【完結】スキルが美味しいって知らなかったよ⁈

テルボン

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第13章 初顔合わせにドキドキですよ⁈

189話 完成 浮遊邸

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 浮遊邸建設5日目。
 粘土瓦を皆んなで乗せ終えて、住居棟・大食堂・大浴場は完成した。
 だが、流石にアラヤの生産速度に限界が来ていた。生産、加工、建築と1人で何役もこなすのは無理がある。
 来賓館の内装用の珪藻土を塗り付けていたアラヤは、飼育場の資材が足りないと連絡を受けてフゥと一息ついた。

「オードリー達が作業工程は覚えましたから、アラヤ君は生産、加工に専念して下さい」

「うん、仕方ないね。きっと、皆んなの作業速度が上がったからだろうし、難しい箇所も大体終わっている。後一踏ん張りって感じだ。仕上げは皆んなに任せて、俺は残りの資材を一気に作るとするよ」

「それなら、我々も出来る範囲で手伝わせてくれ」

 アラヤ達の下にエルフ達がやって来た。というのも、今日はファウンロドや村人達が大精霊エアリエルに会いに来ていたのだ。
 浮遊邸の下に居た筈のエアリエルは、どうやら村人達を風で浮かせて乗せたらしい。

『我も流石に待つのに飽きてきた。其方達も加勢をするが良い』

 村人達の多くは、大精霊を匿っていた事すら知らなかったのだが、村長が代わった際に全て知らされたのだ。
 その美しさと神々しさを一目見ようと集まった村人達は、彼女の突然の手伝いしてこい発言にも関わらず、「はい!喜んで!」とその気になっていた。きっと魅了されたのだろう。

「せっかくだし、俺はイシルウェの手伝いがしたいな」

 ファウンロドは、流石に魅了されていないようだが、イシルウェの頑張る姿を見て協力的になってくれた。

「皆んなありがとう」

 人手が増えた事で一気に作業が進む。自由になったエアリエルは、早く出発したいのだろう。彼女まで風を使って資材を運び出した。

「イシルウェ、村長…じゃなかった、姉さんはどうした?今日も村から出て行った様だが、来ていないのか?」

 来賓館の居間。ファウンロドが、天井板をイシルウェに渡しながら尋ねると、彼は少し手を止めて飼育場を指差した。

「…今日もチャコに会いに来ているよ。このところ、精霊の扱い方等を教えてくれている様だ」

「それはまた、どういう心境なのかね?」

「分からないが、少なくともチャコは喜んでいるみたいだ。私には軽く笑顔を見せるだけで、無理に近寄ろうとはしない」

 彼のその表情を見たファウンロドは、眉を寄せる。

「何だ、まさか寂しいのか?」

「そんな訳は無い。チャコの心配をしているだけさ」

 そんな感情は無いと首を横に振り、イシルウェは再び作業を始めた。
 その飼育場ではハウン達が作業していて、その作業の邪魔にならない様に、馬達はチャコが、飛竜や従魔はアフティが離れた場所で面倒を見ていた。そこに、当然のようにアルディスも居る。

「このペースだと、明後日には出発になりそうね…」

「パパのお姉ちゃん、もう会えないの?」

「ええ、そうなるでしょうね。チャコちゃんの身体の中の魔力の負荷も安定したし、精霊達とも仲良くなれたみたいだから、私の役目は終わったわ」

 チャコの身体は加護の負荷に耐え切った。風の大精霊の加護により、成人してからの不老と長寿は約束された。見た目は幼女だが、エルフ同様に風精霊に愛され、人間(ノーマル)よりも魔力は高く、森での身体能力は上がっている。つまり、見た目は幼女でも中身はエルフなのだ。

「嫌だよ、そんなの。チャコ、アラヤさんに頼んでみる!」

 櫛で、背中の毛をブラッシングされていた馬達は、チャコの声でビクッと驚きオドオドしている。

「ダメよ。アラヤ様達は良くても、イシルウェが賛成しないわ」

 半泣き状態のチャコを宥めながら、アルディスはハウンを横目で見る。ずっと彼女に監視されている事は分かっている。

(後は風精霊モース次第ね…)

 アルディスのパートナーのモースは、エアリエルと共に資材運びを手伝っていた。

『モース、我に何か頼みたい事でもあるのか?』

 彼女に全てを見据えているかの様な眼差しで見られ、モースはコクンと頷いた。

『実は…』



 2日後の夕方、とうとう全ての建物が完成した。家具も並べ、直ぐにでも生活を始める事が可能だ。

「皆んなお疲れ様!皆んなの協力で遂に完成する事ができたよ。明日はいよいよ出発できる。皆んなの協力に感謝の意を込めて、今晩は豪勢に行こう!思いっきり飲んで食べてくれ、乾杯!」

 大食堂に集まった参加者のエルフ達は、机に並べられた見た事も無い料理と果実酒に、舌鼓を打っている。

「外の世界の料理には、いろんなソースや食材があるのだな」

 ファウンロドは、カンブ汁(昆布汁)とキラースクイッドの刺身(イカの刺身)が特に気に入った様だ。
 森の住人であるエルフにとって、海の幸は初めての体験だろうなぁ。
 今回の料理で、葡萄酒ワインと魚介類の食材は全て使い切ったみたいだ。また補充しないとね。

 食事会が終わり、村人達がエアリエルに挨拶をしてから帰り始めると、ファウンロドが妹のディニエルを連れて来た。

「アラヤ君、折行って頼みがあるのだが、妹を、ディニエルを預かってもらえないだろうか?」

「ええ⁈どうして?」

「ディニエルは、村ではまだ聾唖の子という認識だ。急に治ったとは誰も信じないから、村に居ても自由に動けない。それなら、これを機会に君達と外の世界を見てみるのが良いと考えたんだ」

「私からも、おねがいし、ます…」

 これは、治した自分にも責任はある。本人も嫌々村から出たいとかじゃなく、外の世界の興味はあるみたいだ。
 嫁達を見ると、拒否する様な態度は出さないので、許可を得たと判断する。

「分かった。でも、どれくらいで村に帰すべき?だって、ファウンロドも寂しいでしょ?」

「ハハハ、そりゃぁね。でも、5年や10年は短いからね。偶に顔を見せに来てくれれば、妹の気に済むまでで構わないよ。もちろん、君達が良ければだけどね」

 可愛い子には旅をさせろ的な感じで言っているのかもしれないが、5年や10年は短く無いと思うけどね。

『ちょっとその話、私も参加させてもらって良いかな?』

 現れたのはモースで、彼女の後ろに何故かエアリエルも居る。

「君が参加って、どういう事かな?」

『正確には私達かな』

『そこは我から説明しよう。要は早い話、我の世話係として同乗させよという事だ』

 エアリエルの両隣には、2人の土精霊居が居てニコニコしている。

「分かりました。そういう事でしたら、精霊達も預かりましょう」

 彼女の笑顔を見ると、アラヤも土精霊同様にニコニコしてしまう。それは確かに無理もない、彼女の完璧な美しさの前には、争い事は無くなるだけなのだ。

『精霊達の総監督役として、アルディスを私のお付きに任命する』

 名前が上がって直ぐに、アルディスが現れる。イシルウェは、彼女から徐々に離れて距離をとる。

「何故に姉さんを?おそらくは、アラヤ殿でも充分に精霊達を率いる事が出来ると思いますが?」

 拒否りたいイシルウェは、わざわざアルディスを呼ぶ必要は無いと言う。そのせいで、アルディスは少しだけ暗い表情を見せる。

「お姉ちゃんも一緒が良いです!」

 その言葉に、今度はイシルウェが暗い表情を見せる。娘は、すっかり悪魔と仲良くなってしまった様だ。

「分かりました。では、居候扱いとして同乗を許可しましょう」

 イシルウェには悪いが、アラヤ達には無害なので良しとした。それに、嫁達が反論しないあたり、計画に加担していた可能性もあるからね。

「そうと決まれば、彼女達の部屋も決めなきゃね。ハウン達と同じ住居棟の一階に、話し合って決めれば良いよ」

「ありがとうございます」

 良かったなと、ファウンロドはディニエルの頭を撫でている。それを見たアルディスが、一瞬だけウズウズした様な表情を見せた気がしたが、チャコに良かったと笑顔を見せられ笑顔になっていた。気のせいだったかな?

「さぁ、明日はいよいよ出発だ!」

 アラヤ達は再びコップを持ち、各々が期待を胸に祝杯をあげるのだった。
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