上 下
79 / 170
6章 鍛冶屋の日常

18

しおりを挟む


加治屋「・・・わかった。じゃあ今回修理した包丁の修理代・・・半額にしてやる!」


徳井「いやそこはタダじゃねぇのかよ?!」


加治屋「頑張っても半額だな。値段が違うんだ。」


徳井「・・・しょうがない。半額になっただけでも良しとするか・・・?

だがよ・・・、俺も結構ヘトヘトなんだが?これじゃあフライパンどころか包丁も持てねぇよ。」


加治屋「その点は安心しろ、この実を食べれば疲労は立ちどころに回復する。」


そう言いながら加治屋は徳井にゆっくりと近付き、懐から出した小さな木の実を渡した。


徳井「こいつは・・・キイラの実じゃねぇか?高所でしか育たない実を一体どこで?」


加治屋「あの岩壁の上に生えてるんだ。結構生えてたから幾つか取っておいたんだ。」


加治屋は岩壁の方を指差しながら鍛冶屋の問いに答えた。


徳井「あんな所よく登れたな?」


加治屋「昔はよく登ってたんだがな。有難い事に店に客が来るようになって、やる時間が無かった。」


徳井「・・・あぁ、そう言う事か!」


加治屋「何がだよ?」


徳井「お前の筋トレ。明らかに明日に疲れを残すやり方だとは思ってたんだけどよ。この実があるからか!」


加治屋「そうだ。そうでないと翌日に疲れを残したまま仕事なんてやってられないからな?」


加治屋は会話の最中、フッと体が軽くなるのを感じた。どうやら主も疲れた様だ。




しおりを挟む

処理中です...