天使のトリセツ

切羽未依

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真っ暗な部屋

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 お弁当屋さんのバイトが終わって、ビッグ唐揚からあげをお土産に持って帰る。

 アパートの前、自分の部屋を見上げて、思わずつぶやく。
「俺の部屋、電気、点いてない…」

 俺は、ダッシュで、階段を駆け上り、自分の部屋のカギを、あわあわ、バッグの中、探す。あった!カギ穴に突っ込んで、回して、引っこ抜いて、ドアを開けて、回れ右!後ろ向きで入って、ドア閉めて、カギ締めて、バッグは床に置いて、ビッグ唐揚の袋と服の袋は、横の洗濯機の上に置くと、玄関に座って、靴ヒモほどいて、スニーカーから足、引っこ抜いて、立ち上がり、回れ右!左にミニキッチン、右にユニットバスの短い廊下を駆け抜けて、部屋の電気を点ける。


 窓の前に、天使様は、いなかった。


 俺は、はぁぁぁぁぁぁぁぁ…と、体がしぼんじゃうようなため息をついて、座り込み、うなだれた。

 俺が弁当屋のバイトで、ビッグ唐揚、じゃあじゃあ、揚げてるうちに、雲が出たのかな。
 天国に帰れたんだから、よかったんだよ。うん。よかった。よかった。
 天使様に食べてもらおうと思って、ビッグ唐揚、もらって来たのなぁ……
 どうするよ?買って来た服。あんなちっちぇ服、俺の関係者で、着れるヤツいないよ?返品できるかなあ?レシートはある。明日、お店に聞いてみよう…


 俺は立ち上がると、
「おい!」
 手を振って、ツッコんだ。

 天使様はベッドで、うつぶせ寝してた。掛け布団、斜めってて、上手く掛かってない。
 睡眠欲がないなんて、ウソだよね?!

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