乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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106.怪しい予感!!

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 「厳密な時間が出たそうだよ。6分30秒」

 
 テオが笑って伝えて来たのは私達がダンジョンに入ってから出てくるまでの時間。アディは隣で苦笑いしている。

 
 「ココは小さいダンジョンなのでそこそこの腕があれば一昼夜でボス部屋には到着できるんですけど、そこそこの人だとボスを攻略出来ないんです。ドラゴン種の中でも中位くらいのレベルなので……それをねぇ……」

 
 そう言ってため息を吐くのは王宮魔導士のセナ様。


 「聖獣様達なので仕方ないですね。それに、レオもリリィ様も助かったみたいですし。万事OKという事ですね」

 
 セナ様はそう言うとレオの頭をグリグリとかき回した。二人は仲が良いのかな?


 「ちょ、セナ様やめて……」 
 「レオがさっさとミシェル様からリリィ様を奪わないから隙をつかれてこういう事になるんだ。国内だと周知の事実でも国外には話を聞かない奴らも多いんだから」


 セナ様が真剣な顔でそう言うとレオは分かりやすくシュンとしてしまった。


 「今回……オレ頑張ってあいつらよりも早くダンジョンクリアしてリリィを守ってそれをミシェル様に……」


 ガックリと項垂れて肩を落とすレオの周りにロウ達が集まって行った。


 『レ、レオ……スマン』
 『そ、そうだよな、いいチャンスだったよな……スマン』

 ロウとセルが焦ったように謝っている。

 『あー、そっか。悪かったな……その、次があるさ!』
 『ミシェルもな……我等にはそこは手出しができんからな……スマン』

 それを見てネスルとオベロンも謝っていた。


 「聖獣様と精霊王に謝られている……」 
 「こんな……近くにおられるのも奇跡なのに……」


 全てを知っているセナ様と宰相側近のイシトは顔を見合わせて震えていた。


 
 それから3時のお茶をしてアディは王妃様からの呼び出しで王宮に戻り、他のメンバーはここでやれる仕事をしながらのんびり?トレファス兄妹の帰還を待っていた。

 私とレオはセナ様の仕事の手伝いをしていたが陽が傾いてきた事に気付きふと素朴な疑問を皆にぶつけた。


 「……ねぇ、呼び戻したら早いんじゃないの?」

 「あー、始めはそうする予定だったのですが、あの兄妹グールをダンジョンに置いて行っていると聞きましたので少し探りを入れているんです」

 すみません、とイシトが謝るとセナ様が続けて話してくれた。

 「ダンジョン内に自分の契約獣や召喚獣を置く事はできます。それは特に問題無い。ただグールと言う所が少し引っかかってまして……トレファス兄妹は闇属性では無いとの事ですから」
 「グールは闇属性じゃないと召喚できないの?」
 「まあ、基本的にはそうですね。特に何も無ければ……いいのですけどね」

 
 セナ様はダンジョンを見て手元にある魔道具を確認すると眉をひそめた。


 「……セナ様?」
 「……彼等も実力はあるのでしょう。もうすぐボス部屋ですね。それにしても魔動具を利用して召喚魔法を使っているとしてもグールの数がエグい……」


 ダンジョン内の様子は今回魔道具で確認されている。チラリと覗くと魔動具の画面いっぱいにグールの姿が映っていた。


 「リリィ様、彼等はもしかしたらボスを倒した後も出て来ないかもしれません」
 「どう言う事?」
 「彼等はリリィ様達が既にクリアしている事に気付いていません。何かボス部屋に細工をして待ち伏せ? をするかも」
 「……そんな事して何か得する事なんてあるの?」
 「それは何とも言えませんが……リリィ様が聖獣様や精霊王様と契約している事は国内機密でもありますから、それが漏れているとは思えないのですが……」
 
 『無理やりに連れて行くよりも従えさせて連れて行きたいのだろう。レオに関してもそうだと思う』
 「ロウ? どう言う事?」
 『ダンジョン対決で勝つ事が第一だが、勝った上でお前達を自分の思い通りに動かしたいって事だな。何かで操ってでも』
 「操るって……」
 『到着したな』

 
 魔道具を見るとボス部屋に入るトレファス兄妹の姿があった。ボスはさっきロウ達が倒したドラゴン。既に復活しているのは恐怖だけどダンジョンの仕組みが判っていないのでそういうモノだとされている。


 「何? 何か置いた?」
 
 
 トレファス兄がドラゴンを挑発している隙に部屋の四角にトレファス妹がサッと何かを置いている。

 
 『召喚の魔道具だな。禍々しい気配がたっている』

 
 兄が呪文を唱えると首につけているペンダントが光り魔道具に向かってその光が吸収された。

 妹は土魔法で壁を作り兄はまだ詠唱を続けていた。


 『さて、何が出てくるかな』


 その言葉と同時にモヤが部屋全体に広がり影が映った。ドラゴンは咆哮をあげている。
 
 モヤが消失するとそこに現れたのはアンデッドドラゴン。

 
 『──!! コイツ……ファブニールか?』
 「ファブ? ロウ知ってるの?」
 『まぁ一応。だが、普通のドラゴンだった筈なのだが……何故アンデッド?』
 

 ボス部屋のドラゴンはアンデッドドラゴンの毒にやられて暫くして消滅した。


 「……強い」
 

 消滅した後宝箱を開けずそのまま放置してアンデッドドラゴンをそのままに兄妹は何か二人で話している。その後キョロキョロし頷くとトレファス兄は姿形を変えた。


 その姿は禍々しく魔のモノ特有の黒いオーラを纏っていた。
 
 
 

 



 
 
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