乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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63.優しい人には笑っていて欲しいと思いませんか?

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 食べてお代わりして、食べてお代わりして、食べてお代わりして……
 としている間にもレオにチラチラと秋波が送られてきます。

 まぁ、本当にカッコよくなったよね…昔もカッコ良かったけど子供っぽさが無くなった…。
 何か親戚のおばちゃんみたいな事考えちゃってるわ…こーんな小さい頃から知ってるからって話から色々失敗した話とかされるんでしょ?
 学生時代に友達が言ってたのをふわりと思い出したわ…。

 
 「リリィといると視線が凄いね」

 「ん?……レオに対する視線でしょ?」

 「何言ってるの?オレに対してもまあ、あったとしてもリリィの事狙っている奴らって凄い多いんだよ?」

 「狙う?」

 デザートのケーキを食べながらレオを見る。

 「今の君は婚約者のいない美しい女性。皆がこぞって立候補したいけど…ベルナー家という後ろ盾が怖いのと君を守ってるロウ様達が怖くて簡単には近寄れないんだよ?」

 「え?」

 「君に近寄ろうと思ったらロウ様達にも近づくという事でしょ?契約獣や精霊が怖がって…というか恐れ多くてというか…で近寄れないのもあるし、本人達もロウ様達の圧に耐えられないから遠巻きに見てるしかないという状態なんだよ」

 
 えー?ナニソレ!?
 初めて聞きましたが…。
 ロウ達が私をその…男の人達から守ってくれてる?確かに変な人に会った事もないけど…でも他の精霊達には遊び!って言ってかなり振り回されているし…そういうのは助けてはくれないって事?
 あ、でも普通に外出出来るのもロウ達が一緒だから…って事か。
 ゾロゾロ護衛がついたりしないもんね。
 皆は遊ぶ時とか結構ゾロゾロついてきてるけど私と合流すると人数がかなり減るもんね。

 …て事は感謝しなくちゃいけないよね。


 『どうやって感謝してくれるのかなー?』
 「セル!なによ…あ、ちょっとやめて!取らないで!あっ!!」
 『ごちそーさん』

 最後の一口……食べられた……。
一口ちょーだいよりも…タチが悪いやつよ……。
 セル…あんた…覚えてらっしゃいよ……。

 『うぉ!何怖いじゃん、どーしたのよ?』
 「ネスル…セルが…最後の一口……」

 『おい、謝っておいた方が後がラクだぞ?』
 「どういう意味よロウ!」

 『そのままの意味だよなぁ~』
 「ちょっと…ラスク?」

 「……アハハッ、ククク…」
 「ちょっと、レオまで!」


 皆でいじってくる!ひどいわ!!
 

 「ハハハッ、ごめんごめん。本当に仲がいいなと思ってね。…ロウ様達にオレは少しくらいは認められているのかな?」

 「レオ?急にどうしたのよ?」
 「オレといても威嚇とかはされないし」

 『…それはアレだな腐れ縁というやつでもあるな』
 『レオはなぁ自分が大変だったのに更に茨の道を行くんだもんなぁ、マゾだな!オレッチはそういうの嫌いじゃないぜぇ?』
 『すでに家族みたいなものじゃないのか?』
 『ミシェルを納得させるのが一番大変だ~』

 
 皆口々に好きなことを言っていますが、当の本人のレオはなんだか少し嬉しそう?
 セルがマゾって言ってたのもあながち間違っていないのかな…?

 
 「……情けない話だけどミシェル様が納得するような何か誇れるもの…を見つけるのに苦戦しているんだ」

 「え?」

 「それに、まだ活躍も何もしていない。そんなオレはまだリリィに相応しくないんだろうね…」

 伏し目がちにレオは独り言のように呟いた。


 「レオ?」
 「ああ、ごめんね。リリィの前で言うべき事じゃなかった。ケーキ持ってくるよ」

 
 スッと席を立ってデザートコーナーへケーキを取りに行ってくれるレオの後ろ姿を見ながら少し悲しい気持ちになってしまった。

 レオにはいつも楽しそうに微笑んでいて欲しいな…。
 過去のレオの辛い経験を思い出して、余計に悲しい気持ちになってしまって、自分に何か出来る事はないか考えてみる……って、お父様にレオが認められるように…って事は婚約OKって事になっちゃうんじゃ!?

 えと!!いやいや、そうじゃなくて!!
 レオの事は…好き?人としては好きだけどそれは愛なのか!?それともただの好きなのか!?
 
 って!愛って!!何?急に!!
 落ち着けー!自分落ち着けーー!!

 ロウ達はクククと笑いを堪えている。


 「はい、ケーキ。あれ?リリィどうしたの?顔が赤いよ?」

 「なっ…何でも…ない、あ、ケーキありがと」

 「そう?好きそうなのが二つあったから持ってきたよ。半分こずつしよう」

 
 レオがモテるのってこういう所よね、優しくて人の事よく見てる。
 私のしたい事とかして欲しい事を察してくれるのよね。
 痒い所に手が届くタイプ。

 
 「リリィ?どうしたの?食べられる?」
 「たっ!食べれる…レオ…いつもありがとね」

 「どういたしまして。リリィの喜ぶ顔を見るのが一番だからね。はいどうぞ」

  「う!うん。ありがと…」


 ケーキを取り分けてくれて用意してくれる。
 はー!やっぱりこの人イケメンです!!

 
 「そうだ。一月後の実戦訓練は一年生とペア組んで回るのだけど、リリィ、オレと組んでくれる?」

 「え?もう実戦訓練あるの?ヤッタ!!」

 「…リリィ、ちゃんとイベントとかは把握しておかないと大変な事になるよ?準備しておかなくちゃいけない物とか今後出てくるだろうし。フォローしてあげられる事はフォローするけどね」

 「…そういえば今回のオリエンテーションも知らなくてアディにも呆れられたわ…」

 「リリィは周りが沢山助けてくれるだろうけど、中等生になったし自分でもちゃんとしなくちゃダメだよ?」

 「分かった。ちゃんと確認するようにする!だけど、困った時はレオも助けてね?」

 「勿論。で、約束は?」
 「実戦訓練の?もちろんよ!レオが一緒に回ってくれるなら安心だもの」

 「良かった…」
 「何が?」

 「断られたらどうしようかと思って…」
 「断らないわよ?私なんかと一緒に回ってくれるのなんて、きっとレオかリュドかお兄様くらいしかいないと思うわ」

 「ふふ、その勘違いだけはずっとしておいて欲しいな…」
 「?」
 
 「楽しみにしとくね。さ、食べよう?食べたらダンスでも踊りに行こうか?」

 「ーーそれは!お断りさせて頂くわっ!!」

 「ククク…じゃあ、今度レッスンしようか?」

 「ーー!ーーお願いします…」


 ほらね、レオにはお見通しなのよ。
 ダンスは苦手だから踊りたくないのがバレてる。
 レオはダンスが得意らしいから…レッスンしてもらった方がいいよね。


 楽しそうに笑うレオはさっきまでとは違って、ドSな顔をしていた……。
 
 ロウ達も…ニヤニヤしてた……。

 もう!!
 何なのよ!!
 
 


 
 
 
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