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しおりを挟む「晶さん…」
耳元で囁く。そんな夏希ちゃんの表情が艶やかに微笑んだ。
顎先に手を添えて一呼吸静かに吐く──
「陽向(ひなた)に望めるそなたもまた美しい……」
笑みを浮かべたまま夏希ちゃんはゆっくりと口を開く…
「……月落ちの闇がそなたを覆い隠すことがあろうとも──
私はそなたを見つけてみせる……
たとえ眩(まばゆ)い陽がそなたを陽炎でまやかそうと──
私はそのぬばたまの瞳の色を見逃さぬでしょう──…
来世になろうとも…私はそなたを離さない──…」
澄んだ声で囁いて見つめた。
瞳には綺麗な輝き……
曇りなき愛の言葉──
「…ってね…最終話で光の君が藤壺に最後に言う言葉。俺のお気に入り…」
夏希ちゃんはクスリと柔らかく笑った。
微笑みながらあたしの頬を撫でる。
「お気に入り…」
「うん…──」
あたしの呟きに頷いて返すと微笑んだ瞳が急に真剣な光を放った。
「晶さんを想う俺の気持ちとまったく同じ…台本読んだときにすごく感情移入した…」
「……」
「俺、最終話の撮影たぶんすごいかも」
「すごいって?」
「感情移入し過ぎて暴走すると思う……」
「危険だ」
夏希ちゃんは頷いた。
「舞花を襲ったらごめん」
「ぬ!?」
「……興奮して晶さんと間違って襲ったらごめん」
──…っ
せっかく綺麗な告白の言葉を聞いたのに夏希ちゃんてばっ──
ちと、むぅっとなる。
・
ただ、夏希ちゃんは密かに眉を寄せるあたしをどこか楽しそうに見ていた。
「妬いた?」
「妬かないっ」
「嘘だね、妬いたでしょ?」
「ぜんぜん妬かないっ」
「もう、強情っ張りだなっ!」
「強情じゃないよ。余裕なだけ」
「余裕?」
「……夏希ちゃん今、熱烈告白したばっかりじゃん」
「………」
「だから余裕。ちゃんちゃらおかしい。襲いたきゃ襲えばいいよ?夏希ちゃん捨てればすむ話だから」
ふふん、なんて鼻を鳴らして言ってやったら夏希ちゃんは黙ってる口をゆっくりと噛んだ。
「捨てたらだめ──」
「浮気したら捨てる」
「浮気しない」
「未遂も捨てる」
「──…っ」
夏希ちゃんは思いっきり拗ねた顔を見せていた。
「未遂ってどこからが未遂?」
「……躰に触ったら未遂」
「俺、ラブシーンだらけじゃん」
「……仕事はしょうがないね」
「赦す?」
「考えとく──」
夏希ちゃんはガバッと抱き付いてきた。
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