ワンナイトラブの相手は彼氏の弟でした

羽月咲羅

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「寂しい時は、いつでも抱いてやるよ?」

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「……羽琉を、好きにはならないから」

 紗奈はそれだけを言って、自分から顔を寄せて唇を重ね合わせた。
 まるで契約みたいに。
 唇が離れると羽琉は小さく微笑み、後頭部を掴むように激しくキスをした。
 それに抵抗なんてできるはずもなく、そのまま素直に受け入れた。


「今さらなんだけど、羽琉は付き合ってる彼女とかいないの?」

 どれくらいかキスをした後、ソファに並んで座りながらそう聞いた。
 すると羽琉は、「ほんと今さら」と言って柔らかく笑った。

「彼女とかいたら、わざわざ兄貴の彼女に手出したりしないって」
「でも、近づいてくる子たくさんいるでしょ。大学とかバイト先とか」
「まあね。ほら、俺ってイケメンだし?」
「自分のことわかってるね。そういうとこ、ムカつく」

 羽琉は誰から見てもかっこよくて、キスもセックスもうまい。
 それなら一度だけでもいいから、って近寄ってくる女は後を絶たないはずだ。
 紗奈にこだわらなくても、抱ける女なんて腐るほどいるはずなのに。

「紗奈は自分のことわかってないよな。そういうとこも可愛いから、俺は抱きたいって思うんだけど」

 続けて、「だから他の女はいらない」と言う羽琉の心情が紗奈にはなにひとつわからなかった。

「羽琉って口がうまいよね。いつもそんなこと言って、その気にさせてるの?」
「だから、紗奈にしか言ってないって」
「すごく嘘っぽく聞こえるんだけど」
「気のせい。めっちゃ本気で言ってる」

 出会った時から軽かったから、そう言われても本気に聞こえない。
 紗奈だけ、と言いながら、もしかしたら他にもそういう女がいるのかもしれない。
 それでもいっか。
 お互いに気持ちなんてなくて、求めているものが合致しているだけ。
 体だけで、セックスだけで繋がっている関係でしかないんだから。
 羽琉の気持ちがどうであれ、誰とどうしようがそんなことはどうでもいい。
 勘違いしそうな優しさや温もりがまた、心地よく感じているから。

「やっぱり羽琉は軽い」

 欲求を満たすためだけの相手なら、それくらいがちょうどいい。
 そこに気持ちなんてものは必要ないし、これからも不要だ。

「俺の本気がわかんないなんて残念。これからわからせないとね」

 えっ、と声を上げた隙に羽琉の影が掛かり、唇を重ねられた。
 さっきもキスをしたのに触れたところから気持ちよくなって、熱を帯びていく。
 そのまま押し倒されて、逃げ場を失ってしまった。

「ちょっと、なにすんの」
「ん? 気持ちいいこと」
「バカなの? 琉生がいるっていうのに、無理に決まってるでしょ」
「大丈夫、紗奈が大きい声出さなきゃバレない」
「そういう問題じゃない」

 羽琉が与えてくれる快楽は気持ちよすぎて癖になりそうで、本気で責められたらきっと抵抗のひとつもできない気がする。
 羽琉はいつもそういう気持ちにさせる。
 出会った時から、紗奈の欲情をこれ以上ないほどに刺激するから。

「昨日シたじゃない。まだ足りないの?」

 そう聞くと、「足りない」とすかさず答えが返ってきた。
 淡白なのも嫌だけど、羽琉みたいに性欲が強いのも考えものだ。
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