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王都~学園入学前
17.初めてのお茶会①
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本日は王宮にて、王妃主催のお茶会だ。
学園入学前の伯爵家以上の貴族達がここに呼ばれている。
侯爵令嬢として恥ずかしくないように振る舞わなければと、やはり緊張していた。
母に連れられての、初めてのお茶会。
初めてのお茶会が王妃主催なんて、やはり母には私を気遣う気持ちがこれっぽっちもない事を改めて確信した。
「エマ。侯爵家の者としてしっかりと務めなさい。わたくしに恥をかかせないでね」
「……はい、お母様」
まぁ、期待してなかったけど、もう少し初めてお茶会に参加する娘に対して、優しい言葉がかけられないのかな。
案内されたテーブルは、子供と親は離れて座るようだ。
1つの丸テーブルに5人の席が設けられている。
どうやら、爵位の近い者同士が同じ席に着くようになっているみたいだ。
案内された席では、すでに4人が座っており、その内の3人はすでに顔見知りなのか話に花を開かせていた。
私は会話の邪魔にならないように静かに座る。
今日の私の目標は、目立たず、静かに、穏便に早々に帰る事だ。
……まぁ、母が許してはくれないだろうけど。
あとは、この場に現れるかもしれないヒロイン。
ヒロインは男爵令嬢だけど、魔力測定にて2属性魔法が分かってから、聖女候補として教会預かりとなっている。
教会と王家は繋がりが強いため、聖女候補は王宮に度々訪れていると噂で聞いた。
ヒロインも王立学園に入学を控えていることから、王妃がここに連れてくる可能性が高い。
もし宝玉を持っているなら、ぜひとも実物を見てみたい。説明は聞いたけど、やはり取り返す物がどんな物なのか、ちゃんと知っていたいものね。
そんな事を黙々と考えていたら、隣りで私と同じ様に黙って座っていた1人の令嬢が話しかけてきた。
「あ、あの……」
「あ、はい」
すっかり考えに没頭していた。
えと、この方は誰だっけ?
爵位の高い者から声を掛けるまで話しかけてはいけないんだよね?
話しかけてきたってことは、私より爵位が上の令嬢かな?
ここで私はどう返事すればいいのだろう?
私がそう悩んでいると、意を決したようにその令嬢が話しかけてきた。
「わ、わたくし、セリーヌ・エドモントと申しますの。貴女のお名前をお伺いしても?」
あ、公爵令嬢だ。
良かった。先に挨拶してくれて。
「わたくしはエマ・ベルイヤと申します。エドモント公爵令嬢様とお会い出来て光栄です」
「こ、こちらこそ! あ、あの。そんなに畏まらなくてもいいですわよ? わたくし、こういった集まりが苦手で……。先程から見ておりましたけど、貴女も誰とも話されてなかったので、もしかしたら同じなのかと思ってお声を掛けさせて頂いたの。違っていたらごめんなさい」
申し訳なさそうに、そう話すエドモント公爵令嬢は、とても大人しくて優しそうな女の子だった。
「いえ、お声を掛けて頂いてとても嬉しいです。実はわたくし、お茶会自体が初めてですの。だから、知り合いもいませんし、どうしたらいいか困っていましたから、とても助かります」
私がそう言うと、とても嬉しそうに喜んでくれる。
「わたくし達、お友達になりましょう?
わたくしの事はセリーヌと呼んで?
貴女の事はエマとお呼びしてもよろしいかしら?」
「もちろんです。セリーヌ様」
「様はいらないのに! 友達になったんだから、敬語もなしね。これからよろしくね、エマ」
少し躊躇ったけど、とても嬉しそうなセリーヌ様を見ていると、ついこちらも嬉しくなってしまう。
「うん、こちらこそよろしく。セリーヌ」
こうして、私は今世で初めての友達が出来た。
……と思ったところで、主催者である王妃様と、側妃様の登場だ。
みんな一斉に立ち上がり、王妃様と側妃様に向けてカーテシーをする。
「皆様、楽になさって。本日はわたくしのお茶会に参加して頂き、ありがとう」
王妃様の挨拶で、皆、席に座る。
「今日は、側妃の息子の第1王子を紹介しますわね。第1王子も皆さんと同じく、来期の王立学園入学予定ですのよ」
王妃様がそう言ったところで、第1王子の登場だ。そして第1王子はある令嬢をエスコートしながら現れた。
「そして、第1王子と共に入場したのは、聖女候補のアリア嬢です。皆様ももう知っておいでですわよね」
王妃様の紹介で、2人が挨拶をする。
「サンタベルグ王国第1王子のアステル・ド・サンタベルグだ。ここに集まった皆とは、学園にて同級となる。よろしく」
「皆様、お初にお目にかかります。
マリーネット男爵家の長女、アリアと申します。わたくしも来期に王立学園に入学予定でございます。皆様よろしくお願い致します」
ヒロインはきちんとカーテシーをしながら挨拶する。
聖女候補を鼻にかけるわけでもなく、落ち着いて控えめに挨拶するヒロインの第一印象は皆、好意的だ。
もちろん、私も好印象を受けた。
とても女神様を脅すような印象は受けない。
もしかして、転生して前世の記憶がないのかな?
見た目はかなりちゃんとしたヒロインに見える。
もし、記憶がなかったとしたら、宝玉の事も知らないかも?
だとしたら、宝玉を探すのは至難の業だ。
これは帰ったらグレイと要相談案件だわね。
そんな事を考えながら、ヒロインを見ていた。
学園入学前の伯爵家以上の貴族達がここに呼ばれている。
侯爵令嬢として恥ずかしくないように振る舞わなければと、やはり緊張していた。
母に連れられての、初めてのお茶会。
初めてのお茶会が王妃主催なんて、やはり母には私を気遣う気持ちがこれっぽっちもない事を改めて確信した。
「エマ。侯爵家の者としてしっかりと務めなさい。わたくしに恥をかかせないでね」
「……はい、お母様」
まぁ、期待してなかったけど、もう少し初めてお茶会に参加する娘に対して、優しい言葉がかけられないのかな。
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1つの丸テーブルに5人の席が設けられている。
どうやら、爵位の近い者同士が同じ席に着くようになっているみたいだ。
案内された席では、すでに4人が座っており、その内の3人はすでに顔見知りなのか話に花を開かせていた。
私は会話の邪魔にならないように静かに座る。
今日の私の目標は、目立たず、静かに、穏便に早々に帰る事だ。
……まぁ、母が許してはくれないだろうけど。
あとは、この場に現れるかもしれないヒロイン。
ヒロインは男爵令嬢だけど、魔力測定にて2属性魔法が分かってから、聖女候補として教会預かりとなっている。
教会と王家は繋がりが強いため、聖女候補は王宮に度々訪れていると噂で聞いた。
ヒロインも王立学園に入学を控えていることから、王妃がここに連れてくる可能性が高い。
もし宝玉を持っているなら、ぜひとも実物を見てみたい。説明は聞いたけど、やはり取り返す物がどんな物なのか、ちゃんと知っていたいものね。
そんな事を黙々と考えていたら、隣りで私と同じ様に黙って座っていた1人の令嬢が話しかけてきた。
「あ、あの……」
「あ、はい」
すっかり考えに没頭していた。
えと、この方は誰だっけ?
爵位の高い者から声を掛けるまで話しかけてはいけないんだよね?
話しかけてきたってことは、私より爵位が上の令嬢かな?
ここで私はどう返事すればいいのだろう?
私がそう悩んでいると、意を決したようにその令嬢が話しかけてきた。
「わ、わたくし、セリーヌ・エドモントと申しますの。貴女のお名前をお伺いしても?」
あ、公爵令嬢だ。
良かった。先に挨拶してくれて。
「わたくしはエマ・ベルイヤと申します。エドモント公爵令嬢様とお会い出来て光栄です」
「こ、こちらこそ! あ、あの。そんなに畏まらなくてもいいですわよ? わたくし、こういった集まりが苦手で……。先程から見ておりましたけど、貴女も誰とも話されてなかったので、もしかしたら同じなのかと思ってお声を掛けさせて頂いたの。違っていたらごめんなさい」
申し訳なさそうに、そう話すエドモント公爵令嬢は、とても大人しくて優しそうな女の子だった。
「いえ、お声を掛けて頂いてとても嬉しいです。実はわたくし、お茶会自体が初めてですの。だから、知り合いもいませんし、どうしたらいいか困っていましたから、とても助かります」
私がそう言うと、とても嬉しそうに喜んでくれる。
「わたくし達、お友達になりましょう?
わたくしの事はセリーヌと呼んで?
貴女の事はエマとお呼びしてもよろしいかしら?」
「もちろんです。セリーヌ様」
「様はいらないのに! 友達になったんだから、敬語もなしね。これからよろしくね、エマ」
少し躊躇ったけど、とても嬉しそうなセリーヌ様を見ていると、ついこちらも嬉しくなってしまう。
「うん、こちらこそよろしく。セリーヌ」
こうして、私は今世で初めての友達が出来た。
……と思ったところで、主催者である王妃様と、側妃様の登場だ。
みんな一斉に立ち上がり、王妃様と側妃様に向けてカーテシーをする。
「皆様、楽になさって。本日はわたくしのお茶会に参加して頂き、ありがとう」
王妃様の挨拶で、皆、席に座る。
「今日は、側妃の息子の第1王子を紹介しますわね。第1王子も皆さんと同じく、来期の王立学園入学予定ですのよ」
王妃様がそう言ったところで、第1王子の登場だ。そして第1王子はある令嬢をエスコートしながら現れた。
「そして、第1王子と共に入場したのは、聖女候補のアリア嬢です。皆様ももう知っておいでですわよね」
王妃様の紹介で、2人が挨拶をする。
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「皆様、お初にお目にかかります。
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ヒロインはきちんとカーテシーをしながら挨拶する。
聖女候補を鼻にかけるわけでもなく、落ち着いて控えめに挨拶するヒロインの第一印象は皆、好意的だ。
もちろん、私も好印象を受けた。
とても女神様を脅すような印象は受けない。
もしかして、転生して前世の記憶がないのかな?
見た目はかなりちゃんとしたヒロインに見える。
もし、記憶がなかったとしたら、宝玉の事も知らないかも?
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