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しおりを挟む「ロケ場はどこだって?」
「北海道だって。冬に新発売の“味噌コーンチャウダー味”とかの撮影らしい」
「北海道か──…よし、わかった」
社長は楠木さんと背中を向けてボソボソと話し込む。
「聖夜はどこの温泉予約したんだ?」
「九州だけど…」
「九州か? なら真逆の北海道に決まりだな」
「──…」
なぜ!?──
「そっちは叔父として俺が金出してやる。九州はキャンセルしろ。いいな?」
「……?…場所変えれば行ってもいいわけ?」
「ああ」
なんだそれ?
「旅館は取ってやるから」
「予約入れるなら個室露天風呂は絶対外せないから」
「なに企んでんだお前はっ…たく、イヤラシイやつだなっ」
社長は言いながら事務所の電話を手にしていた。
「どうせだから俺も行く」
「はっ!?やめろよ保護者同伴なんてっ!?」
なんもデキネーじゃんっ!?
「俺も彼女連れて行くんだよっ! 誰がお前らと同じ部屋に泊まるっつった?」
「……っ…」
旨いもの食いの社長は北海道に行き着けの旅館があるらしい。手慣れた様子で予約を入れた社長は受話器を置くと、楠木さんにまた内緒話しを持ち掛ける。
「これで晶を現地にスタンバイさせて置けばもし舞花が無理でもすぐに対応出来る──…晶にも予定変更で連絡しておいてくれ」
社長の小さな話声に楠木さんは頷いて返していた。
・
まったくワケわかんねー…
そう思いながら俺は晶さんにメールを打った。旅行の行き先変更に加え、身内の叔父様が彼女同伴で旅行に参加。そのむねを伝えると
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
旅費出してくれるならラッキーじゃん!
北海道なら美味しいもの沢山あるしヾ(・ε・。)
夏希ちゃんとならどこでもいいよヾ(≧∇≦)
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
「………」
旨いもの食えるならどこでもいいのか──
俺と居れればどこでもいいのか──
晶さんの気持ちは前者が強い気がする・・・
返ってきたメールを確認して閉じると俺は午後から入っている撮影の為にテレビ局に向かった。
場所が変更になっただけで旅行できることに変わりはない。一瞬、チンピラの暴力的横暴な発言に焦ったけど万事オッケ!
社長がいればマスコミも抑えが効くしかえって得策。
北海道にいったら露天風呂と浴衣エッチが待ってるわけで頭の中はそのシュミレーションで一杯だ。
俺は想像を膨らませながら軽い足取りでスタジオに入り撮影に挑んだ。
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