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第七話 極秘作戦
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そんなこんなで、オスカーの部隊が王都に帰って来てから、三ヶ月。
オスカーの部隊の様子が慌ただしくなってきた。
ナディア達侍女には職務上の機密のため詳しくは知らされていないが、部隊の騎士たちが忙しそうにしているのだった。そして、オスカーよりしばらく執務室の掃除は要らないと伝えられたのだった。
それ以外の場所での掃除にナディア達は励み、執務室の掃除はしないものの、オスカーが詰所に居る時は相変わらずナディアにお菓子を持ってきて渡してくれ、二三言、言葉を交わす。オスカーはかなり忙しいようで、ナディアを家に送れない代わりに、自分の部隊の者に家へ送るよう頼んでくれたのだった。
そうこうするうちに、オスカーよりしばらく作戦のため詰所には戻れないと知らされる。その真剣な顔に仕事のペアでもあるミリアは目つきの怖さに震え、ナディアはオスカーの身を案じる。
「オスカー様、ご無事にお戻りください」
オスカーを見つめるナディアの目に心底オスカーを心配している様子が伺え、強すぎるオスカーに親以外にそのようなことを言うものが居ないこともあり、オスカーはナディアにそう言われたことに驚き、目を見開き固まるのだった。
オスカーが固まる姿などナディアに出会うまで見たことのなかったジョンは思わず吹き出す。
「ナディアちゃん、オスカーにそんなこと言う人親兄弟以外に居ないよ。戦帝だからね。驚きのあまり固まるオスカーなんてなかなか見れないよ。レアだね」
「ジョン、余計な事言うな!!」
「オスカー、焦ってる? 大好きなナディアちゃんの前で良い格好したい?」
顔を赤くしたオスカーが顔を背けるのだった。そんなオスカーの姿が今まで想像したこともなかったので、思わずナディアもミリアも驚く。
「……戦帝を照れさせるなんて、ナディアってば……」
照れるオスカーを見たミリアは思わずつぶやく。
戦帝オスカーは周りに女性を置かないため国と結婚したと一部の者に言われているオスカーの心を動かしたナディアに思わず感嘆する。
「私、何をしたのでしょうか?」
ナディアはナディアでただ仕事を真面目にしていただけなので、好きになられる要素なんて全くなかったので、オスカーの様子に困った様子を見せる。
ジョンは面白がってオスカーの真っ赤な顔を指で突く。
「ナディアちゃん、オスカーは初恋過ぎて、如何していいのかわからないらしいし、普段強面のこいつがこんな顔をさせられるのは、君だ……ゥグゥグ」
ペラペラしゃべるジョンの口を慌ててオスカーが塞ぐ。
「ジョン、余計なこと言うな!! こんな俺が好いているなんて迷惑になる!!」
そう言い切ったオスカーは、ハッとして、慌てて自分の口を両手で塞ぎ、周りを見渡す。
オスカーの告白に、ナディアとミリアは驚き、ジョンは爆笑する。
「オスカー!!それ、ナディアちゃんが好きって言ってるのと同じじゃん。」
しまったとバツの悪そうな顔をしてシュンとするオスカーになぜかナディアは無いはずのしょぼくれた犬の耳と尻尾が見えた気がするのだった。
(グラフトン様って、かわいい……)
ナディアがオスカーをかわいいと思うと同時にオスカーが普段見せることの無い姿を見せていることに胸がキュンとする。
オスカーは気を取り直し、身なりを整え、自分の顔をパシッと叩いて喝を入れ、ナディアの前にやってきてナディアの手を取り、ひざまずく。
「ナ、ナディア嬢……この度の作戦が終わり無事に帰還した暁には、結婚していただきたい!!」
いきなりプロポーズをかましたオスカーにジョンはキックをお見舞いする。オスカーは地面へと吹っ飛ばされる。
オスカーは慌てて体を起こし、ジョンを殺しそうな目で見るのだった。呆れ顔のジョン。
「お前、アホか!! まずは交際だろ。交際を申し込むもんだろ」
ナディアもミリアもうなづく。ナディアはオスカーを見つめる。
「グラフトン様、いきなり結婚は難しいかと……第一私はもう貴族でもありませんし……家柄の問題もあるかと思います。第一、私のどこがお気に召したのかわかりません」
オスカーは立ち上がって、ナディアのそばに戻ってくるのだった。
「ナディア嬢、申し訳ない。間違えてしまった。改めて、言い直させてほしい。」
「グラフトン様……」
改めて、オスカーは真剣な表情で姿勢を整えて、ナディアの前で跪く。
「ナディア嬢、私を見つめるあなたの瞳に惚れました。最初はそれがきっかけだったと思う。しかし、私を見た目だけで判断せず、接してくれるあなたのことが好きになってしまった。作戦が終わって帰ってきたら、結婚を前提にお付き合いしてください。私は貴族出身だが、跡継ぎではないし、功績もあるから誰と結婚しようとも文句を言わさない。いかがだろうか?」
膝をついたオスカーが自信なさげに伺うようにナディアを見上げた。その姿にナディアはドキッとする。普段は冷静で感情を見せることがないと言われているオスカーの自信なさげな姿を見て、助けてあげたくなったのだった。
「グラフトン様、私、グラフトン様が私を思ってくださるほど、気持ちをお返しすることはできないかもしれません。好きと言う感情がわからないもので……でも、グラフトン様をお助けしたいです。まずお友達から……」
と言いかけたナディアはオスカーの目に悲しみが現れたことに動揺してしまう。オスカーにそんな悲しい顔をさせたくない……と思い、言い直す。
「グラフトン様、まずお付き合いから始めさせていただけませんか? 結婚するつもりがなかったので、いきなり結婚前提だと、私も難しいですし、いろいろなグラフトン様を知ってからでもいいでしょうか?」
お友達から始めるのではなく、お付き合いから始まることをナディアが提案したことに喜ぶオスカーは首をブンブンとすごい勢いで縦に振る。
「もちろん、喜んで。ありがとう。それからナディアと呼んでも?」
お付き合いを了承したとたんオスカーはナディアに名前で読んでも良いか尋ねるのだった。
「ええ、もちろん呼んでください、グラフトン様」
ナディアはにっこりと微笑みながら許可するのだった。
「じゃあ、ナディアにも私のことを名前で呼んでほしい」
そう言って、オスカーは立ち上がり、嬉しそうにナディアを見つめるのだった。ナディアはいきなり名前呼びはハードルが高いと思うものの、オスカーに喜んで貰いたくて、呼ぼうと思うのだった。
「わかりました。オ……オスカー様……」
「いや、様は要らない。オスカーって呼んでくれないか?」
「オスカー……様……やっぱり、様なしでは、難しいです」
ナディアの困った様子に困らせるつもりのなかったオスカーは慌てる。
「ナ、ナディアの呼びやすいように呼んでくれたらいいんだ。無理を言って済まない」
そう言って、オスカーは慌てて頭を下げる。それを見たナディアも慌てて頭を下げる。
「いえ、私の方こそ、申し訳ありません」
それを見たジョンとミリアが笑いそうになる。いや、ジョンは笑ってる。
「オスカーの慌てる姿なんてレアだね。オスカーの心をここまで動かせる人間なんて今まで居なかったからすごいなぁ」
「そんなにグラフトン様は心を動かされることがなかったのですか?」
尋ねたミリアに笑ったままのジョンは答えた。
「ないね。いつでも冷静で……感情が欠落してるとまでは言わないが、昔から冷静沈着。だからこそ、騎士団でこの地位まで来れたんだと思う。遅い春が来たことを親友としては喜んでるよ」
「そうだったんですね。グラフトン様の様子を見て面白がってるのかと思ってました」
「面白がってる所もあるよ。子供の頃から見たことのないオスカーをこの数か月でいろいろ見たから」
そう言って、ジョンがオスカーに目を移す。
そこにはナディアを嬉しそうに見つめるオスカーがいるのだった。
オスカーの部隊の様子が慌ただしくなってきた。
ナディア達侍女には職務上の機密のため詳しくは知らされていないが、部隊の騎士たちが忙しそうにしているのだった。そして、オスカーよりしばらく執務室の掃除は要らないと伝えられたのだった。
それ以外の場所での掃除にナディア達は励み、執務室の掃除はしないものの、オスカーが詰所に居る時は相変わらずナディアにお菓子を持ってきて渡してくれ、二三言、言葉を交わす。オスカーはかなり忙しいようで、ナディアを家に送れない代わりに、自分の部隊の者に家へ送るよう頼んでくれたのだった。
そうこうするうちに、オスカーよりしばらく作戦のため詰所には戻れないと知らされる。その真剣な顔に仕事のペアでもあるミリアは目つきの怖さに震え、ナディアはオスカーの身を案じる。
「オスカー様、ご無事にお戻りください」
オスカーを見つめるナディアの目に心底オスカーを心配している様子が伺え、強すぎるオスカーに親以外にそのようなことを言うものが居ないこともあり、オスカーはナディアにそう言われたことに驚き、目を見開き固まるのだった。
オスカーが固まる姿などナディアに出会うまで見たことのなかったジョンは思わず吹き出す。
「ナディアちゃん、オスカーにそんなこと言う人親兄弟以外に居ないよ。戦帝だからね。驚きのあまり固まるオスカーなんてなかなか見れないよ。レアだね」
「ジョン、余計な事言うな!!」
「オスカー、焦ってる? 大好きなナディアちゃんの前で良い格好したい?」
顔を赤くしたオスカーが顔を背けるのだった。そんなオスカーの姿が今まで想像したこともなかったので、思わずナディアもミリアも驚く。
「……戦帝を照れさせるなんて、ナディアってば……」
照れるオスカーを見たミリアは思わずつぶやく。
戦帝オスカーは周りに女性を置かないため国と結婚したと一部の者に言われているオスカーの心を動かしたナディアに思わず感嘆する。
「私、何をしたのでしょうか?」
ナディアはナディアでただ仕事を真面目にしていただけなので、好きになられる要素なんて全くなかったので、オスカーの様子に困った様子を見せる。
ジョンは面白がってオスカーの真っ赤な顔を指で突く。
「ナディアちゃん、オスカーは初恋過ぎて、如何していいのかわからないらしいし、普段強面のこいつがこんな顔をさせられるのは、君だ……ゥグゥグ」
ペラペラしゃべるジョンの口を慌ててオスカーが塞ぐ。
「ジョン、余計なこと言うな!! こんな俺が好いているなんて迷惑になる!!」
そう言い切ったオスカーは、ハッとして、慌てて自分の口を両手で塞ぎ、周りを見渡す。
オスカーの告白に、ナディアとミリアは驚き、ジョンは爆笑する。
「オスカー!!それ、ナディアちゃんが好きって言ってるのと同じじゃん。」
しまったとバツの悪そうな顔をしてシュンとするオスカーになぜかナディアは無いはずのしょぼくれた犬の耳と尻尾が見えた気がするのだった。
(グラフトン様って、かわいい……)
ナディアがオスカーをかわいいと思うと同時にオスカーが普段見せることの無い姿を見せていることに胸がキュンとする。
オスカーは気を取り直し、身なりを整え、自分の顔をパシッと叩いて喝を入れ、ナディアの前にやってきてナディアの手を取り、ひざまずく。
「ナ、ナディア嬢……この度の作戦が終わり無事に帰還した暁には、結婚していただきたい!!」
いきなりプロポーズをかましたオスカーにジョンはキックをお見舞いする。オスカーは地面へと吹っ飛ばされる。
オスカーは慌てて体を起こし、ジョンを殺しそうな目で見るのだった。呆れ顔のジョン。
「お前、アホか!! まずは交際だろ。交際を申し込むもんだろ」
ナディアもミリアもうなづく。ナディアはオスカーを見つめる。
「グラフトン様、いきなり結婚は難しいかと……第一私はもう貴族でもありませんし……家柄の問題もあるかと思います。第一、私のどこがお気に召したのかわかりません」
オスカーは立ち上がって、ナディアのそばに戻ってくるのだった。
「ナディア嬢、申し訳ない。間違えてしまった。改めて、言い直させてほしい。」
「グラフトン様……」
改めて、オスカーは真剣な表情で姿勢を整えて、ナディアの前で跪く。
「ナディア嬢、私を見つめるあなたの瞳に惚れました。最初はそれがきっかけだったと思う。しかし、私を見た目だけで判断せず、接してくれるあなたのことが好きになってしまった。作戦が終わって帰ってきたら、結婚を前提にお付き合いしてください。私は貴族出身だが、跡継ぎではないし、功績もあるから誰と結婚しようとも文句を言わさない。いかがだろうか?」
膝をついたオスカーが自信なさげに伺うようにナディアを見上げた。その姿にナディアはドキッとする。普段は冷静で感情を見せることがないと言われているオスカーの自信なさげな姿を見て、助けてあげたくなったのだった。
「グラフトン様、私、グラフトン様が私を思ってくださるほど、気持ちをお返しすることはできないかもしれません。好きと言う感情がわからないもので……でも、グラフトン様をお助けしたいです。まずお友達から……」
と言いかけたナディアはオスカーの目に悲しみが現れたことに動揺してしまう。オスカーにそんな悲しい顔をさせたくない……と思い、言い直す。
「グラフトン様、まずお付き合いから始めさせていただけませんか? 結婚するつもりがなかったので、いきなり結婚前提だと、私も難しいですし、いろいろなグラフトン様を知ってからでもいいでしょうか?」
お友達から始めるのではなく、お付き合いから始まることをナディアが提案したことに喜ぶオスカーは首をブンブンとすごい勢いで縦に振る。
「もちろん、喜んで。ありがとう。それからナディアと呼んでも?」
お付き合いを了承したとたんオスカーはナディアに名前で読んでも良いか尋ねるのだった。
「ええ、もちろん呼んでください、グラフトン様」
ナディアはにっこりと微笑みながら許可するのだった。
「じゃあ、ナディアにも私のことを名前で呼んでほしい」
そう言って、オスカーは立ち上がり、嬉しそうにナディアを見つめるのだった。ナディアはいきなり名前呼びはハードルが高いと思うものの、オスカーに喜んで貰いたくて、呼ぼうと思うのだった。
「わかりました。オ……オスカー様……」
「いや、様は要らない。オスカーって呼んでくれないか?」
「オスカー……様……やっぱり、様なしでは、難しいです」
ナディアの困った様子に困らせるつもりのなかったオスカーは慌てる。
「ナ、ナディアの呼びやすいように呼んでくれたらいいんだ。無理を言って済まない」
そう言って、オスカーは慌てて頭を下げる。それを見たナディアも慌てて頭を下げる。
「いえ、私の方こそ、申し訳ありません」
それを見たジョンとミリアが笑いそうになる。いや、ジョンは笑ってる。
「オスカーの慌てる姿なんてレアだね。オスカーの心をここまで動かせる人間なんて今まで居なかったからすごいなぁ」
「そんなにグラフトン様は心を動かされることがなかったのですか?」
尋ねたミリアに笑ったままのジョンは答えた。
「ないね。いつでも冷静で……感情が欠落してるとまでは言わないが、昔から冷静沈着。だからこそ、騎士団でこの地位まで来れたんだと思う。遅い春が来たことを親友としては喜んでるよ」
「そうだったんですね。グラフトン様の様子を見て面白がってるのかと思ってました」
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