超常はびこるこの世界をただの?身体強化で生きていく〜異能力、魔法、怪異、陰陽師、神魔、全て力で捩じ伏せる!〜

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番外編 日常編

第85話 海

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 「ふぅー。カケル海に行くぞ」
 「え?」

 夏の暑い日、九条が黄昏荘に現れた開口一番でそう伝えられた俺たちはネオ・アストラルシティの海岸部にある海にまできた。
 参加したのは黄昏荘の俺とダイ、ミサ、そして子供連中とハヤテ、青、緑の三人も誘われていたようで一緒に来た。

 「おっす!ハヤテ、青ちゃん、緑くん!元気にしてたか?」
 「はい!カケルさんこそ相変わらず元気そうですね!葵ちゃんは元気ぃー?」
 「うるさい」

 何故かむすっとしていた葵はそういうと、どこかへ一人で歩いて行ってしまった。
 機嫌が悪い事を理解した青はカケルの元へ行き事情を聞く事にした。

 「・・・何かあったんですか?」
 「あーいや今日、本当は本屋に行く予定だったんだよ。それを九条の野郎が」
 「九条さんだ。何回言わす気だ」

 クーラーボックスを持ったダイとガキ連中を引き連れてやってきた九条は相変わらずタバコを吸いながら俺の頭を思い切り引っ叩いた。

 「さん付けして欲しけりゃ、今度からはもう少しマシな誘い方しろ」
 「ふぅー。細かい男は嫌われるぞ」
 「オメーみたいな大雑把よりマシだろ」

 俺と九条が言い合いをしている頃、ガキ連中とミサ、後父親の看病の為に黄昏荘で寝泊まりをしていたイリスは水着に着替える為に更衣室へと歩いて行っていた。
 
 「おっと、俺たッ!?」
 「お前とダイ、そしてハヤテ、緑、お前達はテント張ったり貴重品の管理をしておけ」
 「はぁー?何で俺たちが」
 「イエス、マム!!!」

 明らかな不満を口にした俺や表情でめんどくさいと訴えるハヤテ、苦笑いの緑をよそにダイだけはその命令に忠実に従った。

 「じゃあ頼んだぞ」
 「ちょ、おい!着替えはどうすんだよ?」
 「?、そこで着替えればいいだろ??」

 正気かこの女。
 九条はそれだけを言い残し俺たちは結局、四人で残される事となった。
 因みに全て何故か張り切っているダイが秒でやってくれたので俺たちはテントで水着に着替え、女子連中が来るのを待っている状態となった。

 「あぁ~あぢぃ~」
 「黙れバカケル!いいか?今から美少女達が俺に会いにくんだぞ!?その光景を一分でも多く脳内に保存する為に余分なノイズはいらねーんだ!だから黙ってろボケカスアホバカマヌケ!」

 ここでこいつの脳内に俺のフルチンを擦り付けてやろうと思ったが、それはそれで俺の一夏の思い出にも傷が出来そうなので黙って首絞めるだけにしといた。

 「おい・・・そいつ死ぬぞ」
 「世の中にはなー死んだ方がいいやつもいるんだよー」
 「なら仕方ないな・・・」
 「あ、き、きましたよ!」
 「ぬぁにぃー!!どけ!カケル」
 「ごへっ!?」

 緑の言葉に反応したダイは俺を蹴り飛ばして更衣室のある方を向いた。
 水着を着て最初に現れたのは青と葵の中学生コンビだった。ダイは二人を今まで見た事ない程、真剣な眼差しで見ていた。

 「あ、あ、あ、青さんの水着、ぶはぁっ!!?」
 「・・・倒れた」

 緑は戻ってきた青を遠目で見ただけで直ぐに気を失った。この子も相当やばいよな・・・。

 「ほっとけ、それよかあの変態の方があぶねー」
 「お待たせしましたー!じゃーん!どうですかこの水着!色違いのお揃いなんですよ!」

 正直、水着のお揃いと言われても俺には全部一緒に見えてしまい、よく分からなかったが取り敢えず褒めようとした時、ダイがそれよりも早くに口を開いた。

 「いい・・・いいねぇぇぇ!青ちゃんの良くも悪くも中学生というまだまだ成長の余地を残してはいるが、確実に育ってきている健康ボデェ!更にぃぃぃ!反対に葵の出るとこは出てしまっている所は引き締まった体つき!そしてそれを隠す猫耳パーカー!それが更に大人としての魅力と子供のあどけなさを調和させている!すばぁぁぁらぁぁぁしぃぃぃぃ!!」

 あまりの声のデカさに俺とハヤテは耳を塞いだ。
 まぁだが確かにダイの言う通り、お揃いの水着でこうも違った魅力や味わいをそれぞれが出しているのはすごい。通りすがる男共も思わず二度見しているのがいい証拠だ。
 そんな二人を見ていると更に後ろから今度は髪の毛を後ろに束ねた九条と何故か俯いてもじもじしているガガ、ミュー、ズンの三人と白いスク水を着た白がやって来た。
 
 「ふぅー。待たせたな。ガキ共を着替えさせていたら遅くなってな」
 「ふぉぉぉ!次に来たのは九条ぉぉぉ!!!普段スーツばかり着ているから分からない、その女優顔まけな超絶styleを惜しみなく外にだし!更にぃぃぃ青ちゃんや葵には出せない大人の色気と言うものを醸し出すビキニぃぃぃ!さいこぉぉぉだぜぇぇぇぇ!!」

 九条も確かに魅力的だが、俺はそれ以上に男のガキの方が何故か股を押さえて顔を赤らめている事にどうしても目がいってしまった。

 「・・・お前何した」
 「あんまり暴れるもんでな、少し大人を分からせてやった。安心しろ裸を余す事なく見せただけだ」
 「痴女かお前は!」

 どうりで九条の方をチラチラと見てるはずだ。まぁ俺には関係ないが後で感想くらい聞いとくか。
 できるだけ具体的に。いいだろこちとら健康的な高校生なんだから文句あんのか!?
 そんな事を考えているといつの間にか隣に白が座っていた。
 
 「お、白。お前も水着似合ってるぞ」
 「んっ・・・むふふ」

 普段無口でクールな白が、こうゆう時に褒めたら普段見せない表情で笑ってくれるのは実にいい。
 これがギャップ萌えという奴なのだろう。

 「・・・」
 「ん?どうした葵??」

 白の水着を褒めていると、今度は白とは逆側の隣に葵が座り込みこちらをジッと見つめて来た。・・・何か俺、変なことしたか?
 思い当たる節を考え込んでいると、ダイが辺りをキョロキョロと見渡していた。
 
 「ん?イリスちゃんはどうしたんだ??」
 「あぁ、あいつならさっき向こうでナンパされていたぞ」
 「あ?」

 途端、ダイの態度は一変した。そして目にも止まらない速さで九条が指差した方向へ姿を消した。
 そろそろダイを止めないとやばい気がすると思った矢先にこれだ。相手死ぬ前に止めないとやばいな。

 「悪りぃ葵。俺今からダイ止めてくるわ」
 「あっ、」

 葵は何かを言おうとしたが、カケルはそのまま立ち上がりダイの後を追って行ってしまった。
 
 「・・・あー、その、何だ葵、」

 一連のやり取りを隣で見ていたハヤテは慰めの言葉をかけようと葵の方を向いたが、直ぐに振り向くのを止めた。
 その表情はハヤテが今まで見た葵の表情の中で一番、恐ろしいものになっておりハヤテは何も見なかった事にして心の中でカケルにエールを送った。

 ーー

 「あの・・・すいません。知り合いを待たせているので・・・」
 「えーいいじゃーん、俺らと遊ぼうよ」
 「そうそう、俺らとの方が絶対楽しいって!」

 イリスは銀髪の髪をポニーテールにし、グラビアアイドル顔負けのスタイルを惜しみなく出した水着を着て皆んなのところに戻ろうとしていた。
 声をかけるのすらおこがましいと思わせるその美貌に誰もが尻込みしている中、イリスの前に二人の身の程を知らない男達が立ち塞がり、今の状況となっていた。

 「ねぇーねぇーいいじゃーん!」
 「え、えーと・・・あ、ダイさん!」
 「おい」

 男達は肩を強く掴まれ、そのまま無理矢理後ろを向かされた。
 ナンパをしている最中に後ろを向けられた二人は邪魔をされたと思い殴ろうとしたが、後ろにいた男の鬼の形相に動きが止まった。

 「殺す」
 「う、え、ま、まさかあんたのツレ??」
 「はい。ダイさんと言います」

 イリスは笑顔でそう答え、二人の男は恐る恐るダイの方を向き直した。
 それと同時にダイを止める為に現れたカケルだったが、止める事は無理だと判断しせめて殺さないようにと助言をした。

 「半殺しにしとけよ~」
 「あ、カケルさんも」
 「な、何だお前ら!?」
 「死ね」

 二人のナンパ男はダイによって早々にボコボコにされ、そのまま浜辺に首から上を残して埋められた。

 「まったく、イリスちゃんをナンパするなんて百億光年はえぇよ」
 「あのアレ大丈夫なんですか?」
 「大丈夫ですよ、あそこには波来ないんで」

 明らかに波がきて水を吸収している砂浜に埋められていたが、ダイは平気で嘘をつきそのままイリスの肩を抱いて歩いていった。

 「あー、その何だ。多分誰か助けに来てくれるさ」
 「あ!ちょっと助けていけよ!」
 「もうあの女の人にはナンパしないからー!」

 その一言を残してカケルもその場を後にした。残された男達は叫び続けたが、波に飲まれてしまい、その声も聞こえなくなっていった。
 イリス共にみんながいるパラソルに戻ったカケルとダイは皆んなが集まった事を確認し、早速海で遊ぶ事にした。

 「おっしゃ!海で遊びまくるぜ!行くぞお前達!海まで競争だぁ!」
 「「「「「おお!!!」」」」」
 「あ、おい。お前達まだミサが、」

 カケルは子供達を引き連れて海へと走り出した。
 そして、

 「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」

 走り出したカケルは突然、頬に痛みを感じたと思ったらそのまま右に引っ叩かれ飛んで行った。

 ーー

 「あーくそあのダイとかいう奴許せねぇ」
 「マジそれな」

 人気がなく、少し湿った場所で先程の男達二人組は体についた砂を水で洗い流していた。
 
 「てかよ、そう言えば知ってっか?ここら辺で最近、行方不明の人が結構いるらしいぜ?」
 「おい、そうゆう怖い事言うんじゃねーよ!」
 「しかもよ、こうゆう湿った場所とか人気のない所に現れるって噂だぜ?」

 そう言って怖がらせてくる相手に怒鳴ろうと顔を上げたもう一人の男は言葉を飲み込んだ。

 「あ・・・あ・・・お、おい・・・」
 「何だ?ぷっ!あははは!お前、ビビり過ぎだろ!悪い悪い!」
 「ちがっ、後ろ・・・後ろだって」
 「あ?後ろ?お前なぁー、ビビらせるならもうしこ、は?」

 もう一人の男も振り返り、そしてそこにあったものに驚愕した。そこには巨大な丸い何かが並列について上の方まで続いている何かが海から生えて来ていた。

 「何だこれ?タコの足?」
 「お、おい、なんかヤバそうだぜ逃げようぜ!?」

 そう言って立ち上がって逃げる為に後ろを振り返った男だったが、その後ろにもタコの足のような巨大なものが来た道を破壊して生えて来ていた。

 「ま、マジかよ!?」
 「ちょ、ちょ、これやばいんじゃ!?」

 最後まで言葉を言うよりも早く、その足は男達に襲い掛かり海の中へと消えていった・・・。
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