391 / 403
3
しおりを挟む拗ねるつもりはないけれど、気持ちは勝手に落ちていく……
「はあ……」
ため息も勝手に出ていった……
「うだうだ言わずに食べる!」
晶さんは言いながら俺の向かいにドカッと座る。
「しょうがないじゃん!作ろうと思ったらマスターが“おう晶、お前海外行くから食材買わないだろ?これ持って帰って食え!”ってくれたんだからさっ」
「こんなに沢山?……」
「冷蔵庫の整理も兼ねて……だと思う……」
「……て、ことは…」
「………」
「余り物……」
気まずい表情の晶さんを前にして、自分で呟いて余計に悲しくなった……
いいんだ……
所詮、俺はこんな扱いで十分なんだ……
何よりも晶さんがまたこの部屋に戻って来てくれただけで満足だし、言うことは何もない……
ないけど……
ないつもりではいるけれど……
「………」
「……ああもうっ…その顔うざいっ…」
晶さんは俺を見てそう言い放った。
「いいじゃんマスターの手作りで!あたしが作るより美味しいじゃんっ…」
「美味しいのはわかってるよっ…でもっ」
「でもなにっ」
「でもせっかくなら俺は晶さんのが食べたかった!…っ…」
握っていたフォークとナイフを置いて言いきった俺に晶さんは顔を向ける。
「なら……後であたしを食べればいいでしょ」
「………」
「でしょ…」
「うん……」
「じゃあ食べて」
「………」
言われてフォークとナイフを握り直した俺だったけど……またそれをテーブルに戻して腰を上げた。
・
「…あ…ちょっ…夏希ちゃ…」
晶さんが手にしていたフォークを取り上げてテーブルに置く。
「やっぱ順番が逆だと思う」
「……っ…」
驚いた晶さんの手を引きながら、俺はそう口にした。
しょうがない。誘ったのは晶さんだ。
晶さんのその言葉で料理のことなんてどうでもよくなった。
考えてみれば、やっと帰ってきたのに、ただいまのキスだっておあずけのままだ。
「きゃっ…」
ベッドに倒れ込んで小さく悲鳴を上げた晶さんに覆い被さる。
「先に決まってるじゃん……ずっと我慢してたんだから……」
「──……」
瞬きも忘れて見開いた晶さんの目を見つめ、半開きの唇をなぞる。
研修から飛んで帰ってきてくれたあの日から、病院に見舞いにきてくれる度にキス止まりだった──
一人ベッドの中で、その先をどれだけ想像して耐えたかしれない──
さっきまで強気だった晶さんの表情が、観念したように今は俺を受け入れる。
「ごめん晶さん……」
唇を寄せて強引さを謝ると晶さんは笑いながら俺の肩に腕を回した。
伏せられていく晶さんの白い瞼を見つめ、顔をゆっくり傾ける。
重なった唇を深く押し付けて離すと熱いため息がお互いの口から漏れていた……。
・
「……ふ…ふふっ」
笑いながら晶さんの腕が俺を抱き締める。ぎゅっと堅く抱き合うと俺の顔にも笑みが零れた。
「先に決まってる…ってことは、あたしは前菜になるのかな」
ベッドでただ抱き合いながら、晶さんがそう溢す。
俺は身体を離すと大袈裟に驚いて晶さんを見た。
「前菜? まさか!」
「きゃ…っ…」
ぐるっと回転して下にいた晶さんを上に抱えた。
細い腰に腕を絡め、下から晶さんの小さな顔を見上げる。
華奢な顎。整った可愛い唇。
この角度から見た晶さんもすごく気に入ってる。
素っぴんでも正統派の美人はどこから見ても完璧でため息が出るほどだ。
俺はそんな晶さんをうっとりと眺め、白い頬に指の甲で触れた。
「メインに決まってるじゃん……」
こんなに美味しそうなんだ。メイン以外であるはずがない──
「…晶さん……」
「…うん……」
「ただいま」
「……」
晶さんは小さく頷くとまた俺と唇を重ねていた。
離れた口から「おかえり」と微かに聞こえてくる。
可愛い笑みを見せてはまたキスをして、晶さんと何度もその行為を繰り返した。
ただ抱き締めるだけで、ただ唇を合わせただけで……
こんなに幸せを感じるなんてそうはない。
じわりと胸の奥から満たされていく感覚を噛み締める。
そんな俺を見つめると、晶さんはゆっくりと下に下りていった。
・
「襲うの?」
俺のシャツをゆっくり託し上げ、腹に顔を埋めた晶さんにそう尋ねる。
晶さんはクスクス笑いながらその肌に唇を押し当てた。
「うん……夏希ちゃんと一緒」
「一緒?」
「うん。……我慢できないから襲っちゃうの」
「……っ…」
軽く歯を当てながら晶さんの舌先が俺の腰骨の辺りを這い回っていた。
「…っ…ちょ…ま…晶さんそれくすぐったい…っ…」
「だめ。我慢しなさい」
「あっ…」
腹部の真ん中にキスされて急に腰が浮き上がる。
「はあっ…あっ…あ…まっ…」
「なあに?夏希ちゃん、なんだか女の子みたい……声出しすぎ…」
「弱いとこばっか攻めるからじゃん晶さんがっ…」
脇腹やへその周り、俺が身をよじりそうなほど弱い所だけを攻めてくる。
顔を上げた晶さんは俺を見下ろすと、ゆっくりと上半身に指先を這わせて乳首の先をつまんだ。
「……っ…」
「声でそう?」
歯を食い縛って耐える俺を覗き込む。
更にシャツを託し上げると晶さんは俺の胸元に顔を埋めた。
「──っ…ああっ…やばいっ…それ出るっ…ぜったい声でるからっ」
声が出る上にもう下半身はパンパンだ。俺に跨がる晶さんの下で抑えきれない熱を持つ。
晶さんはそこに擦り付けるように腰を落とし、尖らせた舌先で俺の小さな突起を撫で上げていた。
・
部屋着に身を包んでいた晶さんの下半身がゆっくりと前後する。
柔らかな素材の生地は晶さんの熱い部分の感触を、じんわりと俺の猛りに伝えてきていた。
「すごい勃ってきてるね…夏希ちゃんのココ…」
「……っ…」
擦り付けていた腰を浮かせ、晶さんは膨らんだ俺のそこを手のひらで包むように擦ってくる。
強弱を付け、時には握り締めるように思いきり力を入れて、俺の熱いそこを凌辱していた。
「気持ちいい?……」
疼く痛みと快感に興奮して口に溜まった唾液を飲み込む俺を晶さんは覗き込む。
「……ったまんない…」
身体の熱さで頭の中も思考回路が途切れる寸前だ。
虚ろになった瞳で晶さんを見上げると、俺は正直に今の気持ちを口にした。
優しく扱って欲しいけど、微かに与えられる痛みにも身体がしっかりと興奮してる。
「──…痛っ…」
ぎゅっとまた、晶さんに猛りを強く握られて小さく喘ぎを漏らした。
「痛い?」
「…っ……痛いけど…気持ちいい…」
直ぐにまた優しく前後に擦られて、痛みではない快感に包まれる。
意地悪な攻めに俺の下半身は服の中でしっかりとその形を露にしていた。
「痛いのにこんなに勃つんだ……やっぱり夏希ちゃんてヘンタイ……」
「……っ…」
晶さんは俺のその反応にふふっと笑う。
立体的に形を浮き上がらせたそこを、楕円を描くように晶さんは指先でなぞり、そしてジーンズの釦を外した。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる