乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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107.なんかゴメン!!

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 トレファス兄は禍々しい魔のモノの姿になった。

 魔道具の前で私達は目を見開いて固まっていた。

 
 「魔の……モノ……?」
 『トレファス兄が元々そうだったのか、それともなり変わられているのか……』
 

 魔道具の向こうでニヤニヤとしているトレファス兄妹。勝ちを確信しているような表情だ。
 実際にはもうすでに私達がダンジョンを制覇し戻ってきている。このまま放置して戻るのもありなんじゃない? なんて思いがムクリと込み上げてくるが、あの魔のモノを放置はできない……。


 さて、どうした物かと皆で頭を悩ませていた。

 
 『とりあえずアンデッドドラゴン……あいつとダンジョン内のグールは片付けておかねばならんのじゃないか?』
 
 そうネスルがロウ達に問いかけた。
 
 『まあ確かにそうだな。次に来る奴らの為にもクリーンにしておくべきではあるな……』

 ロウはそう言うとよっこいしょと立ち上がり大きく伸びをしてから私達に振り返った。


 『リリィ達はどうする?』
 「そりゃあ一緒に行くわよ? 何も出来ないけどね」

  ロウ達に任せてしまえば簡単な事だけど、トレファス兄妹が何をしようとしているのか確認しなければいけないと思う。
 テオも入ると言っているけど皆に止められた。
 レオは勿論行くと言っていてライル様セナ様イシスで話し合っている。

 
 『リリィ、奴らが何を考えているのか分からんが良いのか?』
 「大丈夫よ。元々私達に売られた喧嘩でしょ? 売られた物は買うし、倍返ししないと気が済まないわ」
 『ハハッ!! 成る程。じゃあ我等もリリィと同じ様に奴らに倍返ししないといけないな!!』
 

 ロウがそう言うと皆が笑って頷いた。
 
 ───大丈夫かな??

 「リリィ、さっきは何もできなかったけど、今度はオレも何かの足しくらいになるようには頑張るよ」
 「レオは一緒に居てくれるだけで心強いんだからね!」

 アハハとレオと私は笑い少し気を引き締めた。


 
 今回は魔道士のセナ様も一緒に再びダンジョンに入った。
 グール達で埋め尽くされたダンジョン内は気分の良い物では無かったが、セナ様がまず状況を確認してOKが出ればロウ達が倒して行く。溢れてきた奴らをレオが倒していた。

 私は基本的に皆より後方にいて周りを見ながらレオも十分に強いわ、と感心していた。

 私はそんな彼等の強さに引き締めたはずの気を抜いてしまっていたと思う。


 行きのように蹴散らしては行かなかったのでボス部屋到着までに時間は掛かってしまったけどそれでも普通の人達よりはかなりハイペースでボス部屋に到着した。


 扉を開く。


 そこにはトレファス兄妹の姿があり先程まで魔のモノの姿だった兄は元に戻っていた。


 「ククク、遅かったではないか? 我等は随分前にボスを倒したぞ?」
 「ウフフ、勝負は私達の勝ちね」
 
 トレファス兄妹は口々に勝った勝ったと話してくる。


 「精霊姫は我が手の中に。レオはマリアのモノに……」
 「あ、お話し中すみませんね」


 セナ様がトレファス兄が話しているのを遮って話を進めた。


 「えーと、何件かお話ししておかなくてはいけない事があるのでよろしいですか?」
 
 
 トレファス兄妹は眉間にシワを寄せて聞いている。

 
 「まずですね、レオ、リリィ様は既にダンジョンをクリアされています」
 「はぁっ!?」


 トレファス妹が淑女らしからぬ声をあげた。


 「開始6分半の最短記録でクリアされています。報酬のアイテムも同時に確認済みです。貴方方を待って随分と時間が過ぎてしまいましたけども」


 トレファス兄妹をチラリと見ながらセナ様は淡々と話した。

 
 「そんな筈ないわっ! グールだって置いたし!」
 「あ、グール達は全て消滅させてありますのでご安心下さいね」


 セナ様の言葉を聞いてトレファス妹はワナワナと肩を震わせた。

 
 「ちょっと! どう言う事よ!! シナリオではまだ弱いはずよ!!」
 「?? シナリオ??」
 「──っどうでもいいわっ!! お兄様!!」
 「ククッ仕方ない。精霊姫よ……我が手元に……」
 

 トレファス妹が訳のわからない事を言い出して、兄が私に向かって何かモヤを発した。


 ───発したのだが、私の守りの力はそれ以上だったらしく特に奴何も起きなかった。


 「………… 」
 「………… 」


 皆が無言で、そして少し悲しい目で兄を見つめた。

 「──っっ、もう一度だっっ!!」

 そう言って手を翳しモヤを出すがまたモヤモヤっと少し近づいて……その後拡散した……。



 「……なんか、ごめん」


 意図せず謝罪の言葉が口から漏れ出していた。



 
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