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11.加護って誰でも貰える物なんですか?

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 色々あったけど、私が世界樹の湖に行っていた時間はそんなに経っていなかったみたい。
お母様とニナ、警護の騎士の皆さんは妖精の干渉のせいで何となくボヤーとしていたらしいです。

お父様達が狩りから休憩で戻ってきて、ハッと意識がクリアになったらしい。


恐るべし…精霊達。


それで私が居ないって騒ぎになって、お母様が何となく私が森の方へ行ったのを覚えていて。
迎えに行くってお父様が暴走。
セバスとトマスが落ち着かせてから、森に入る所で私とロウが森から出てきた…という訳だ。

もしかしたら大捜索隊とかが出るかもしれなかったから、タイミング的には良かったとしか言えない。


「…こちらが、フェンリル…聖じゅう様…」


テオが興味津々にロウの周りをウロウロしてる。
ヴィータはその後ろをウロウロ付き纏ってる。
ロウは少し面倒臭そうに尻尾をパタリと動かした。


「…せいじゅうってそんなにすごいんだ?」

『我は聖獣の中でも特別だからな。本来ならこんな所に姿を現す事は無い』


ふーん。
特別ね…、自分で言っちゃう所がね…
何だかね。


『ハハハッ!リリィは我に厳しいな』

「ロウはつっこみどころおおいからね…」


「ーーリリィ様っっ!!」

振り返ると、ニナがハイパー土下座を披露していた。


「…ニナどうし…「リリィ様から目を離し、尚且つ寝こけていたなんて!!私ニナ・ヴァンサン、不徳の致す所でございます!!如何なる処罰でもお受けします!何卒!なにとぞーーー!!」

「ニナ、おちついてかおをあげて?」

「いえっ!私めどのツラ下げてリリィ様の前に出られますか…ウッウッ」


もう出てるっての。
ニナがこうなるとかなりめんどくさいんだよね…。


「ニナ、だいじょうぶだから。なにもおきてないのだから。ね?」

「いえっ!!私に罰を!何でも受けます!罰をーーー!!」

「ニナッ!!!」

「…はい。リリィ様」

「これからもわたしのそばにいたいのなら、かおをあげてわたしをみなさい!」

「リリィ様…。眩しすぎます…我が女神」


はぁ…。
ニナよ、お前は何なんだ?
一体何がそうさせるのだ?
わからない、わからないんだよー!


『お前の周りは面白い奴が多いな。これから楽しみだ』


ーーー?
え?これから?って何?
ここでお別れじゃないの?
ん?一緒に家に帰る…のかな?
って、どこに居るつもりなんでしょうか?


『勿論、お前と一緒に帰るぞ?お前の家に』


えー!?マジで?
お父様とお母様に何て言ったらいいんだろう。
犬…コホン…。 
拾ったから飼わせて下さい?かな?


『リリィ、気付いてはいたがお前は失礼なやつだな…我を犬と一緒にするな…』

「あ、ごめんごめん。なんていったらいいのかなーって」

『…多分、何も言わなくても我が行く事はわかってると思う…契約とはそういうモノだ』


へーそうなんだ。
知らない事が沢山あるなあ。
ふーん。
あ、ニナが寝ちゃったのってやっぱり妖精のせい?


『そうだな。この森の妖精達が手を合わせてやった事だな』

「おかげでニナはこのありさまよ?かわいそうに…」

『…我に言われてもな』


そーだけどさ、ニナも被害者よね?
私もだけどさっ!


『ふむ。ーーーー。』

「?」

『ーーー。ー?ーーーー』

「ロウ?」

『王と話した。お前が作った花冠とブーケに加護を与えると、それで今回の事はチャラにして欲しい。そうだ』

「かご?なんの?」

『王の加護だ。不変ではないが、この花が枯れるまでの間皆に少しの祝福をーーだそうだ』

「ふーん。まぁ、しゅくふくってなんの?ってかんじだけど、みんながいいかんじになるならいいかな?」


じゃあ、配ってない人達に配りに行ってこよう。
ロウも一緒にくる?


『我は少しここに居る。もうあんな事にはならないから安心して行ってこい』

「そう?ニナ!いっしょにいく?」

「行きます!地獄の果てまでお供します!!」


ーーーー。
熱くてクドイなぁ。


「じゃあ、ロウあとでね」

『ああ』



リリィの後ろ姿を眺めながら、ロウは空中を見て溜息を吐いた。

『おい。王よ、あまり無茶な事するなよ?』

『ーーーーー』



◇◇◇◇



花冠を渡しにお父様達の所へ向かう。
ニナは私の斜め後ろでシュンとしながら歩いている。

うーん、辛気臭い。
ジメジメした空気が斜め後ろから漂ってくるんだ。


「…ニナ?いいかげんたちなおらないと、くちきかないよ?」

「ーー!それはっ!勘弁して下さい!」

「じゃあ、ニッコリわらって。いつもどおりにして」

「はい…、リリィ様申し訳ございませんでした」

「はい。じゃあこのはなしはもうおしまいね!」

「リリィさまぁ…」

ガバッと後ろから抱きついて来るニナを避ける事はせずに少しの間くらいは、と好きにさせた。


………。

……………………。


「ニナ?はなして」

「っは!すみません!」


もう、ニナは!こんなんだけど憎めないのよね!


「あ、おとうさま!おにいさま!」


前方に発見!キラキラオーラのお父様とお兄様。
お父様はオーラはしまえるけど、しまわないんだって!
理由はめんどくさいから。
属性とかがバレたって困らないから…だって!
すごいよね!


「ああ!リリィ!私の宝物!」


あー、ここもなんか重いな…。

「…これを。はい」


お父様とお兄様の頭に花冠を乗せた。

「ありがとうリリィ。とても綺麗だね。愛らしくてリリィのようでいつまでも愛でて…」
「リリィ。ありがとう!」


ナイス!お兄様!


「あと、セバスとトマスもかがんでくれる?」

はい、と頭に乗せていく。


「ーー!!ありがとうございます!リリィ様。このセバス一生の宝物にさせて頂きこの今の思いを…」
「え?僕もいいんすか?ありがとうございます!リリィ様」


セバスとトマスの温度差よ。
年寄りはなんか言葉がしつこいんだよね…。


「…どういたしまして。さっきロウがいってたけど、このかんむりはかごがついてるそうです」


「…確かに、凄い加護がついているように見えるな」
「確かに素晴らしい加護ですね…」
「本当に…凄い加護…っすね」

お兄様以外の3人は加護が付いている事が分かるらしい。


「おはながかれるまでのあいだ、しゅくふくがあるそうです。あ、ごえいのかたたちにはブーケをどうぞ」

皆の胸ポケットにブーケを刺していくと皆口々にお礼の言葉をくれた。


「みなさんにめいわくをかけてしまったので…ほんとうにごめんなさい。こんごはもっときをつけます」

ペコリと頭を下げて謝罪すると、皆が焦ったようにとんでもない!と逆に謝罪をしてくる始末。

ここもカオスになりそうな所をセバスが手をパンパンッと鳴らして場を納めた。


「では、テオとヴィータにもわたしてきますので」


謝罪合戦がちょっと恥ずかしくなったので、照れながら軽くちょこんとカーテシーを披露してこの場を後にした。



後に残った護衛の騎士達は口を揃えて


「なんて尊いんだ!女神!?それとも聖女降臨?」
「貴族の姫さまってあんなに気さくなの?」
「リリィ様は、私の女神だ!」
「普通ってあんな風にわざわざ謝ったりしないだろ?」
「貴族様からなんか貰ったのなんてはじめてだーー!」


なんかおかしいのも入っているが、リリィのこの行動でまたリリィの虜が増えたのだった。



ロウの近くのテオとヴィータの元へ戻って来ると、まだロウの周りをウロウロしていた。


飽きないのかな?
飽きないんだろうな…


「テオ!はいこれプレゼント」

「ん?ありがとう!うれしいぞ」


テオの頭に花冠を乗せる。
似合うなー。


「ヴィータも、はい」


ヴィータの頭にも乗せる。
こっちも、似合うわ。
あら?顔が真っ赤になっちゃった。
恥ずかしかったかな?
男の子だもんね、ブーケの方が良かったかな?


「ヴィータ、ごめんね?いらなかったら…」

ブンブンと頭を振ってから本当に小さな声で

「リリィ…うれしい…ありがとう…」

と呟いていた。


特にリリィには聞こえておらず、
まぁ、頭振ってるって事は嫌ではないのかな?
くらいに思われていた。



とにかく、今回の事で分かった事。

妖精は容赦ない。

ロウは聖獣。
何か高位らしい。

以上。
はー疲れた。



余談だが…
加護の付いたこの花冠とブーケはこの後数年枯れる事なく皆に少しの幸運を運び続けたのだった。
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