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6章 鍛冶屋の日常

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本日1人目の客が帰った後、数分後に2人目の客が現れた。


客2「おっ・・・!今日はちゃんと寝ずに店番してんじゃねぇか?

まぁさっき修理品受取った人見てたからいるのはわかってたんだけどな?」


加治屋「そんな暇してねぇよ!俺もちょっと前に客が来てたから続けて来るんじゃねぇかと待ち構えてただけだ。」


2人目の客が入って来るなり、少し間を置いて依頼の武具を取り出した。


客2「顔を見るなり直ぐにどの武具だったかわかる、それはそれで凄いよなぁ・・・?」


加治屋「それだけかよ。他に感心する事は無いのかよ?」


客2「さぁ・・・どこなんだろうな・・・?わかんねぇや!じゃあ俺急いでるからこれで失礼するわ!」


そう言って2人目の客はそそくさと店を出て行った。


加治屋「さぁこれで・・・・・・あとは、げぇ・・・徳井かよ・・・。」


ため息交じりの加治屋が嘆いたのには訳がある。ちょくちょく顔を出して暇を持て余す飯屋の徳井。

それが修理した包丁の受け取りの日になると、とてつもなく遅くやって来る。

以前は閉店間際にやって来た事もしばしば・・・。だから徳井が来る日は遅くまで店を開けておくこともある程だ。


加治屋「あいつ・・・。本当に今日来るのか?忘れてないか?忘れてたら忘れてたで別にいいが・・・。

店閉めるだけだし・・・。」


それでも加治屋はとてつもなく不安になり、自ら飯屋に赴き包丁の返そうかとも考えた。


加治屋「・・・いや、やっぱり面倒くさいな。行ったら行ったで帰してくれ無さそうだし・・・。」


加治屋は最後の客として、何時来るかわからない徳井を待つ事にしたが・・・。


加治屋「・・・昼飯の用意でもするか・・・。」


丁度昼飯時になり、徳井もどうせ来ないだろうと考え台所に向かって行った。


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