乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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33. ある意味全員集合ですか?

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 ライル様と料理を取りに何往復かして、デザートも制覇しお茶を飲んでいるとレオがやって来た。


「リリィ、こんな所にいたんだ」

「レオ、ごきげんよう」

「ああ、ライル様と一緒だったんだね。良かった」

「?」

「ふふ、こんなに可愛い子を放ってはおかないでしょ?楽しい時間だったよ」

「羨ましいな…。リリィ食事はもう満足したの?」

「そうね、ほぼたべつくしたわ!ライルさまのおかげ!」

「リリィとの食事は楽しくて食が進んだよ。他のうるさい邪魔も入らなかったしね」


 ーー?
あ、女性陣の事かな?


「レディ達が目を光らせてライル様を探していましたよ?それに、親御さん達もね…」

「5歳児のセリフではないね…ふぅ、お腹も一杯になった事だし僕は治癒院に戻るとするよ。リリィ楽しかったよ。またね」

「あっ、はい!わたくしもたのしかったです!ライルさまありがとうございます!」


 頭をふわりと撫でられて手を振りながら去っていくライル様、大人の魅力満載なんですけど…
素敵なひとだなー。


「…リリィ?」

「ん?どうかした?」

「いや、なんでも。ヴィクトル殿下の所へは行った?」

「え?あいさつおわってから、ずっとここにいたからいってないわ」

「そうなの?じゃあ、顔出しに行こう」


 えー?まだ食後のお茶を楽しんでる所なのになぁ…。
まあ仕方ないか…。


「リリィ顔に出てるよ…」

「え?アラ、オホホホー!じゃ、いきましょうかっ!」

「ふふ、行こうか」


 騒めくフロアを2人で移動していると周りの視線は2つに分かれた。
一つは微笑ましく温かい目。
もう一つはレオを狙う猛禽類のような鋭い目。

こっわ!


「リリィ、離れたらダメだよ?」

と言いつつ手を握るレオ。
おお、上手いね。

 なんてのんびり考えていた私とは違って、レオは周りを威嚇しながら歩いていた。
狙われていたのはレオだけではなく、私もだったらしい。
まだ正式な婚約者同士ではない2人なので周りは虎視眈々とその空白の婚約者の席を狙っているのだった。


「あ、ヴィータいた」

「本当だね。囲まれているね…そして固まっているね…」


 カチンコチンに固まった表情のヴィータの周りには女の子達が集まっている。
ん?子犬が子供に囲まれて震えてるみたいだわ。


「あ、リリィ!!」


 囲まれていたヴィータと目が合うと彼にしては大きな声で叫び、私達の方に駆け寄って来てサッと後ろに隠れた。

 ーーー、変わってないね……。


「ヴィクトル殿下、あちらでお話ししましょうか」

 レオが声を掛けるがプルプルと震えるだけで答えない。
うーん?これではダメだよね?


「ヴィータ、こえをかけてもらっているのだから、きちんとおへんじしないとだめよ?」

 ビクッとしたヴィータはオドオドと答えた。

「…ごめん。どうしたら…いいかわからなくて…」

「殿下、大丈夫ですか?」

 コクリと頷くヴィータ。
コクリじゃなくて……

「おへんじは?」

「ーー!だ、だいじょうぶ…」


 うーん、全く変わってない……
挨拶の時のヴィータは別人だったかな?

 
「ヴィータ、どうしたいの?じぶんできめて?」

「…リリィたちと…いく…」 


 あ、ちゃんと話せてるじゃん。
やればできるのよ!がんばれ!!


「わかったわ、レオどこかすわれるばしょとかあるかしら?」

「テラスに行く?」

「そうしましょうか」


 3人でテラスに移動すると女の子達はついてくる事は無かったけど、またすごい目で見られた。
私は無実よ!


「ふぅ、ヴィータ?」

「ご…ごめんなさい」

「なにが?」

「…いつも、たすけてもらってばかり…」


 分かってるなら自分で何とかしないとね……とも思うけど、この年であの人数に囲まれて周りでワーワー言われたら萎縮もしちゃうか……。
うん、私も大人気なかった。


「わたしもごめんね。やさしくなかった…」

「……リリィはどうして、そんなにつよいの?」

「つよい?」

「いつも…ひとのちゅうしん…こわくない?」


 ーーそんな事思ってもみなかったわ。

 人の中心にいるとも思ってなかったし…どちらかというと人とか関係なく自分のしたい事をしていたというか……。
うーん、いきなり大人の精神が赤ちゃんに入り込んで…って本来なら恐怖しかないよね…
だけど、不思議と怖くなかったというか、すんなり入り込んでいったというか…だから肝が座った?
それともなんかの謎の力が働いてる?何の力?
そんなわけないか…?


「……ヴィータ、わたしは」

「ヴィクトル殿下!こんな所にいらっしゃったのですか、お探ししましたよ」


 グッとヴィータの体に力が入ったように感じた。


「全くこんな所で……あぁ、どうも失礼しました。レオポルト様、リリアーヌ様」


 誰だろう?レオは知ってる?なんでヴィータはこんなに無表情になっちゃった?


「あの……」

「あー、これはまた失礼しました先のご挨拶失礼。私、伯爵位を頂いておりますランベール・モレルと申します。息子はロベルタ・モレル。今は席を外しておりますが、ヴィクトル殿下の側近候補とされておりますので以後お見知り置きを」


 すごい早口だなぁ…。
それになんか嫌な目で見てくるな…。


「あぁ、宜しくお願いします。殿下とは今私達がお話ししている所なので…」

「ああ、それはそれは…テオドール殿下の側近候補…の方がなぜヴィクトル殿下と?」


 あ、この人、大人の嫌な所満載の人だ。
子供相手にも言葉を被せてきて嫌味を言うタイプ。
こういう人は言わせるだけ言わせといて、が一番穏便に過ごせるんだよね…かなり苦痛だけど。


「ヴィクトル殿下、こんな狭い所でコソコソと話なんてしておらずに中で皆で話しましょう。殿下とお話ししたいと言っている者も沢山おりますよ?さあ参りましょう」


 ーーー!
なっ何?この人すごい勝手な事言ってくるじゃん!さっきまで固まっていたヴィータ見てたらまたそんな中に放り込もうなんて普通思わないよ?


「ーーっ」
「ぼっ、ぼくはっ!!」

 おっ!ヴィータがんばろうとしてる!?

「なんでしょうか?ヴィクトル殿下?何かご意見でも?」

「ーーっ」


 こんな大人に上から畳み掛けるように話されたら黙っちゃうわな…こちとらまだ3歳児だし。


「モレル伯爵、大変申し訳ないのですがヴィクトル殿下と少し話したい事があるので席を外して頂いても?」

「おー!それは失礼しました。レオポルト様とどんなお話しをされるのか…分かりませんがね…」

「ふふふ、そうですね、子供の戯言…ですかね」

「ーー!フンッ!では、失礼する。ヴィクトル殿下また後程」


 うわー大人気ない……。
ああ言う大人にはなってはいけません!


「…レオ、ありがとう」


 おー!何も言っていないのにヴィータがレオに自分でお礼を言ったー!!!
やっぱり成長してるじゃん!!


「いえ、とんでもない。…勝手な事をして申し訳ございません」

「いや…あのまま、つれていかれたら…たいへんだったと…おもうから」


 結果オーライって所ね。
それにしても、あの人の息子が側近候補と言ってたよね?息子さん自身がどんな子か知らないから何とも言えないけど…あの人がヴィータの近くに居るのって何か良くない気がする…。

ん!やっぱりリュドにヴィータと一緒にいてもらった方が良さそう!!
リュド、がんばれ!!
他人事ですまん!


「あれ?メラニー嬢とコレット嬢じゃない?」

「あ、レオポルトさま」
「ほんとだわ、ごきげんよう」


 ーーー!!

あーん!めっちゃ可愛い!!双子ちゃんコーデしてる!!ツインテに色違いのドレス!!
お人形さんみたいーー持って帰りたい!!


「あ、しつれいしました。でんかもおいでだったのですね」
「リリアーヌさまもごいっしょだったのですね」


 はっ!挨拶しなくちゃ。
可愛いからって見惚れてちゃダメよ!
メラニーさんはローラン様の妹さんか!あ、コレットさんはマティアス様ってまだ会った事のない方の妹さんってこの間言ってたよね。


「はじめましてリリアーヌ・ベルナーともうします。よろしくおねがいします」

「はじめまして! メラニー・フルニエともうします」

「ごきげんよう、コレット・モローともうします。よろしくおねがいします」

「そうか、君たちは皆同じ年だね!」


 わぁ!こんな一気に会えるなんて!嬉しい!!
メラニーさんは活発な印象ね、コレットさんはおっとりしてる感じかな?
すでにこの2人は親友って感じだよね?双子コーデしてるくらいだし。
いいなぁ、私も仲良くなりたいなぁ。


「わたし、リリアーヌさまにおあいしてみたかったの!うれしい!」


 ガシッと手を握られた!


「ちょっと、メルはずかしいからやめなさい」

「えー、だってうれしいんだもん」


 ガシッと握り返してっと!

「わたくしもおあいできてうれしいわ!!」


「ーー!わたしだって、リリアーヌさまにおあいしたかったんだから!」

 
 ガシッとコレットも手を握ってきた。
何故か3人で手を握り合っている状態。
でも、なんだかすごく楽しい!


「わたしのことはリリィとよんでください!」

「リリィさま!わたしはメルとよんでくださいね」

「リリィさま、わたしはレティとよんでくださいませ」

「………ヴィータって」


 皆の視線が声の主ヴィータに集まった。
わー、顔真っ赤っか!手も震えてる。


「ボクのことも…ヴィータって…よんでください…」


 おーーー!!ヴィータッ!!
あんたがんばったね!!本当に良く頑張ったよ!


「…でんか、よろしいのですか?」

「ああ!…もちろん…おねがいします…」


 最後、声ちっさ!
でも、皆ニコニコしてうれしそう!


「レオも…ボクのことヴィータってよんでくれる?」

「ーー!もちろんです!ヴィータ」


 皆、ヴィータの奥手で人見知りな所を知っているから嬉しそうで仕方ない感じが溢れてる。


「ヴィータ、良かったね」

「あ、テオ、アディも!」

「うん。リリィのお陰…かな?」

「ちがうとおもうよ?ヴィータがじぶんでがんばったんだよ!」

「ふふ、リリィはきづいたらひとをまきこんで、いいほうこうにつれていってくれますからね」


 あら?テオと、アディ、お兄様とローラン様。
見た事がない方が1人、この方がマティアス様かな?


「初めまして、リリアーヌ様。先のご挨拶失礼します。マティアス・モローと申します。妹共々宜しくお願いします」

「リリアーヌ・ベルナーです。こちらこそよろしくおねがいいたします」


 すごい人数が勢揃いして皆で挨拶合戦。


「アディさまって」

「もう!アディでいいわよ!メルってよぶから」

「そう?うふふ。アディってうわさとはぜんぜんちがうのね」

「あ、あのときは…へんにおとなぶっていたから…ふふ、リリィのおかげでふつうになれたの」

「リリィさまのうわさは」

「ちょっと!アディはアディってよぶのに、わたしはリリィさまっておかしくない!?リリィってよんでー!そして、もうみんなためぐちでよくない?」

「「「「「「「「「ためぐち?」」」」」」」」」


 あら、タメ口が通じないかー!!


「えーと、ふれんどりーなことばではなさない?ってこと」

「成る程、タメ口ってそう言う事を言うんだね。うん、じゃあここにいる僕たち全員愛称で呼んでタメ口でいいよね?」

 
 テオが提案して、ヴィータがうんうん頷いた。


「テオがいいなら僕達は問題ないよ?ね?」


 お兄様がゴーサイン。


「そうですね、殿下達が了承されるのなら問題ないのでは?」


 マティアスは真面目なタイプなんだろうなっていう感じ。


「みんなでなかよくしましょうね」

「アディ、そうね!じゃあ、とりあえずみんなでおかしをたべに、ばいきんぐこーなーにいきましょう!!おいしそうなのもまだたくさんあったわ!!」

「リリィ…君って本当に…おもしろいね」


 え?だって同じ釜の飯を…って言うじゃない?



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