ラブプレイ~Hな二人の純愛ライフ~

中村 心響

文字の大きさ
238 / 403

5

しおりを挟む

空は快晴──

食べ歩きにはうってつけ。

人混みでサングラスはしていてもすれ違う度に人に振り返られる。

遠巻きに聖夜だと囁かれ、社長は俺の隣を歩いていた晶さんの腕を引っ張った。

「人混みのみでの扱いだ、晶のために我慢しろ」

「……っ…」

つい、チッと舌が鳴る。

晶さんは俺と一緒に外を歩くのを楽しみにしてたのになんだよっ…髭の奴!


距離を置いて前を歩く社長とその彼女、そして晶さんは後ろから着いてくる俺を気にしてチラチラと振り返る。

「この扱いっ──…俺、めっちゃ寂しいじゃん!」

三泊四日の北海道旅行初日、千歳空港についてすぐ社長が借りたレンタカーに乗り込むと俺はそう不貞腐れて叫んだ。

「穴場に行けば人も少ない上に旨いもの食える。いい加減、機嫌直せ!」

「もう、直ってる…」

バックミラーから覗く社長からそっぽを向いて、外の景色を眺める俺の手に、隣に座った晶さんの指先が絡んでいた。

前の座席から見えない位置で手を握り少しずつ二人の距離を近付ける。

そんなさりげない仕草に胸が疼いた。

社長の長年の連れ合いの彼女、真理さんとチンピラ髭を前にしてまるで家族旅行に来た雰囲気になってしまったけどしょうがない…

晶さんとの初デート。市場食堂で生け簀を見て回る晶さんは凄く楽しそうだ。

「うわぁ…あれ捌いて食べたい!」

喜ぶ笑顔は無邪気で可愛いけど口にする言葉は残酷だった。



生け簀から揚げたばかりの透明なイカを刺身で食べる。

ちょっと早めの昼食は色んな所へ足を向けての摘まみ食い的な食べ歩きだ。

魚市場の店先で売られる絶品魚介を口にしていると社長の携帯が鳴り響いた。

「おう、どうした?舞花はなんとかやってるか?」

尋ねた内容からして相手は楠木さんなのだろう。

炭で炙られた蟹の足を晶さんと半分こして頬張りながら俺は社長に目を向けた。

「なにっ!?」

小さな注目を集める社長の表情か少し険しくなる。
何事かと見ていると社長は驚く言葉を次に発した。

「マリオが舞花にセクハラ!?」

思わず社長の声に蟹を食う手が止まる。電話口で何やら響いてくる楠木さんの声に社長は唸りながら難しい顔を浮かべ始めた。
切れた電話を見つめて社長はポケットにしまう。

「……っ!?…晶っ、腹をどうした!? なんかあたったかっ」

へっ!?──


突然、晶さんを庇うように抱き込んだ社長に驚き飛び退いた。


「なっ!大丈夫か晶っ!」

「えっ!?── ああっ…い、痛いっ…かもっ…」

「うそ、マジいきなりっ!?」

踞り苦しそうに声を絞り出す晶さんに俺も慌てて顔を覗き込む。

社長はそれを遮るようにして俺の前を塞いだ。

「聖夜、ちょっと真理のお供を頼むっ! 晶を病院連れてくからっ!」

「えっ、病院なら俺も一緒にっ──」

中腰の晶さんに肩を貸してタクシー乗り場へ走りだした社長。それを追い掛けようとした俺を真理さんが引き止める。

「聖夜くんはあたしのお供よ」

「ちょっ、なにそれっ…」

うそっ…晶さん!?


立ち去るタクシーは猛スピードで俺の前から消えていった……。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...