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しおりを挟む「マスター、悪い奴だな…俺から晶さんを隠すなんてさ…」
「……──」
「そう思わない?晶さん…」
「…っ── 」
「こんなに大事にしてるのにさ……なんでだろうね…」
「…そ…、…そだねっ」
肩を小さくする晶さんの声が微かに聞こえる。
「ねえ…晶さん…どうしてかな…」
「………」
「どうして嘘ついたんですか…」
「………」
「答えられないようなことした?」
「──…し、てないよ…ちょっと…」
「ちょっと、何?」
「臨時のバイト…」
「バイト?」
訊ね返して頷く晶さんの隣に俺は腰掛ける。
「バイトってなんの?俺に秘密にするようなバイト?」
「……──」
晶さんは少し口ごもった…
あやしいっ──
まさかメイドカフェとかっ…
スク水カフェとかっ…
だったら───
俺だって行きたいじゃんっ!
「もうっ一体、どこでやってんのっ!? なんのバイトっ!? どんな格好でっ!?」
「な、夏希ちゃん、耳痛いから…」
妙に興奮して息を乱す俺から距離を置くように晶さんは顔を離していた。
・
強く追及したところで晶さんは頑として口を割らない。
俺はそんな晶さんに強く溜め息を吐いた…
「臨時のバイトして──」
「………」
「そのあとに肉食ったんだ?」
「──…!?」
すばり当てた俺に晶さんはえらく驚いた顔を見せた。
「香ばしい油の臭いがプンプンしてる」
「あ……」
そして──
以前香った男物の香水の香りも微かに漂っていた。
「一人じゃないよね?…肉食ったの──」
「………」
「この間言ってた“肉の塊”喰わせるって奴?」
確か鼻ほじる真似しながら大威張りで言ってたよな──
晶さんは膝に視線を落としたまま静かに頷いていた。
俺の視線は溜め息と同時に白い天井を仰ぐ。
何だか目眩がしかけた。
無駄に出る諦めにも似た息──
俺は伸びをするようにして頭の後ろで手を組んでソファに深く身を沈めた。
「……俺も…」
「───」
「浮気しようかな…」
聞こえるように呟く。
「真面目にしてても浮気されるなら、なんかバカらしくなってきた──」
言いながら晶さんをチラリと見た。
「浮気じゃないじゃん…」
晶さんは小さく呟く。
「…食事だけじゃん……」
「………」
呟いて黙った晶さんを見つめソファに沈めた身体を起こす。
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