ラブプレイ~Hな二人の純愛ライフ~

中村 心響

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何だか久し振りに言い合った気がする。。。

距離を置いたお陰か今こうして逢ってみて、妙な不安は湧いてこない。


元気そうで良かった……。

静かになった病室内。

あたしは安心したため息を微かに漏らしていた。

今だ向こう側を向いたままの夏希ちゃんを見つめる。整った横顔。

ぱらつく髪の間から覗く形のいい耳が見える。

すごく久し振りな景色だ。そう感じながらじっと眺めていると、その夏希ちゃんの管に繋がれた腕が少しずつベあたしの方へと寄ってきている……。

手だけをもそもそと動かし、そっと近付いてきたその指先はあたしの手を探り当てると、摘まむように指に触れていた……。

夏希ちゃんは何も言わずゆっくりと指先だけを絡めていく。

控え目なその動きを見つめ、視線を移せば腕に刺さった点滴の針に目が止まった。

見ただけでちょっと痛々しい。

離れたら寂しくて死んじゃうなんて、真顔で本気とも冗談ともとれるようなことを言ってた夏希ちゃんは……

あたしと離れ、本当に命の危険に曝された。

あたしが居ないと夏希ちゃんはダメになっちゃうんだ……

あんなに何でも出来て仕事も順調でパーフェクトなのに

こんなにすごい夏希ちゃんはあたしが居ないだけで

ダメになっちゃう人なんだ……


そう思い直すとまた特別な感情があたしの中に芽生えてくる──

顔を背けたままの夏希ちゃんの横顔を見つめ、自然とくすぐったい想いが湧いてくる。



あたしの指を握ったまま、向こう側を向く夏希ちゃんの横顔が微かに赤い。


ああ……

あたしはこの顔を知っている──

好きだって真っ直ぐに想いを告げながらも

一人で勝手に照れまくる。

あの時の
とても可愛い

愛しい表情(かお)だ──


あたしは腰を屈め、指を絡めたまま点滴の針が刺された夏希ちゃんの腕にそっと唇を押し当てていた──

その感触に驚いたのかびくりと夏希ちゃんの腕が動く。

夏希ちゃんはゆっくりとあたしの方へ顔を向けた……。


驚いた表情の夏希ちゃんの唇が何かを言いたそうに微かに開く。

目は口ほどに物をいう──

その言葉の通り

しだいに夏希ちゃんの瞳が熱を持って揺れていた。

あたしの影が上から重なる。

夏希ちゃんはそんなあたしを見つめるとゆっくりと瞼を閉じていく。

軽く開く薄くて柔らかい夏希ちゃんの綺麗な唇。

あたしはそっと食むように久し振りにその柔らかさを味わっていた。

「……っ…」

濡れた水音の後に甘いため息が夏希ちゃんの唇から零れる──

附せた瞳を開くと夏希ちゃんは切ない表情を浮かべ目を細めた。



今までに何回しただろう──

夏希ちゃんと交わしたキスはやっぱり特別ですごく気持ちいい。

薄くて上品な上唇。

少し厚みがあってふっくらとした下唇──

重ねただけで身体の芯から熱くなってとけていく

空気を含みながら押し付けては何度も軽く吸い合うと、夏希ちゃんはうっとりとした瞳であたしを見つめていた……。

「このキスはなに……」

コクりと小さく唾を飲むと夏希ちゃんは訪ねてくる。

「どんな意味があるの……」

夏希ちゃんの早い鼓動が微かに聞こえる。小さな声で戸惑いを含みながら、夏希ちゃんは濡れた瞳であたしを見つめた。

「夏希ちゃんが死なないようにおまじない……」

「こんなことしたって……また離れたら死ぬよ……」

絡めていた指を外したかと思うと、夏希ちゃんはあたしの手を掴まえるようにぎゅっと強く握った。



「そうだね……」

「………」

「夏希ちゃん……あたしが居なきゃ死んじゃうね……」

「……っ…」

あたしの言葉に夏希ちゃんは悔しげに頷いた顔を切なく歪ませる。

ほんの少し距離を置くだけのつもりだった。

ほんとは嫉妬深いあたしだから──

本気になるとのめり込んじゃうあたしだから──

そうなると
簡単には終わりたくないあたしだから──


お互いのことがどれだけ大事なのか──

ずっと一緒にいるためにどう向き合うか──


冷静になって考える時間が欲しかっただけだった……。

キスをした夏希ちゃんの唇が濡れている。

今度は熱を含んだ視線を真っ直ぐに向けてくる。

血色のあまり良くなかった顔色は、今は上気して熱く染まっている。

夏希ちゃんは高揚したため息をゆっくりと吐いて口を開いた。

「……ねえ晶さん……どうしたらいいかな…」

「……?」


疑問符を浮かべたあたしに夏希ちゃんは赤い顔を向けて言った。。。




“俺…勃ってきちゃった……”



白状した夏希ちゃんはすがるような上目使いでとても困った表情をあたしに見せていた……。





───

「お、旨いか?」

「普通に美味しいよ」

丁度、昼食を食っている時だった──

様子を見に病院へ来た社長はベッドに腰掛けて食事を摂る俺の前に、数冊の週刊誌を無造作に置いた。

「なにこれ?」

スプーンでデザートの林檎ゼリーを食べながらそれに目を向ける。

荒れた胃はだいぶ回復した。点滴からおもゆ、おもゆから消化のいい柔らかい食事。

徐々に形のある食事に変更されて、数日前から普通食になったところだ。

ゼリーを飲むように口に掻き込み、週刊誌の表紙に書かれたタイトルを読む。

そこには救急搬送された俺の事が記事に挙げられていた。

“藤沢 聖夜──ストイックのなせる業か!?逃亡犯の役作りで体重マイナス12キロ減”

“聖夜 拒食症の疑い!?”
“事務所との軋轢──人気俳優業の裏に精神的苦痛あり”

“藤沢 聖夜 ストレス過多で意識不明の重体──原因は新恋人との不仲か!?”


「…おいおい。12キロも痩せてないし……てか、すげー…二つだけ超ビンゴじゃん…」

「二つてのはどれだ」

「事務所の軋轢と新恋人のネタ」

笑いながら言った俺に社長は片眉を吊り上げて上から睨む。

だけど一体どうやって調べたんだ?

数冊ある週刊誌の中で、事実に一番近い記事は一冊だけだ。

俺はその一冊を手にとって頁を開いた。

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