【完結】運命の宝玉~悪役令嬢にはなりません~

らんか

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誕生~幼少期

10.魔力検査

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 鉱山の土砂崩れ事故から数日後。
 幸い後遺症が残る人もおらず、みんな元気に帰っていった。
 採掘現場は、二度と今回のような事故が起きないように、来年の春頃に十分な調査を行なう事となった。
 
 
 そして、今日は私の魔力検査の日。
 
 祖父母に付き添われながら、領地内にある教会に行き、判定してもらうのだ。
 
 やっぱり前世のネット小説にあったように、水晶に手を乗せて調べるとかかな?
 それともハ〇ーポッ〇ーに出て来る組み分け帽子のようなもので頭に載せられて、魔力数値や属性を叫ばれたりするのかな?
 
 色んな想像をしてドキドキしながら、名前が呼ばれるのを待つ。
 
「エマ・ベルイヤ様、どうぞ」
 
 司祭様に名前を呼ばれ、魔力検査の部屋に入った私は、司祭様に促されるまま部屋の真ん中に進む。
 
 
「では、靴下を脱いでから、その上にお乗り下さい」
 
 
 そう言われて床を見ると、何とそこには体重計が……。
 
 
「え? 体重を測るのですか?」
 
 そう聞く私に不思議そうな表情で司祭様は説明する。
 
「いいえ、魔力測定器ですよ。その上に乗ったら、前の画面に魔力数値と、適正の魔法属性が表示されます」
 
 
 なんか、複雑。
 普通の身体測定みたい。
 
 そんな事を考えながら、靴下を脱いで測定器に乗る。
 道理で今日の格好はラフな服装で、タイツではなく脱ぎ着しやすい靴下だったのね。
 
 
 そうして体重計(……ではない)に乗って、前の画面を見る。
 
 
 【⠀魔力: 185 】
 【⠀属性: 聖  】
 【⠀属性: 光  】
 【⠀属性: 空間 】
 【⠀属性: ?  】
 
 
 何かいっぱい出た。
 最後の?マークは何?
 
 
「あの、司祭様? もう降りていいのですか?」
 
 
 そばに居た司祭様にそう話しかけるが、司祭様は画面に釘付けになっており、微動だにしない。
 
 
「あの~司祭様?」
 
 
 私の声にハッとした司祭様は、慌てて外で待っている祖父母を呼びに、部屋を出て行ってしまった。
 
 
「えええ~、降りていいのかなぁ?」
 
 
 私は体重計……ではなく、測定器から降りた。
 すると、目の前の画面が消える。
 
 いつの間にかそばに居たグレイに念話で話しかけられた。
 
『おい、今の表示は不味いぞ』
 
「なんで?」
 
『普通、属性は1人につき1つだ。
 しかも、魔力は最高が100。この世界で最も多いとされている者でも、現在は魔力84だ』
 
 
 え、聞いてないし。
 今の、絶対ダメなやつじゃん。
 
 
『仕方ない。こんな所で目立つのも困るから、我が操作してやる』
 
 
 そう言って、姿を消す。
 だ、大丈夫よね? 信じていいのよね?
 
 
 そうこうしている内に、司祭様が祖父母を連れて部屋に戻って来た。
 
「エマ様! もう一度お乗り下さい! 領主様にも確認してもらわなければ!」
 
 そう言って私を急き立てる。
 
 私はドキドキしながら、もう一度そ~っと測定器に乗った。
 
 
 
 【⠀魔力: 35 】
 【⠀属性: 聖 】
 
 
「ほほう! やはり聖属性か! 
 その年で魔力35とは、まずまず多い方だな! 
 修行次第ではもう少し魔力も上がるかも知れんぞ」
 
 上機嫌でそう祖父が話す。
 
 しかし司祭様は、その画面を見てびっくりしたかと思えば、慌てて否定した。
 
「いいえ! こんなものではなかったのです!
 先程測定器に乗った時は、魔力が185になってました!
 属性も3~4種類は出ていたかと!
 ですよね!? エマ様!」
 
「まさか。そんな訳ないじゃないですか」
 
 私は平然とすっとぼけて見せた。
 祖父が、それを聞いて笑い出す。
 
「司祭様、なかなかお茶目なところがあったのですな。わしらを驚かそうとするなら、もっと現実的な内容にしてもらわんと。
 さすがにその内容では、引っかかりませんぞ。
 なぁ、マーサ」
 
「ええ。お人が悪いですわよ、司祭様。
 まぁ、確かにうちの孫はとても珍しい聖属性を持っておりますが」
 
 
 マーサとは、祖母の名前である。
 祖父母は、司祭様の言葉を完全に冗談として捉え、本気にしていない。
 
「そ、そんなはずは……」

 そう言って司祭様は頭を悩ませながら、私と測定画面を交互に見ている。
 
 ごめんね、司祭様。
 私はこのまま、知らん顔を決め込みます!
 
 
 結局、司祭様の見間違えという事で、私の魔力検査は、魔力35の聖属性魔法の適応であると記録された。
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