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3章 鉱石と鍛冶屋

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加治屋「はぁ?・・・あの鉱石は、裏ダンジョンの影響を受けている?どういう事だそれ?」


数日後、徳井が鑑定結果を手に鍛冶屋にやって来ていた。そしてその結果を見ていた加治屋は、

信じられないと言う様な顔を徳井に向けていた。


徳井「どうにもそうらしいんだ。鑑定士が言うには、どうやらあの鉱山の地下には、

別の裏ダンジョンが生成されているみたいでさ。その影響をもろに受けちまってるんだってよこの鉱石は。」


加治屋「まさか・・・、だからここの主の威嚇も効果が無かったって事か?裏ダンジョンの魔物の・・・。」


徳井「まぁそうなんじゃ無いのか?現に俺は全然平気だったぞ?かなり弱めにして貰ってたんだろうけどな?」


加治屋「・・・だがしかし、それはそれで厄介な事になったな・・・。」


徳井「ん・・・何でだ?結構珍しい物だから、高値がついてもおかしくないって言ってたぞ?

裏ダンジョンの影響を受けた鉱石なら尚更だって。今現在入手する事が出来ないんだからよ。」


加治屋「いや、そうじゃ無い。今はまだ魔王軍が討伐されていないから良いが、

もしそれを飛び越えて裏ダンジョンへ行こうとする者が現れたらどうなると思う?

その時この鉱石の事は知れ渡っていると言う前提だが。」


徳井「・・・この鉱石が売れる?それもドッカンドッカン!お金がガッポガッポ!」 


加治屋「・・・いやそうじゃない、この鉱石を使った装備のせいで、裏ダンジョンの壁が意味を成さなくなる。」


加治屋はそう言いながら深刻そうな顔をして考えていた。


徳井「で・・・でもよぉ、裏ダンジョンだぞ?そこの魔物だってそう簡単にやられる訳無いし、

レベルが足りない奴等が行っても直ぐにやられるだけだろ?」


加治屋「そいつらが・・・パーティーを組んだら?」


徳井「パーティー?誕生会でもすんのか?裏ダンジョンでパーティーってどういう事だよ?しっかりしてくれよ!」


加治屋「・・・お前と話してると時々頭が痛くなりそうになるよ・・・。」


徳井「・・・あぁ!チームの事か!何だならそう言えよ!?勘違いしたじゃねぇか!?」


加治屋「・・・この世界には様々な職業がある、冒険家の他にも戦闘専門の格闘家や、回復専門の神父、

遠距離専門の弓使いや魔法使い、それらを極める為何度も転職を繰り返す者までいるそうだ。」


徳井「それって、・・・めっちゃ強くないか?」


加治屋「あぁ・・・それでも単独で裏ダンジョンを攻めるなら不可能・・・だが、

徒党を組んで攻め入ればどうなるかわからない。特に回復役が重要になる。

それに、裏のダンジョンにはまだ見ぬ鉱石や素材が眠っていると聞く。

もしそれが出回って強力な武器や装飾品に加工されるとどうなる?」


徳井「・・・下手すれば魔王軍が・・・壊滅する?」


加治屋「それだけじゃない。どこの世界にもな、バランスってものが必要なんだ。

一方が力を持ち始め、もう一方を飲み込もうとする、そうすれば保って来たバランスが崩れ世界は崩壊する。

強大な力を持ってしまったら尚更な。それに、それは魔王軍にも言える事だ。」


徳井「何だか・・・、鉱石を見に行っただけなのに・・・、随分と盛大な話になっちまったな?

何か俺・・・関わっちゃいけなかったのかもな・・・?」

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