242 / 403
9
しおりを挟むそう思いながら服に溢したスープに諦めの溜め息を吐いた。
「あ~あ、やっちゃった…あちこちラーメンだらけ…」
「ぷっ…顔もね」
そう言ったマリオの顔はすごく近かった──
「──…っ…」
目の前を影が覆い、顎に濡れた感触を感じる。
え──…
カップラーメンでこんなシーン……って、あり?
「顎にも小さなナルト付いてた」
「ありがと…」
「いえいえ…たぶんNGだからもう一回食べなきゃね」
「はい……」
夕陽はだいぶ下に降りて着ている。案の定、「ラストもう一回」監督からその言葉を頂きマリオはカップラーメンにお湯を注いだ。
「食べ物の撮影って結構辛いな」
マリオはさっき、スープまで完食したっけ?
小さなゲップを繰り返してマリオは笑って見せる。
「これで四個めだしね」
さっきの出来事を追い払うようにあたしも笑いながら、ラーメンを手に取った。
少し硬めの麺をほぐすと勢いよく口に詰め込む。スープまで完食して大きな一息をつくとマリオはあたしの鼻水を見て大笑いしていた……。
・
「おつかれ!いや~、いい画が撮れたよ」
監督が側にきてマリオに握手を求めた。
「新しいマリオって感じだったな、うん、すごく良かった」
一人で満足しながら監督はマリオに賛辞をおくる。
そのついでのようにあたしにも手を差し出した。
「君もいい味出てたよ~!また何かあったら頼むから」
背を向けた監督にマリオのマネージャーは駆け寄り頭を提げていた。
「このあと居酒屋で打ち上げあるよ、もちろんくるだろ?」
マリオはあたしの肩に手を置いて顔を覗きこんでいた。
「………あの、旅行中なので」
「………もしかして彼氏も一緒?」
「はい」
「へえ……」
マリオは一呼吸置くとポンッとあたしの肩を叩く。
「じゃあ、打ち上げ場所はマネージャーさんに伝えて置くから来れたらおいで」
ワンクッション置いてからの誘い方──
実に巧みだ…
あたしは着替えを済ませ、タクシーの傍で待機していた健兄の元へと向かう。
「聖夜が晶さんの病院行くって煩いから早く戻ってこいだと」
「ありゃ、やっぱり?」
健兄が開いて見せた電話には真理さんと夏希ちゃんの着信がズラリと並んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる