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26章 君のために
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「ちゅわーっす!」
「──…っ!…あれ~、ケンゾーさんお久だね?いつ帰って来た?」
事務所に行くとソファで寛いでいたおむすび頭の後頭部が俺を振り替える。
「一昨日、こっち(日本)に着いたんだよ!」
「うわ~…なんか出世したね?白おにぎりから焼きおにぎりになってんじゃん…何その焼け方っ!?」
「……相変わらず言うなお前…」
デブキャラが売りのお笑いタレントのケンゾーさん。番組のロケでパプアニューギニアのジャングルへ出向き、半年ほどサバイバル生活を送っていたらしい。
「思ったほど痩せてないね?」
「ワニがけっこう旨くてな、バカバカ簡単に獲れるんだよ!」
「なる…」
「俺、キャバと抜き屋があればジャングルに住んでもいいな~!」
「……まず無いからっ」
ツッコミながら笑い合う。サバイバル生活も慣れてしまえば案外快適だったらしい…
事務所に着いた早々、馬鹿話で盛り上がっていると楠木さんが電話で話をしながら登場した。
「すいません!せっかく頂いた話で申し訳ないんですがどうしても彼女のスケジュールが空かなくてっ」
事務所に入って来た途端、楠木さんは俺を見てハッとしたように携帯の受話口に手を添えて声を潜めた。
・
なんだその気になる動作は?
そう思いながら俺は楠木さんの背中を目で追う。
何やらデスクの前にいた社長と目配せし合うと楠木さんは自分の携帯を耳から外した。
「マリオのマネージャーからっ」
こそっと社長に耳打ちしても静かな事務所では会話が筒抜けだ。
社長は携帯を寄越せとばかりに楠木さんの方へ手を伸ばしていた。
マリオのマネージャーから……
その会話だけでピンとくる。
また、あの美脚ガールに仕事のオファーなんだろうか──
俺はケンゾーさんの隣に腰掛けて聞き耳を立てる。楠木さんは社長に電話を手渡していた。
「もしもし、その娘の代わりにもう一人ウチのイチオシの娘がいるから試しにどうですか?」
──…イチオシ?
社長の切り出した言葉に、はあ?──っとなる。
もしかしてイチオシって・・・
嫌な予感がしながら俺はいかにも興味ないって素振りでソファにもたれ、頬杖を付いた。
「いい娘ですよ…グラビアから女優に転身して最近ドラマや雑誌にも良く出させてもらってる今が旬ってやつですが、──どうでしょうか…」
社長はマリオのマネージャーに売り込みを仕掛ける。
グラビアから女優……
やっぱり舞花のことか・・・
「──…っ!…あれ~、ケンゾーさんお久だね?いつ帰って来た?」
事務所に行くとソファで寛いでいたおむすび頭の後頭部が俺を振り替える。
「一昨日、こっち(日本)に着いたんだよ!」
「うわ~…なんか出世したね?白おにぎりから焼きおにぎりになってんじゃん…何その焼け方っ!?」
「……相変わらず言うなお前…」
デブキャラが売りのお笑いタレントのケンゾーさん。番組のロケでパプアニューギニアのジャングルへ出向き、半年ほどサバイバル生活を送っていたらしい。
「思ったほど痩せてないね?」
「ワニがけっこう旨くてな、バカバカ簡単に獲れるんだよ!」
「なる…」
「俺、キャバと抜き屋があればジャングルに住んでもいいな~!」
「……まず無いからっ」
ツッコミながら笑い合う。サバイバル生活も慣れてしまえば案外快適だったらしい…
事務所に着いた早々、馬鹿話で盛り上がっていると楠木さんが電話で話をしながら登場した。
「すいません!せっかく頂いた話で申し訳ないんですがどうしても彼女のスケジュールが空かなくてっ」
事務所に入って来た途端、楠木さんは俺を見てハッとしたように携帯の受話口に手を添えて声を潜めた。
・
なんだその気になる動作は?
そう思いながら俺は楠木さんの背中を目で追う。
何やらデスクの前にいた社長と目配せし合うと楠木さんは自分の携帯を耳から外した。
「マリオのマネージャーからっ」
こそっと社長に耳打ちしても静かな事務所では会話が筒抜けだ。
社長は携帯を寄越せとばかりに楠木さんの方へ手を伸ばしていた。
マリオのマネージャーから……
その会話だけでピンとくる。
また、あの美脚ガールに仕事のオファーなんだろうか──
俺はケンゾーさんの隣に腰掛けて聞き耳を立てる。楠木さんは社長に電話を手渡していた。
「もしもし、その娘の代わりにもう一人ウチのイチオシの娘がいるから試しにどうですか?」
──…イチオシ?
社長の切り出した言葉に、はあ?──っとなる。
もしかしてイチオシって・・・
嫌な予感がしながら俺はいかにも興味ないって素振りでソファにもたれ、頬杖を付いた。
「いい娘ですよ…グラビアから女優に転身して最近ドラマや雑誌にも良く出させてもらってる今が旬ってやつですが、──どうでしょうか…」
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