて、サリマドールに一つ頼み事をすることにした。
「サリマドール、私は今からこの国の国王に挨拶に行く事にするよ。すまないが、嫁のフィリアに王都まで迎えに来るように伝えておいてくれないか?」
『フィリアに?いいだろう、ではまた後でな』
サリマドールを模った草の茂みは、軽い風を起こして元の姿に戻っていった。
「さてと、私も向かうとしよう。ああ、ナパール君、どうやら私は今から忙しくなりそうなんだ。でも、まだ弟子になりたいと願うならば、先の約束を果たした後に逢いに来てくれ」
ヨハンは、再び翡翠の指輪を取り出して指に嵌めて老人へと変わる。
「え、あ、はい!もちろんです!」
目まぐるしく変わる状況に、ナパールは混乱しながらもヨハンに気持ちを伝える。
「うむ。では、達者でな?」
ヨハンは、縦長の亜空間を創り出してその中へと消えた。残されたナパール達はお互いに顔を見合わせる。
「つまり…何?世界中で戦争が始まるって事?」
「魔王達がどうたらって…やだ、怖い」
「要は恐ろしい魔王達がたった三人の賢者達に喧嘩売ったって事だろ?世界を巻き込むなんて本気で笑えない」
「大丈夫!きっとヨハン様が何とかしてくれる筈!多分…」
不安になる気持ちを抑え、ナパールは両頬を自ら叩いて気合いを入れる。
「俺達は俺達のやるべきことをやるだけだ!」
決意を固めたナパールに、メンバーもそうだなと絆を強めるのだった。
「ヨハンさん!お願いしまっス!俺等の師匠になって下さいっス!」
扉の前で、深々と頭を下げているリーダーのナパールに、メンバーは呆れ顔で見守っている。同じ光景を見るのは今日で4日目だからだ。
「ナパール、もう諦めようよ~」
「ええ、あの御老人は旅もできない様な年齢だと思うし」
メンバーの女魔術師と女格闘家が勧誘を止めるように説得するが、ナパールの意思は固い。
「いいや、ダメだ!今の俺達に足りないものをあの方は持っている!」
「力や上位魔法か?それをアテにされても困ると断られたのだろう?」
黙っていた相棒の剣士も痺れを切らして、座っていた切り株から立ち上がり帰り仕度を始めた。
「おや、また来ておったのか?懲りないのぅ」
声は建物とは反対の茂みから聞こえた。どうやら今日は屋内には最初から居なかったらしい。
ドタドタと、ナパールは慌てながらもヨハンに駆け寄った。
「よ、ヨハンさん!お願っ…」
「まぁ、待ちなさい。今日はメンバーにも意見を聞いてみようかのぅ。儂は八十四歳にもなる年寄りじゃ。冒険者では無いが、確かにそれなりに戦える。見たところ、お主達は中級…ギルドではBランクのパーティといった感じかの?」
ナパールの口を杖で制して、やや重装備のもう一人の剣士に聞いてみた。
「ああ。確かに今はBランクだ。Aランクにはあと少しといった位置にいる」
冒険者ギルドには、冒険者個人、冒険者パーティ、以来クエストにS・A・B・C・D・E・Fという順番にランクがつけられている。冒険者自体のランクはクエストの達成度やレベルに応じて決まる。パーティの場合は平均レベルとクエストの攻略数と達成度、昇段試験がある。
「ふむ。ならば、先ずはAランクになる事じゃな。Aランクに成ったら、王都から北東の山岳部にあるミルコムという集落を訪ねなさい。そこでは試練が与えられる。見事達成したあかつきには、お主達を弟子として認めても良いぞ。もちろん、全員が試練を受ける気があるのならばじゃが」
ヨハンは、ナパール以外は自分を必要としていないと思いながらも、全員に認めてあげる為の試練を用意することにした。
「ナパールと違い我々は、別に貴方を師と仰ぐ気持ちは無い。失礼は承知で言わせてもらうが、貴方がいくら強くとも、そう高齢であれば学ぶ事よりも介護に時間を取られそうだ」
ナパールは、仲間達に抗議しようと必死にもがくが、口に当てられたヨハンの杖によって全く動けない。
「うむ。もっともな意見じゃな。儂は別に構わんよ。じゃが、とりあえずコレを渡して置くかの」
ヨハンは亜空間を開いて、何かを取り出すと剣士に渡す。
「これは…?」
「韋駄天の首飾りじゃ。魔力を込めると発動する。魔力を込めている間は音速の速さで動く事が可能じゃ。使用限界は5回。超えると壊れるじゃろう。しかも、呪いが掛かっておる。使用後は、丸一日体重が10倍になる」
呪いと聞いて、彼は思わず落としそうになった。もちろん、持っているだけで掛かる呪いの類いでは無いので安心してほしい。
「使い方は自由じゃが、あくまで逃走用として使って欲しいのぅ。まぁ、儂の試練を受けるなら、必要になるじゃろうからな」
ヨハンは杖を離し、ナパールを自由にしてあげると、彼はすぐさまメンバーに抗議する。
「ザイード、メグ、アンナ、頼むよ!このまま上を目指すだけじゃ駄目なんだ!ただ何でも依頼をこなす何でも屋の冒険者じゃ無く、俺達が目指すのは魔王を倒す勇者パーティだろ⁈ただ強くなるだけじゃなく、あらゆる知識と知恵が必要なんだって!」
ナパールの必死の説得に、剣士のザイードは少し考えた後、受け取った首飾りをナパールに手渡す。
「お前の言い分も分かる。分かるが、その人、いや、賢者様は駄目だ」
「何でだよ⁈」
「お前は知らないかもしれないが、巷では今、賢者様の噂が広まっている」
「噂?」
「ああ。かつて世界各地に広がった疫病と飢饉は、実は賢者達によって引き起こったものだとな」
「はぁ?そんな訳無いだろ!あの時、賢者様達が各地を回ったおかげで被害が少なく収まったんじゃねーか!」
「先日の石化病の時も、あらかじめ金の針を売り込む為だけに、コカトリスを集めてたんじゃないかとかな。他にも、今まで上げた功績は全て自作自演の可能性があるって感じの噂がある」
ナパールは愕然としていた。何をどう考えればそんな発想になるのか。事実、疫病で苦しんでいる所を助けられた人もいる。飢饉による食料困難に、他国からの支援を取り繋いだ事も。コカトリスの件だって、たかだか200Gの金の針を売る為だけに危険なコカトリスを集めて放ったと言うのか⁈
「そんな訳無いだろ!お前だって、金の針が無ければ、賢者様が現れ無ければ、死んでたんだぞ⁉︎」
「ああ。それは感謝している。しかし、この噂はこの町だけじゃない。今朝、商業ギルドの友人から聞いたんだ。世界各地で噂になってるってな」
全員の視線がヨハンに向けられる。ナパールの違いますよね?という訴えの視線が。
「ふむ。どうやら動き出した様じゃの。隠居生活も終わりか」
ヨハンは溜め息を吐くと、左手の小指に嵌めていた翡翠の指輪を外す。
「えーーーー⁇」
ナパール達は驚愕して固まった。
指輪を外した途端、ヨハンの姿が若返ったのだ。20代後半くらいで、背もナパールと同じくらいの逞しい成人男性に。
「だ、誰だアンタ⁉︎」
「失礼だな。ヨハンだよ。ヨハン=アシュミード。それに、若返ったんじゃなくて、元の姿に戻っただけだからね。歳は八十四歳のままだし。この指輪の呪いを利用して、年相応に化けていただけだよ」
声色も口調も若くなり、とても同一人物には見えない。
「もしかして、不老…?」
「正解。人前で歳を重ねて変化が無いのは怖い事だからね。あえて歳をとるように化けていたのさ」
ナパール達が状況を飲み込めないでいると、茂みが突然ガサガサと揺れ出した。やがて人型になり、顔の部分が美しい女性になる。
「おや?久しぶりだね」
『やっと見つけた。ヨハン=アシュミード。今まで何処にいた?世界中を探していたのだぞ』
「すまないね、サリマドール。姿を変えて余生をおくるつもりだったのさ」
ナパール達は二人目の賢者の登場に、息を潜めて話を聞く事にした。
『今、各地で争いが誘発している。主に人間の国だが、隣国の兵士が現れて住民を襲っているようだ。不可侵条約は破られたと、戦争を起こしそうな勢いだ』
「何処も条約期間中で、安心しきっていただろうからな」
『襲った兵士は常軌を逸している奴等ばかりで、その中には屍人も紛れているらしい。おそらく、魔王達の差し金だろう。そう思って魔王達も調べてみたら、案の定集まって何やら計画していた。眷属が着いた場所が悪かったらしく、計画内容ははっきりとは分からないが、魔王全員が我々賢者に対して何やら協力しているみたいだ』
「だとすると、町で広まっている噂も魔王達の計画の一つかもね」
ヨハンは少し考えて、サリマドールに一つ頼み事をすることにした。
「サリマドール、私は今からこの国の国王に挨拶に行く事にするよ。すまないが、嫁のフィリアに王都まで迎えに来るように伝えておいてくれないか?」
『フィリアに?いいだろう、ではまた後でな』
サリマドールを模った草の茂みは、軽い風を起こして元の姿に戻っていった。
「さてと、私も向かうとしよう。ああ、ナパール君、どうやら私は今から忙しくなりそうなんだ。でも、まだ弟子になりたいと願うならば、先の約束を果たした後に逢いに来てくれ」
ヨハンは、再び翡翠の指輪を取り出して指に嵌めて老人へと変わる。
「え、あ、はい!もちろんです!」
目まぐるしく変わる状況に、ナパールは混乱しながらもヨハンに気持ちを伝える。
「うむ。では、達者でな?」
ヨハンは、縦長の亜空間を創り出してその中へと消えた。残されたナパール達はお互いに顔を見合わせる。
「つまり…何?世界中で戦争が始まるって事?」
「魔王達がどうたらって…やだ、怖い」
「要は恐ろしい魔王達がたった三人の賢者達に喧嘩売ったって事だろ?世界を巻き込むなんて本気で笑えない」
「大丈夫!きっとヨハン様が何とかしてくれる筈!多分…」
不安になる気持ちを抑え、ナパールは両頬を自ら叩いて気合いを入れる。
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