【完結】モブなのに最強?

らんか

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 あれからすぐに、シオンライト王子やヒロインと離れ、早々にタウンハウスに戻ってきたミーシャは、自室で落ち着いて状況を整理することにした。
 領地へは飛竜に乗って帰るため、目立たないように夜になってから帰るつもりだったので、本当はシオンライト王子の話を聞く時間はあったのだが、どうしても頭の中を整理したかったのだ。

 (まずは、ヒロインのリセラ・カールトン男爵令嬢。彼女は絶対転生者に違いないわ。 
 前世を思い出してから気にはなってたのよね。ゲームでは、私とダラオの婚約破棄の原因だと周りから責められて泣いていた時に、第二王子から声をかけられて徐々に仲良くなっていく設定だったのに。実際は入学してすぐに第二王子や側近達と仲良く交流してたし、すでに側近達の何人かもリセラが原因で婚約破棄してる人達もいるみたいだし。
 あんな大々的に婚約破棄したのはダラオのバカだけだったけどねっ。
 それに、第二王子の婚約者の悪役公爵令嬢。たしか、ユーリ・ミホーク公爵家の長女で、今は第3学年。1学年上だし、私は全く接点がないからよく知らないんだけど、第二王子がヒロインとベタベタしてるのに、あの人は嫌がらせも何もしてない感じだわ。周りもヒロインとは関わりを極力持たないようにしてる感じがする。
 あ! もしかして、悪役令嬢も転生者⁉︎
 断罪を阻止して逆ザマァする展開の小説のほうの世界なのかしら⁈)
 
 考えれば考えるほど深みにはまっていくミーシャは、それでも自分はこれ以上出番なしのモブだと考えを新たにし、夜まで仮眠を取ることにした。



 「ラバンティ伯爵令嬢」
 週明け。朝、ミーシャは学園に着くなり思いもよらない人から声を掛けられた。

 「突然で申し訳ございません。わたくしユーリ・ミホークと申しますの。ラバンティ辺境伯令嬢とは、以前よりお話ししたいと思っておりましたの。
 でも今までご挨拶する機会がなく……。失礼かとは思いましたが、思い切ってお声を掛けてしまいましたわ。出来れば近いうちにわたくしの主催するお茶会にお誘いしたいのですが、よろしいかしら?」
 
 一瞬固まってしまったが、すぐに気を持ち直し、挨拶をかえす。
 「ご丁寧にありがとうございます。改めてご挨拶申し訳あげます。わたくしミーシャ・ラバンティと申します。ミホーク公爵令嬢よりお声掛け頂いた事、大変光栄に存じます。もちろんお誘い頂ければ、有り難く参加させていただきたいと思いますわ。」

 (何故わたしはゲームの悪役令嬢に話しかけられたんだろう。描かれてなかっただけで、モブ令嬢もこの方と接点があったのかしら?)
 思わず警戒してしまうも、そんな事は決して悟られないように、笑顔を貼り付けて返答する。

 「安心いたしましたわ。では近いうちに招待状をお送り致しますわね。」
 優雅な微笑みを浮かべながら、ユーリは学園内に入っていった。



 「ミーシャ嬢。ここに居たのか。食事中に申し訳ない」
 午前はあれから何事もなく、昼休憩にて、いつものガゼボでティナと昼食を楽しんでいると、今度はシオンライト王子がユージュラスと共に こちらに向かって歩いてきて声を掛けてきた。
 ミーシャとティナは慌てて立ち上がり、カーテシーで出迎えをする。
 
 「ああ、堅苦しい挨拶はいらないよ。そちらの君は確か、リズリス伯爵家の御令嬢だね。食事中に本当にすまない。少しだけミーシャ嬢をお借りしてもいいかな。」
 シオンライト王子は綺麗な微笑みを携えながらティナに断りを入れ、ユージュラスと共にミーシャを連れ出す。
 人目の少ない、少し離れた場所に来ると、
 「前にも伝えたけど、ミーシャ嬢に確認したい事があって、落ち着いて話がしたいんだ。
 近いうちに城に来てもらうか、もしくは君の家を訪ねたいと思うのだが、どうだろう」
と、真剣な表情で話を切り出したシオンライト王子に、ミーシャは拒否出来るはずもなく。
 「分かりましたわ。では、今日帰宅後でいかがでしょう?急にお城にお伺いするのは無理があると思いますので、場所はうちでよろしいでしょうか」
 「ああ、それで構わない。感謝するミーシャ嬢。なかなか出会わなくて焦って昼食時に連れ出した事、本当に申し訳なかったね。改めて後日君とリズリス伯爵令嬢にお詫びするから」

 そういってシオンライト王子とユージュラスは戻って行った。すぐにティナのところに戻ったミーシャは、ティナに質問攻めにあったが、何とか誤魔化して昼食を再開した。
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