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27.とりあえずひと段落ですか?
しおりを挟む「リ、リリィ?大丈夫?」
「あ、レオだいじょうぶよ。あたまにちがのぼっただけだから」
あー、久しぶりに怒ったわ!
本当に精霊王なんてロクなもんじゃないわね。
そう思うと、この国のマルタン王は優秀だわ。
やっぱり宰相のお父様とか他の周りの人達が優秀だからだよね。
はっ!!
…そう考えたら…この精霊王は…可哀想な人なのかもしれない…。
ーーーっ!!
周りにそういうのを、注意してくれる人が…居ない…?って事?
え?人望が無いの?可哀想…
『コラコラ、リリィよ。君はどこまでも妄想が広がる子だね』
え?だって、本当の事だと思うけど?
だからこんな事が起きるんでしょ?周りからの人望があったら、過ちを起こしたらしっかり周りがフォローしたり訂正したりするでしょ?
それ、してもらえないんなら…やっぱりお飾りの…
『リリィ…それくらいにしてやってくれ…』
『オベロン、大丈夫か?お前消えそうだぞ?』
『オベロン様…』
『リリィ…コワイ…』
「リリィ…君が頭の中で何を考えているか、手に取るようにわかるけど、これ以上精霊王を責めたらだめだよ?」
「えー?でもこのおうさま、むのうよ?」
『むっーー無能…』
『リリィ!もうこれ以上はっ!!』
『リリィ…オベロンが可哀想になってきたから…』
『リリィコワイ、リリィコワイ…』
『リリィコワイ、リリィコワイ…』
「リリィ、そんな事思っても口にしてはダメだよ?傷つくよ?それにリリィが人を傷つける所なんてオレはみたくないな」
『頭で考えてもわかってしまうからな…』
『どっちにしてもな…』
『リリィコワイリリィコワイ…』
『リリィコワイリリィコワイ…』
「…そうね。ひとそれぞれ、ちょうしょもたんしょもあるものね。それがじんとくがなかったり、おかざりだったりしても、しかたないわね」
『オベロンッ!!消えるな!気を確かに!!』
『リリィコワイリリィコワイ…』
『リリィコワイリリィコワイ…』
『リリィコワイリリィコワイ…』
あら、図星ってやつ?そう思ってなかったら平気だもの。
自分もそう思ってるから平気じゃないのよね?
ファイト!オンベロ?(だっけ?)
がんばって、しっかり精霊達とやり直していらっしゃいね!
『…。我…名前さえ…』
『オベロン、負けるな』
『大丈夫。味方はいるさ』
『『オベロン様…ガンバレ』』
「リリィ。落ち着いて?えーと、オベロン様、本当にありがとうございました。自分達もこれからしっかりと正しい知識で精霊達と向き合えるようにしていきますので…そちらも頑張って下さい…」
「そうね、がんばってね。みんなにほこりにおもってもらえるような、おうをめざすのよ。おうえんしてるわ」
『リリィの…ばかぁ……!!』
『あっ!オベロン!!』
『あー、随分えぐられたな…』
『『シクシク…ボク達はオベロン様慕ってますから!!』』
キラキラした粉を残して、オンベロ(?)は去って行きました。
「リリィ…ちょっと可哀想だよ」
「え?かわいそうなのは、せいれいたちでしょ?むのうなとっぷのしたって、ほんとうにわりがあわないのよね」
『リリィそれぐらいにしておいてやってくれ…』
『オレ…なんか具合悪くなってきた…』
『レオー!ボク達の契約者レオで良かった!!』
『オベロン様…』
『ーー!!リリィ!!我は!!生まれ変わってまた来る!!それまで…待っていてくれ!』
ん?あーはい、がんばって!!
ちゃんと全部できたらまた会いましょう。
こっちはこっちでお父様達と相談して正しい事を広めていかないと!だから、ロウとセルも手伝ってね。
さ、じゃあ今度こそ、帰ろう!
帰って包子よ!
『……』
『手伝います…。我はオベロンの分まで頑張りますから…』
『…オレも…手伝うから…オベロンの事はもうそっとしてやってくれ!!頼む!!』
?慕われてるっていうより、同情されてるわね。
やっぱり可哀想な…
『もう!!これ以上はっ!!』
『リリィ!帰ろう!すぐ帰ろう!!』
「リリィ、何か皆辛そうだから…それくらいにして、帰ろう」
「?」
何かよくわからないけど、全てが丸く収まったみたい。
良かった。
これで一安心ね!
家に帰ろうと馬車に乗ると…包子の包みが…油と蒸気でクタクタになってる…
て事は、中もベチャベチャに…なってる…
ああ…酷い。
こんな事になるのなら先に家に帰って皆に食べてもらってからコッチに来ればよかった…。
皆へのお土産が台無し…
どうせなら美味しく食べてもらいたかった…
ふぅ…。
窓の外を眺めながら遠い目になるのは仕方のない事。
…全ては精霊王オンベロのせいだわ。
食べ物の恨みは深いのよ!!
「…リリィ、時間的にまだ余裕もあるしもう一度町に行って何か買う?」
「え!?いいの??」
「オレは構わないよ。セバスどうかな?」
「まあ、そうですね。時間的には問題ないので大丈夫でしょう」
「ヤッタ!!レオ!!だいすき!!」
隣に座るレオの腕にガシッと掴まった。
「えっと…ふふ。リリィ、オレも大好きだよ」
「コホン」
セバスの謎の咳払いにも負けず?レオに掴まったまま、馬車を降りて考え中!!
うーん、何を買いに行こうかな?
さっき買いそびれたチーズボール?
それとも…やっぱり包子が油っぽかったから飲み物?それともここでスイーツに…
「リリィの好きな物にしたらいいよ。今回のお礼に何でも食べてね」
「え?ほんとうに?」
「うん。そろそろお茶の時間だし。キャラメルスムージーとかカラフルソフトとかも人気らしいけど…」
「なるほどーそれもいいね!」
レオはなかなかの情報通よね。
…ん?あ、前方に見えるのはポテト!!フレンチポテト!ディップが選べるタイプのお店だわ。
でも、沢山は食べられないよな…3人で分けながらだったら3種類…いける。
隣はフルーツ飴!コッチは持って帰れるよね。
よし、じゃあポテトをここで買って食べて飴を持って帰ろう。
今回はそれで手を打つ!
「レオ、ポテトをかってたべない?で、おにいさまたちにふるーつあめをおみやげにするの!!」
「ん?分かった。あぁ、ディップが選べるんだ?セバスとオレの分もリリィが選んでくれる?いいよね?セバス」
「勿論でございます。リリィ様に選んで頂けるなんて光栄の極みで御座います!」
ヨシ。
セバスはもう放っておいて、どれにしようかな。種類沢山あるし、悩むなぁ。
少し甘いやつと、塩っぱめ、変わり種の3種類にしよう。
ホクホクで美味しいポテトを買って本当は食べ歩きたい所だけど、そこは貴族のお嬢様よ。
一応店頭のテーブルで座って食べるわ。
「おいしー!」
「本当だ美味しいね!リリィのディップも付けてもいい?オレのも使ってね」
「もちろんよ!そのための3しゅるいなのよ?」
「あはは、そっか」
「ーーーー。」
「セバスのもつけていい?…セバス?」
「あ!勿論でございますよ。リリィ様、私め少々用事ができましたので少しだけ席を外しますね。ここで食べていて下さい。すぐに戻りますので」
「?うん。わかったわ」
「それでは、レオ様少しの間リリィ様をお願い致します」
「うん。任せて」
「では」
?セバスの分も食べていいって事かな?
この手のポテトは冷めると美味しくないし、食べておいてあげよう。
これは、ポテトの為でもあるのよ。
そう、ポテトの為。
「…あれ?レオじゃない?」
「ああ、ローラン。久しぶりだね元気?」
「元気だよ。あれ?」
「ああ。紹介するよ、リリアーヌ・ベルナー嬢。クリスの妹で、オレの婚約者。リリィこちらローラン・フルニエ、財務省長官の息子」
「ああ!噂の!ローラン・フルニエです。よろしく」
噂のって何??
「リリアーヌ・ベルナーともうします。よろしくおねがいいたします」
「わあ。すごい可愛いね!しっかりしてるし。リリアーヌ様が婚約者なんて、レオ、君がうらやましいよ…」
「?まだ、こんやくしておりませんが?」
「ハハッ!手厳しい!リリィの婚約者候補筆頭を名乗らせてもらっているよ」
え?そうなの?驚きなんだけど!ていうか、聞いてないけど?どうなってるのかしら?
「いいなぁ、仲良さそうで…」
「どうかしたのか?」
「いや。今度僕の婚約者の誕生日なんだ。何かいいプレゼントはないかな?と思ってきてるのだけど、何がいいかさっぱりで…」
「そうなんだ。アクセサリーの類は?」
「そういうのは一切付けないんだよね。だから困ってるんだ」
この世界でも、そういうのあるのね。
といっても恐ろしいのはこの子達5歳って事よ。
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「そう。会いに行ってもいつも本を片手にしていて、ほとんど会話もしてもらえないんだ。僕といるより本を読んでいたいのかな?って感じだよ」
「…イザベルさまは、どのようなほんがおすきなのですか?」
「…何でしょうか…いつも何読んでいるかな…」
「こんやくしゃなのに、すきなほんもしらないのですか?」
「はは…そう言われると…」
「まずは、イザベルさまときちんとおはなしされてはいかがですか?もしかしたら、イザベルさまもてれて、どうしたらいいのかわからないだけかもしれませんし。すきなほんのこととかでしたら、はなしもはずむでしょう?」
「…確かにそうだね。…うん、きちんと話してみるよ!ありがとうリリアーヌ様」
「とんでもございませんわ。すこしでもきょりがちぢまるといいですね」
「ーー!耳が痛いセリフだね。ふふ。では、僕はイザベルの所へ行ってみるよ。レオ、リリアーヌ様、また」
颯爽とローランは従僕を従えて去って行きました。
「…リリィ、飴でも見に行こうか」
「そうね!たべおわったことだし、いきましょう」
イチゴとリンゴ、ブドウの飴を買って、セバスが戻るのを待ってから家に帰りました。
イチゴ飴、食べてみたかったんだよ!
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