11 / 122
11.加護って誰でも貰える物なんですか?
しおりを挟む色々あったけど、私が世界樹の湖に行っていた時間はそんなに経っていなかったみたい。
お母様とニナ、警護の騎士の皆さんは妖精の干渉のせいで何となくボヤーとしていたらしいです。
お父様達が狩りから休憩で戻ってきて、ハッと意識がクリアになったらしい。
恐るべし…精霊達。
それで私が居ないって騒ぎになって、お母様が何となく私が森の方へ行ったのを覚えていて。
迎えに行くってお父様が暴走。
セバスとトマスが落ち着かせてから、森に入る所で私とロウが森から出てきた…という訳だ。
もしかしたら大捜索隊とかが出るかもしれなかったから、タイミング的には良かったとしか言えない。
「…こちらが、フェンリル…聖じゅう様…」
テオが興味津々にロウの周りをウロウロしてる。
ヴィータはその後ろをウロウロ付き纏ってる。
ロウは少し面倒臭そうに尻尾をパタリと動かした。
「…せいじゅうってそんなにすごいんだ?」
『我は聖獣の中でも特別だからな。本来ならこんな所に姿を現す事は無い』
ふーん。
特別ね…、自分で言っちゃう所がね…
何だかね。
『ハハハッ!リリィは我に厳しいな』
「ロウはつっこみどころおおいからね…」
「ーーリリィ様っっ!!」
振り返ると、ニナがハイパー土下座を披露していた。
「…ニナどうし…「リリィ様から目を離し、尚且つ寝こけていたなんて!!私ニナ・ヴァンサン、不徳の致す所でございます!!如何なる処罰でもお受けします!何卒!なにとぞーーー!!」
「ニナ、おちついてかおをあげて?」
「いえっ!私めどのツラ下げてリリィ様の前に出られますか…ウッウッ」
もう出てるっての。
ニナがこうなるとかなりめんどくさいんだよね…。
「ニナ、だいじょうぶだから。なにもおきてないのだから。ね?」
「いえっ!!私に罰を!何でも受けます!罰をーーー!!」
「ニナッ!!!」
「…はい。リリィ様」
「これからもわたしのそばにいたいのなら、かおをあげてわたしをみなさい!」
「リリィ様…。眩しすぎます…我が女神」
はぁ…。
ニナよ、お前は何なんだ?
一体何がそうさせるのだ?
わからない、わからないんだよー!
『お前の周りは面白い奴が多いな。これから楽しみだ』
ーーー?
え?これから?って何?
ここでお別れじゃないの?
ん?一緒に家に帰る…のかな?
って、どこに居るつもりなんでしょうか?
『勿論、お前と一緒に帰るぞ?お前の家に』
えー!?マジで?
お父様とお母様に何て言ったらいいんだろう。
犬…コホン…。
拾ったから飼わせて下さい?かな?
『リリィ、気付いてはいたがお前は失礼なやつだな…我を犬と一緒にするな…』
「あ、ごめんごめん。なんていったらいいのかなーって」
『…多分、何も言わなくても我が行く事はわかってると思う…契約とはそういうモノだ』
へーそうなんだ。
知らない事が沢山あるなあ。
ふーん。
あ、ニナが寝ちゃったのってやっぱり妖精のせい?
『そうだな。この森の妖精達が手を合わせてやった事だな』
「おかげでニナはこのありさまよ?かわいそうに…」
『…我に言われてもな』
そーだけどさ、ニナも被害者よね?
私もだけどさっ!
『ふむ。ーーーー。』
「?」
『ーーー。ー?ーーーー』
「ロウ?」
『王と話した。お前が作った花冠とブーケに加護を与えると、それで今回の事はチャラにして欲しい。そうだ』
「かご?なんの?」
『王の加護だ。不変ではないが、この花が枯れるまでの間皆に少しの祝福をーーだそうだ』
「ふーん。まぁ、しゅくふくってなんの?ってかんじだけど、みんながいいかんじになるならいいかな?」
じゃあ、配ってない人達に配りに行ってこよう。
ロウも一緒にくる?
『我は少しここに居る。もうあんな事にはならないから安心して行ってこい』
「そう?ニナ!いっしょにいく?」
「行きます!地獄の果てまでお供します!!」
ーーーー。
熱くてクドイなぁ。
「じゃあ、ロウあとでね」
『ああ』
リリィの後ろ姿を眺めながら、ロウは空中を見て溜息を吐いた。
『おい。王よ、あまり無茶な事するなよ?』
『ーーーーー』
◇◇◇◇
花冠を渡しにお父様達の所へ向かう。
ニナは私の斜め後ろでシュンとしながら歩いている。
うーん、辛気臭い。
ジメジメした空気が斜め後ろから漂ってくるんだ。
「…ニナ?いいかげんたちなおらないと、くちきかないよ?」
「ーー!それはっ!勘弁して下さい!」
「じゃあ、ニッコリわらって。いつもどおりにして」
「はい…、リリィ様申し訳ございませんでした」
「はい。じゃあこのはなしはもうおしまいね!」
「リリィさまぁ…」
ガバッと後ろから抱きついて来るニナを避ける事はせずに少しの間くらいは、と好きにさせた。
………。
……………………。
「ニナ?はなして」
「っは!すみません!」
もう、ニナは!こんなんだけど憎めないのよね!
「あ、おとうさま!おにいさま!」
前方に発見!キラキラオーラのお父様とお兄様。
お父様はオーラはしまえるけど、しまわないんだって!
理由はめんどくさいから。
属性とかがバレたって困らないから…だって!
すごいよね!
「ああ!リリィ!私の宝物!」
あー、ここもなんか重いな…。
「…これを。はい」
お父様とお兄様の頭に花冠を乗せた。
「ありがとうリリィ。とても綺麗だね。愛らしくてリリィのようでいつまでも愛でて…」
「リリィ。ありがとう!」
ナイス!お兄様!
「あと、セバスとトマスもかがんでくれる?」
はい、と頭に乗せていく。
「ーー!!ありがとうございます!リリィ様。このセバス一生の宝物にさせて頂きこの今の思いを…」
「え?僕もいいんすか?ありがとうございます!リリィ様」
セバスとトマスの温度差よ。
年寄りはなんか言葉がしつこいんだよね…。
「…どういたしまして。さっきロウがいってたけど、このかんむりはかごがついてるそうです」
「…確かに、凄い加護がついているように見えるな」
「確かに素晴らしい加護ですね…」
「本当に…凄い加護…っすね」
お兄様以外の3人は加護が付いている事が分かるらしい。
「おはながかれるまでのあいだ、しゅくふくがあるそうです。あ、ごえいのかたたちにはブーケをどうぞ」
皆の胸ポケットにブーケを刺していくと皆口々にお礼の言葉をくれた。
「みなさんにめいわくをかけてしまったので…ほんとうにごめんなさい。こんごはもっときをつけます」
ペコリと頭を下げて謝罪すると、皆が焦ったようにとんでもない!と逆に謝罪をしてくる始末。
ここもカオスになりそうな所をセバスが手をパンパンッと鳴らして場を納めた。
「では、テオとヴィータにもわたしてきますので」
謝罪合戦がちょっと恥ずかしくなったので、照れながら軽くちょこんとカーテシーを披露してこの場を後にした。
後に残った護衛の騎士達は口を揃えて
「なんて尊いんだ!女神!?それとも聖女降臨?」
「貴族の姫さまってあんなに気さくなの?」
「リリィ様は、私の女神だ!」
「普通ってあんな風にわざわざ謝ったりしないだろ?」
「貴族様からなんか貰ったのなんてはじめてだーー!」
なんかおかしいのも入っているが、リリィのこの行動でまたリリィの虜が増えたのだった。
ロウの近くのテオとヴィータの元へ戻って来ると、まだロウの周りをウロウロしていた。
飽きないのかな?
飽きないんだろうな…
「テオ!はいこれプレゼント」
「ん?ありがとう!うれしいぞ」
テオの頭に花冠を乗せる。
似合うなー。
「ヴィータも、はい」
ヴィータの頭にも乗せる。
こっちも、似合うわ。
あら?顔が真っ赤になっちゃった。
恥ずかしかったかな?
男の子だもんね、ブーケの方が良かったかな?
「ヴィータ、ごめんね?いらなかったら…」
ブンブンと頭を振ってから本当に小さな声で
「リリィ…うれしい…ありがとう…」
と呟いていた。
特にリリィには聞こえておらず、
まぁ、頭振ってるって事は嫌ではないのかな?
くらいに思われていた。
とにかく、今回の事で分かった事。
妖精は容赦ない。
ロウは聖獣。
何か高位らしい。
以上。
はー疲れた。
余談だが…
加護の付いたこの花冠とブーケはこの後数年枯れる事なく皆に少しの幸運を運び続けたのだった。
28
あなたにおすすめの小説
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる