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8章 鍛冶屋と共和国

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加治屋「・・・別に良いから、来るのか来ないのかどっちかにしろよ。」


聞こえる訳では無いが、扉の前で自分語りをしている騎士団長に若干イラつきながら呟いていた。


主「いや来て欲しいのかよ?」


加治屋「別にあいつらの事なんざ興味ねぇよ。ただ、これ以上店を荒らされるのは我慢出来ねぇだけだ。

あいつら、荒らしただけ荒らして綺麗になんかする訳ねぇんだから。」


主「よっぽど共和国側に落ち度が無いと責任は負わないだろうな。しかも世界中に知れ渡って、

もう隠し通す事が出来ない程のな?」


加治屋「・・・絶対に責任を追及してやる!あとどこか壊れてたら修理費を請求してやる!!」


それを合図にしたかの様に裏庭の扉がゆっくりと開かれた。


加治屋「・・・来たか。」


兵士長「ここは・・・、随分と広い裏庭ですねぇ・・・?」


騎士団長「・・・何か、店の中と違う雰囲気がある・・・。全く別の空間にいるみたいだ・・・。

この辺境の町の近くにこの様な場所があったのか・・・。」


騎士団長と兵士長の2人は裏庭の入り口付近で足を止め、周辺を見渡していた。


加治屋「流石に騎士団長の方は違和感に気付き始めた様だな・・・。」


兵士長「・・・それにあの巨大な扉は何なのでしょうか?あの様なロープで囲って・・・?」


騎士団長「ここの異様な雰囲気の正体ではあるだろうな。ただ、あれが何なのかはわからない。

ここの店主に聞く事が一番早いのだがな・・・。」


そう言って騎士団長は巨大な扉を見上げ、そしてその隣の崖に目を移した。


騎士団長「・・・今何人兵士を連れて来れる?」


兵士長「今からですか?・・・町で聞き込みをしている者達を集めれば・・・10人程でしょうか・・・?」


騎士団長「・・・町の聞き込みはこれ以上無意味だ。全員をこの裏庭に集めろ。」


兵士長「へ・・・?それはどう言う・・・?」


騎士団長「・・・鍛冶屋・・・ここの店主の加治屋はここに潜んでいる!ここを徹底的に調べ上げろ!

何ならあの扉の向こうを調べても構わん!」


主「いや構わないじゃねぇよ。何勝手に入ろうとしてんだよ。」


加治屋「やばいな・・・。全然運動してねぇから上手く抵抗出来ねぇぞ?」


主「・・・いや、無理に動く必要は無い。その為に”私達”がいる。」


加治屋「私達・・・?裏ダンジョンの方から助っ人でも呼ぶのか?」


主「違う、あいつもやっと動き出した様だ。今こちらに向かっている。野菜を沢山携えてな。」


加治屋「・・・せめて調理してくれよ・・・。中々生で食べるのは勇気いるんだぞ?」


 
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