【完結】モブなのに最強?

らんか

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 〈ミラクルガール・ラブアタック〉通称ミラアタの攻略対象者は全部で6人。
 アトラン王国第二の王子であるダミアン・フォン・アトラン、宰相の嫡男であるミゼル・イングット侯爵令息、教皇の嫡男であるアズレン・マルコルー、騎士団長の次男のオルガ・バイスニー伯爵令息。そして第二王子を攻略した時のみに現れる、隠れ攻略対象の第一王子であるシオンライト・フォン・アトランと、この国で二家しかないうちの一つの公爵家の嫡男、ユージュラス・アルトリス公爵令息。そしてヒロインはリセラ・カールトン男爵令嬢で、のちに聖なる力に目覚め、聖女となる。ゆくゆくはユージュラスの公爵家に養女として迎え入れられるが、ユージュラスは第二王子攻略後以外は隠れ攻略対象とはならない。
 ちなみにミーシャの元婚約者のダラオは、ただの当て馬だ。多分あの後はヒロインにあまり相手にされていないだろう。
 
 (婚約破棄騒動で全過失の責任を負い、面目も財産もほぼない状態だからね。まぁ、自業自得だけど。)

 学園では、たまに前期の終わりにあった婚約破棄騒動のせいで、チラチラと好奇の眼差しを受ける事もあるが、夏期休暇があったおかげでだいぶん噂も収まったようだ。まぁ、あの騒動でミーシャの両親の恐ろしさを目の当たりにした高位貴族や官僚達のおかげでもあるのだが。
 比較的静かな学園生活を送れそうだと、気分を新たにしたミーシャは、乙女ゲームの成り行きをこっそり満喫しようと考えていた。



  「ミーシャ嬢、久しぶりだね」
 後期の学園が始まって二週間たったある日、移動教室に向かって歩いていたミーシャに後ろから声が掛かった。
 振り向いたミーシャは、声の主を見た途端固まった。
 何故か領地で出会った第一王子シオンライトと、側近のユージュラスがにこやかに学園の廊下で立っていたのだ。

 (なんでシオンライト王子がここに? シオンライト王子は学園に通ってないはず。もちろん21歳のユージュラス様もここでは出会うはずないよね⁉︎)
 
 思考停止状態のミーシャを見て、くすっと笑ったシオンライト王子はあの後のことを教えてくれた。
 「ミーシャ嬢にもらったモーニュ草を持って、あれからすぐに隣国の専門薬師を訪ねたんだ。ちょっとしたツテがあってね。すぐに作ってもらえるよう約束してたから、あっという間に薬を作ってくれたよ。それを飲んだら、今まで身体の中を暴れていた魔力がスッと収まってね。正常に身体の中を魔力が巡っていく感覚が手に取るように伝わってきた。  
 それからは体力的にも変化が現れてきて、すぐに息切れしていた身体が魔力放出しなくても、全然苦しくなくなったんだ。
 それで、ずっと諦めていた学園にも通う事にしたんだよ。入学資格のあるギリギリの18歳だからね。学年は一つ落として2学年からの中途入学になるから、これから同級生としてよろしく頼むね」

 笑顔で話すシオンライト王子を見て、受けた印象の違いに吃驚した。
 前にあったシオンライト王子はゲームと同じで無口な、ちょっと冷たさを秘めた薄幸の美少年のイメージだったのに、今は溌剌として、元気いっぱいの爽やかイケメンだ。
 そばでその様子を見ているユージュラスも嬉しそうに眩しいものを見るように眼を細めて見守っていた。

 そして、3人で話している様子を廊下の角からヒロインであるリセラが、眼を見開いてガン見していたのに気づかなかった。
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