206 / 403
9
しおりを挟む“気難しい──”
楠木さんの言った言葉とはかなり違う感じだ。
撮影時の強引な振舞いとは違い、意外にプライベートは紳士だ──
「ゲプ…」
「……っ…」
大盛りスープで満たされた胃がニンニク臭い空気を押し出した。
マリオは一瞬見開いた目を向ける。
「ぶっ…」
「失礼しました…」
「次は旨い肉の塊をご馳走するから」
肩を強く揺らしながらそう漏らす。
「君の電話番号を…」
「次に縁があったらその時はまたご馳走になります」
「……──」
マリオの言葉を遮り言ったあたしを一瞬驚いたように見つめる。
「──……なるほど…なかなか面白いね倉田さん」
「……?」
「いいよ、じゃあ次に縁があったらね。今日は何気に楽しかったよ」
意味深な笑いを含みそう言って手を振ると車に乗り込む。
「じゃあ次の縁を僕から作るから」
「作る?」
「そ、作るから。じゃあまた…」
マリオはその言葉を残して車を走らせた…。
「作る?」
どうやって?
あたしは首を傾げて上に目を向ける。下から部屋の窓を見上げると明かりが付いている。携帯を手にしてみれば、着信と受信の二つの光が点滅していた。
もちろんストーカー夏希ちゃんからの発信だ。
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
どこいるの?喫茶店終わるの遅くない?
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
「………」
疑いをかけた文字が並んでいる。
もっと心配しやがれってんだ!
そう思いながらも満腹になったお陰かあまり腹は立ってこなかった──
・
「ただいま」
「──…おかえり」
玄関を開けたあたしを見ると少ししてから返事を返してきた。
物言いたげな夏希ちゃんを素通りして自分の部屋に入り服を脱ぎ掛けたら後ろでドアの開く音がした。
「今、着替え中」
「いいよ着替えて」
言いながら夏希ちゃんは腕を組んですぐ傍の壁に寄り掛かった。
「晶さんは俺のだから俺の晶さんが着替えてるとこいても別に問題ないでしょ?」
着替える手を止めたあたしに向かって夏希ちゃんは少し怒った口調で権利を主張してくる。
「………」
「晶さん…」
無視したまま着替えを始めたあたしに呼び掛けてきた。
「この間からなんかおかしくない?」
「なにが」
「この間、俺が喫茶店行った日からおかしいよ」
「………」
着替えを済ませて夏希ちゃんの前を通る。
すれ違い様に夏希ちゃんは無言で腕を掴んできた。
「ちょっと色々あったって言ったじゃん」
「それだけが理由に思えない」
「……」
「俺が待ってるのわかってて遅く帰ってきてる気がする」
「……気がするだけでしょ?」
「……」
「なんでもないから…」
「──…じゃあさっきから匂う男物の香水の香りはなに?」
「……──」
「なに?」
夏希ちゃんは真っ直ぐに見つめて追及してくる。
散々、撮影でマリオと絡んだせいか淡いムスク系の男物の香水が身体に染み付いていたらしい…
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる