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3章 鉱石と鍛冶屋

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徳井「な・・・なぁ?俺は今・・・何をやらされているんだ?」


落ち着きを取り戻した徳井は、今は静かに立ち尽くしながら加治屋に問いかけていた。

その様子を観察していた加治屋は一つ試してみようと考えていた。


加治屋「・・・おい徳井、お前1回指輪を外してみろ。本当に効果があるのかどうか確かめたい。」


徳井「お・・・おぅ・・・。な・・・何も起こらないだろうな・・・?」


加治屋の指示に従って、徳井は指に付けていた指輪を恐る恐る外してみた。すると・・・。


徳井「・・・ん?お・・・おぉ・・・何か上から押さえつけられてるような感じがするぞ!

だけどそんなに強くは無い。軽く体全体が押されてる感じだ。まるでマッサージみたいだな?」


加治屋「そうか・・・、ならもう一度指輪を付けてみてくれ。」


加治屋の指示通りに徳井が指輪を再びはめてみると・・・。


徳井「・・・うん、軽くなったな・・・。・・・んで?」


加治屋「これは・・・威嚇を無効化する効果があるのか?それとも重力無効か・・・?

いまいち効果がわからないな・・・。」


加治屋が鉱石の効果について、あーでもないこーでもないと考えていると・・・。


徳井「なぁ・・・もう良いか?さっき大声出し過ぎて声がカラカラなんだよぉ・・・。」


加治屋「あぁ・・・、そろそろ戻って来てくれ。大体効果はわかった。」


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囲いから抜け出した徳井は、はめていた指輪を加治屋に返した。


加治屋「・・・威嚇や重力無効だとすると・・・どこで使えるんだろうな?」


徳井「そりゃあ、実力差のある敵と対峙した時に、相手の威嚇に怯まなくなるとかじゃ無いのか?

一瞬の怯みが命取りになる事もあるんだからよ。それが無いだけでも戦況を変える事だってあるかもよ?」


加治屋「一瞬の怯み・・・か。戦闘の経験が無いからな。俺にはよくわからんが・・・。」


徳井「まぁ、少なくともこの辺りの魔物じゃあその指輪は効果を発揮出来ないかもな?って言うか、

ここいらの魔物で苦戦する様じゃあ話にならんが。」


加治屋「・・・だがやはりもう少し詳しく調べてみる必要があるな。まだ少し気になる事がある・・・。

それに本当に使える物だったらここで売っても良いし・・・。」


徳井「それならよぉ、町に装備品の補助効果を鑑定してくれる奴がいるんだ、何なら俺が頼んでこようか?」


加治屋「信用できるんだろうなそいつ?俺は鑑定士って言うのが一番信用できないんだよ。

現世でもテレビでやってた鑑定番組あるだろ?あれだってプロって言う肩書があるだけで、

本物かどうかなんてわかったもんじゃねぇしよ。」


徳井「なぁに、そいつとは現世でも一緒だった奴だ、ちょっと気難しい所があるが俺が頼めば大丈夫だ!」


加治屋「・・・そうだな、実際指輪の効果を俺がずっと調べる訳にもいかないし・・・、わかった・・・、

そっちは頼んだ。」


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その後、徳井が依頼した町の鑑定士からの情報で、鉱山から採掘された鉱石について意外な事実が判明した。

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