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臨時休業
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ようやく火曜日が来た。
今日は、冬の洋服を見て来るという口実で、笙悧は家を出た。「見て来る」と、母親には言ったので、買って帰らなくても、「気に入ったのがなかった」と言い訳できる。
明日の口実は、明日、考えよう…
ぽぽんたに、開く自動ドアから入ると、甘い、いい匂いがしなかった。
宇宙が寝ていた。長椅子の横に、イートインスペースの椅子を2脚ずつ、向かい合わせにして、長~く並べて、黒いジャージの上着を敷いた上に。
ショーケースの向こうに、希更は、いない。
ショーケースも空っぽだ。
店の方は、照明が点いているが、イートインスペースの方は、カーテンが閉められたまま、照明も点いていなくて、薄暗い。
巌も、いない。
定休日の水曜日じゃないのに、どうしたのかな…
笙悧は長椅子の端に、リュックを下ろし、カーディガンを脱いだ。マスクは着けたままでいる。
ジャージの上着を着ていない宇宙は、半袖Tシャツで、ちょっと寒そうに見えた。
Tシャツの柄は、いわゆるヘソ天で、眠っているネコで、自分の上にネコを乗っけて寝ているみたいだった。
笙悧は、自分のカーディガンを、寝ている宇宙に掛けた。
すると、もぞっと、カーディガンの下で、宇宙の腕が動いた。目を閉じたまま、宇宙は腕を出し、カーディガンを掴む。
暑かったかな?
宇宙の掴んだ手は、カーディガンを引き剥がすかと思ったら、かき寄せるようにして、寝続ける。
また半袖の腕が剥き出しになってしまって、寒そうだったが、どうにもできない。
笙悧は、リュックから楽譜を出すと、アップライトピアノと長椅子の間に立ち、譜面台に広げて置くと、座った。
楽譜を眺めると、先週の木曜日の、1回目の歌とピアノが、笙悧の中で再生される。
自動ドアが開く音に、笙悧は振り返った。
「あ、おはよう…」
巌が、見るからに、メガネの奥の目は眠そうで、あいさつして来る。手にはレジ袋を提げて、入って来た。
「おはようございます」
もう昼は過ぎているのに。と思いながら、笙悧は応える。
巌さんは眠そうで、宇宙は爆睡してる。――昨夜、何かあった?
笙悧は心配で、たまらなくなる。
なぜか巌は、向こうの壁沿いに歩いて、空っぽのショーケースの前を歩き、薄暗いイートインスペースのテーブルに、ガサッと、レジ袋を置いた。
次々に、カーテンを開け、窓も開ける。
変拍子の、電車が線路を走る音が聴こえる。
巌はテーブルまで戻って、椅子がないことに気付く。周りを見回すと、ほとんど椅子がない。
「何で、椅子、ないんだ?」
小声で、つぶやきながら、奥のテーブルから椅子を持って来て、どさっと、座る。
眠すぎて巌は、全く頭が回っていなかった。
笙悧に向かって言う。
「ごめんね。希更が、毎月のアレで、臨時休業。」
「そうなんですか…」
――笙悧は、巌が眠そうにしている理由がわかって、頬が熱くなる。
「悪いけど、ちょっとメシ、食わせてね。今朝、朝メシも食えなくて。」
巌は言って、レジ袋から、お茶のペットボトル、おにぎり、パン、惣菜のパック、弁当を、テーブルに出す。
「子どもたちは、じいちゃん、ばあちゃんに預けて、面倒みてもらってんだけどさ…」
巌は、大きなあくびをすると、割り箸を持ったまま、両腕を上げて大きく伸びをする。両腕を下ろすと、手を合わせた。
「いただきます」
弁当を食べ始める。
宇宙は、ぼんやりと目を開けた。
椅子の背もたれに、手を掛けて、体を引き上げるように、起き上がる。掛けられていたカーディガンが、Tシャツのヘソ天のネコの上を、すべり落ちる。
半袖の腕に、寒さを感じて、カーディガンを肩に掛け、くるまる。あたたかかった。
見ると、マスクを着けた笙悧がいた。
「おはよう、笙悧」
「おはよう」
宇宙が起き上がった音に振り返っていた笙悧は、あいさつを返した。もう昼は過ぎてるけど。と思いながら。
宇宙は、ふああああと、大きな口を開けて、あくびをした。
「昨夜、いきなり、コンビニ、夜勤、頼まれちゃってさ。家に帰って寝たら、確実に、起きれないと思って、こっちで寝てた。朝、早くても、店長さんは、ケーキ作ってるから、いるはずなのに、開いてなくて、」
「宇宙。俺、ここに、いるからな」
巌は、宇宙を遮って、言った。
宇宙は、巌がいるイートインスペースの方を見た。
「あ、いたんスか」
「いるよ。――あ、てめえか。椅子泥棒。」
やっと巌は、椅子が、ほとんどない原因に気付いた。
「今日、練習、やめようか?」
笙悧は思い切って、言った。
「え?何で?」
「いいよ。気にしないで。勝手に、こっちで寝てるから。」
宇宙と巌は、同時に言った。
「寝起きで、声を出すのは、喉に悪いと思う」
笙悧は、宇宙に言った。
「それより、腹ペコで、声、出ないと思う」
「悪い。お前のおにぎりとサンドイッチ、食っちゃった」
「マジかよ!!」
巌が言うと、宇宙は体を伸び上がらせて、イートインスペースの方を見た。
巌は手招きする。
「ちゃんと、お前の分、買って来てるって。こっち、来い。惣菜もあるぜ」
「早く言って~」
宇宙は、椅子の間から、もぞもぞ、抜け出すと、笙悧のカーディガンを肩に掛けたまま、イートインスペースへ行く。すぐに、戻って来た。
宇宙は、自分が寝ていた椅子の1脚を、持って行こうとして、敷いていたジャージの上着が落ちかけて、掴む。と同時に、自分の肩から、掛けていたカーディガンも落ちかけて、もう片方の手で掴む。
宇宙は、片手にジャージ、もう片手にカーディガンを、目の前に持って、見比べる。
「ごめん。笙悧のカーディガン、まちがって着てた」
宇宙は、笙悧に、カーディガンを返す。自分のジャージを着て、ファスナーを上げると、椅子を1脚、持って、イートインスペースへ行った。
笙悧は、カーディガンをたたんで置くと、向き直り、マスクを外して、ズボンのポケットに入れた。
鍵盤の上に両手を置き、宇宙の歌といっしょじゃなきゃ、ピアノの演奏が崩れるな…と思う。
バイエルを弾き始めた。
「ピアノを弾く」という意識もなく、指が動く。足もペダルを踏み、離す。
笙悧がピアノを始めたのは、暖の姉が楽しそうにピアノを弾いていたからだった。
暖の姉は、小さい頃にピアノを習っていて、もう辞めていたのだが、弾くことは大好きで、自分でピアノ楽譜を買って、家のアップライトピアノで、ジブリ映画の曲やヒット曲を弾いていた。
暖の家に遊びに行って、暖の姉が弾くピアノに合わせて、歌ったり、踊ったりするのが、笙悧は大好きだった。
ピアノを習い始めると、好きな曲なんか弾かせてもらえなくて、毎週、退屈なメロディーばかり、ピアノの先生に言う通りに弾くのは、全然、楽しくなかった。
でも、暖の家のアップライトピアノで、暖の姉に楽譜を借りて、ジブリ映画の曲を弾いてみると、すらすら、弾けて、暖の家族からも、自分の家族からも、いっぱい、褒められた。
好きな曲を弾くための練習と思えば、退屈なメロディーを、ピアノの先生に言う通りに弾くことも、嫌じゃなくなった。
そのうち、自分でも知っている曲を弾かせてもらえるようになって、ピアノを習うことが、本当に楽しくなって来た。
ぼくも、ピアノを弾くのが、大好きだった。
笙悧は気付いた。
ぼくと、宇宙は、同じなんだ。
大好きなものを、自分じゃどうにもできない理由で、取り上げられた。
ピアノを弾く指も、ペダルを踏み、離す足も止まらずに、笙悧は、宇宙の方を見る。
巌と、からあげの最後の1個を賭けて、ピアノの演奏の邪魔にならないように、サイレントじゃんけんをしていた。
今日は、冬の洋服を見て来るという口実で、笙悧は家を出た。「見て来る」と、母親には言ったので、買って帰らなくても、「気に入ったのがなかった」と言い訳できる。
明日の口実は、明日、考えよう…
ぽぽんたに、開く自動ドアから入ると、甘い、いい匂いがしなかった。
宇宙が寝ていた。長椅子の横に、イートインスペースの椅子を2脚ずつ、向かい合わせにして、長~く並べて、黒いジャージの上着を敷いた上に。
ショーケースの向こうに、希更は、いない。
ショーケースも空っぽだ。
店の方は、照明が点いているが、イートインスペースの方は、カーテンが閉められたまま、照明も点いていなくて、薄暗い。
巌も、いない。
定休日の水曜日じゃないのに、どうしたのかな…
笙悧は長椅子の端に、リュックを下ろし、カーディガンを脱いだ。マスクは着けたままでいる。
ジャージの上着を着ていない宇宙は、半袖Tシャツで、ちょっと寒そうに見えた。
Tシャツの柄は、いわゆるヘソ天で、眠っているネコで、自分の上にネコを乗っけて寝ているみたいだった。
笙悧は、自分のカーディガンを、寝ている宇宙に掛けた。
すると、もぞっと、カーディガンの下で、宇宙の腕が動いた。目を閉じたまま、宇宙は腕を出し、カーディガンを掴む。
暑かったかな?
宇宙の掴んだ手は、カーディガンを引き剥がすかと思ったら、かき寄せるようにして、寝続ける。
また半袖の腕が剥き出しになってしまって、寒そうだったが、どうにもできない。
笙悧は、リュックから楽譜を出すと、アップライトピアノと長椅子の間に立ち、譜面台に広げて置くと、座った。
楽譜を眺めると、先週の木曜日の、1回目の歌とピアノが、笙悧の中で再生される。
自動ドアが開く音に、笙悧は振り返った。
「あ、おはよう…」
巌が、見るからに、メガネの奥の目は眠そうで、あいさつして来る。手にはレジ袋を提げて、入って来た。
「おはようございます」
もう昼は過ぎているのに。と思いながら、笙悧は応える。
巌さんは眠そうで、宇宙は爆睡してる。――昨夜、何かあった?
笙悧は心配で、たまらなくなる。
なぜか巌は、向こうの壁沿いに歩いて、空っぽのショーケースの前を歩き、薄暗いイートインスペースのテーブルに、ガサッと、レジ袋を置いた。
次々に、カーテンを開け、窓も開ける。
変拍子の、電車が線路を走る音が聴こえる。
巌はテーブルまで戻って、椅子がないことに気付く。周りを見回すと、ほとんど椅子がない。
「何で、椅子、ないんだ?」
小声で、つぶやきながら、奥のテーブルから椅子を持って来て、どさっと、座る。
眠すぎて巌は、全く頭が回っていなかった。
笙悧に向かって言う。
「ごめんね。希更が、毎月のアレで、臨時休業。」
「そうなんですか…」
――笙悧は、巌が眠そうにしている理由がわかって、頬が熱くなる。
「悪いけど、ちょっとメシ、食わせてね。今朝、朝メシも食えなくて。」
巌は言って、レジ袋から、お茶のペットボトル、おにぎり、パン、惣菜のパック、弁当を、テーブルに出す。
「子どもたちは、じいちゃん、ばあちゃんに預けて、面倒みてもらってんだけどさ…」
巌は、大きなあくびをすると、割り箸を持ったまま、両腕を上げて大きく伸びをする。両腕を下ろすと、手を合わせた。
「いただきます」
弁当を食べ始める。
宇宙は、ぼんやりと目を開けた。
椅子の背もたれに、手を掛けて、体を引き上げるように、起き上がる。掛けられていたカーディガンが、Tシャツのヘソ天のネコの上を、すべり落ちる。
半袖の腕に、寒さを感じて、カーディガンを肩に掛け、くるまる。あたたかかった。
見ると、マスクを着けた笙悧がいた。
「おはよう、笙悧」
「おはよう」
宇宙が起き上がった音に振り返っていた笙悧は、あいさつを返した。もう昼は過ぎてるけど。と思いながら。
宇宙は、ふああああと、大きな口を開けて、あくびをした。
「昨夜、いきなり、コンビニ、夜勤、頼まれちゃってさ。家に帰って寝たら、確実に、起きれないと思って、こっちで寝てた。朝、早くても、店長さんは、ケーキ作ってるから、いるはずなのに、開いてなくて、」
「宇宙。俺、ここに、いるからな」
巌は、宇宙を遮って、言った。
宇宙は、巌がいるイートインスペースの方を見た。
「あ、いたんスか」
「いるよ。――あ、てめえか。椅子泥棒。」
やっと巌は、椅子が、ほとんどない原因に気付いた。
「今日、練習、やめようか?」
笙悧は思い切って、言った。
「え?何で?」
「いいよ。気にしないで。勝手に、こっちで寝てるから。」
宇宙と巌は、同時に言った。
「寝起きで、声を出すのは、喉に悪いと思う」
笙悧は、宇宙に言った。
「それより、腹ペコで、声、出ないと思う」
「悪い。お前のおにぎりとサンドイッチ、食っちゃった」
「マジかよ!!」
巌が言うと、宇宙は体を伸び上がらせて、イートインスペースの方を見た。
巌は手招きする。
「ちゃんと、お前の分、買って来てるって。こっち、来い。惣菜もあるぜ」
「早く言って~」
宇宙は、椅子の間から、もぞもぞ、抜け出すと、笙悧のカーディガンを肩に掛けたまま、イートインスペースへ行く。すぐに、戻って来た。
宇宙は、自分が寝ていた椅子の1脚を、持って行こうとして、敷いていたジャージの上着が落ちかけて、掴む。と同時に、自分の肩から、掛けていたカーディガンも落ちかけて、もう片方の手で掴む。
宇宙は、片手にジャージ、もう片手にカーディガンを、目の前に持って、見比べる。
「ごめん。笙悧のカーディガン、まちがって着てた」
宇宙は、笙悧に、カーディガンを返す。自分のジャージを着て、ファスナーを上げると、椅子を1脚、持って、イートインスペースへ行った。
笙悧は、カーディガンをたたんで置くと、向き直り、マスクを外して、ズボンのポケットに入れた。
鍵盤の上に両手を置き、宇宙の歌といっしょじゃなきゃ、ピアノの演奏が崩れるな…と思う。
バイエルを弾き始めた。
「ピアノを弾く」という意識もなく、指が動く。足もペダルを踏み、離す。
笙悧がピアノを始めたのは、暖の姉が楽しそうにピアノを弾いていたからだった。
暖の姉は、小さい頃にピアノを習っていて、もう辞めていたのだが、弾くことは大好きで、自分でピアノ楽譜を買って、家のアップライトピアノで、ジブリ映画の曲やヒット曲を弾いていた。
暖の家に遊びに行って、暖の姉が弾くピアノに合わせて、歌ったり、踊ったりするのが、笙悧は大好きだった。
ピアノを習い始めると、好きな曲なんか弾かせてもらえなくて、毎週、退屈なメロディーばかり、ピアノの先生に言う通りに弾くのは、全然、楽しくなかった。
でも、暖の家のアップライトピアノで、暖の姉に楽譜を借りて、ジブリ映画の曲を弾いてみると、すらすら、弾けて、暖の家族からも、自分の家族からも、いっぱい、褒められた。
好きな曲を弾くための練習と思えば、退屈なメロディーを、ピアノの先生に言う通りに弾くことも、嫌じゃなくなった。
そのうち、自分でも知っている曲を弾かせてもらえるようになって、ピアノを習うことが、本当に楽しくなって来た。
ぼくも、ピアノを弾くのが、大好きだった。
笙悧は気付いた。
ぼくと、宇宙は、同じなんだ。
大好きなものを、自分じゃどうにもできない理由で、取り上げられた。
ピアノを弾く指も、ペダルを踏み、離す足も止まらずに、笙悧は、宇宙の方を見る。
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