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しおりを挟むなんか深い意味があったのだろうか?
たんに自分の技術を誉めたのかわからない言葉にあたしは取り合えず礼を返す。
フロント、サイド、バック。三ヶ所から簡単にヘアスタイルの写真を撮るとマモルさんはあたしのうなじに触れた。
「──…っ…」
触り方がいつもと違うように感じたのは気のせいだろうか?
襟足の髪を整えて斜め後ろからのアングル写真を最後に写して終了する。
あたしはもう一度鏡をチラリと覗いて自分の代わり映えを確認した。
ん~
中々いい感じ。
初めてのウェーブスタイルに大満足だ。
なんかここまでしてもらってタダって悪いな…
一応売れっ子美容師さんだし。。。
たまには払うか?
「マモルさん、パーマ代だけでも…」
席を立って預かって貰っていたバックを受け取り財布を取り出すとマモルさんはその手を止めた。
「お金もらったらお客様になっちゃうから止めて」
「え?……」
「お客様になったら口説けなくなっちゃうから俺が困る」
「………」
「ね。…だからお代はいいよ」
「………」
それ言われたらますます払わなきゃって思うんですけど……
そんなあたしの考えを他所に、マモルさんは店を手早く閉めていく。
シャッターを降ろしながらマモルさんはあたしを振り返った。
「遅くなったからおいしいピザご馳走するけど行かない?」
・
ピザっ…
空きっ腹にこってりチーズの図が頭に浮かびあたしを強い誘惑が襲った。
「あ〰どうしようっ」
「……?…」
すごく行きたいっ…
高揚した声を上げるあたしをマモルさんは不思議そうに笑う。
「ちょっと待ってください」
言ってあたしはゴソゴソとバックを探った。
受信二件
着信三件…
携帯電話を開き夏希ちゃんの名前を確認する。
あたしの動作を見てマモルさんは気付いたのだろう。たぶん恋人からの電話を確認したことを……。
「車取ってくるから待ってて」
マモルさんはそれだけ残して駐車場に向かった。
行くとは言ってないけど気持ちはかなりピザに片寄っている。
あたしは夏希ちゃんからのメールを開いた。
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
ちょっと仕事の打ち上げで今日そっちに行けないかも知れない( ┰_┰)
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
泣きのメールが入っている。
それを見て“あら、好都合”なんて思ったあたしはつい自分自身に舌を出した。
こういう所を愛が足りないって嘆かれるんだろうな…
そう思いながらあたしも用事で帰りが遅くなることをメールで返した。
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