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しおりを挟む送信して直ぐに着メロが鳴り響く──
「なんで遅くなるの?」
「………」
“もしもし”という呼び掛けも無しに、いきなり質問された。
「ご飯食べて帰るから」
「誰と? てかメール返すの遅くない?」
「………」
どうやら始まったらしい…
夏希ちゃんのあたしの行動チェックが。。。
「美容院行ってたからバック預けてて今になった」
別に隠す必要はない。あたしは正直に遅くなった理由を話す。
「………」
夏希ちゃんは少し間を置いた。
「もしかして……担当の美容師と食べにいく?」
「……うん」
「だめ、やめなさい。真っ直ぐ帰れ」
「……っ…ピザ食べるだけだからっ!」
眈々と命令口調で言われ少しムッときたあたしは電話口で叫ぶと通話を切ってバックにしまった。
放り込まれたバックの中で折り返し掛けてきた夏希ちゃんの着メロが曇った音を響かせる。
あたしはもう一度電話を手にした。
「勝手に切るなっどこにいくか言えっ」
キレたらしい夏希ちゃんが電話口で吠える。
「知らないっ! 行ってきますっ」
「なっ…」
夏希ちゃんの声が途切れた電話からツーっと機械音が聞こえてくる。切った携帯をマナーにすると、タイミングよく目の前にパジェロが停車した。
・
「ピザはキャンセル?」
助手席の窓ガラスが開いてマモルさんは運転席からそう声を掛けてくる。
「行きますっ」
「んじゃ、乗って」
何気に顔を綻ばせて勧めるマモルさんの車にあたしは滑り込んだ。
「らしくない、ってよく言われる」
街の中を走りながらマモルさんは車を眺めて浮かべたあたしの表情に何かしらピンときたのか急にそう口を開いた。
「車ね、四駆って似合わないでしょ?」
「うん…何となく、クラッシクな雰囲気かな…」
そう答えたあたしにマモルさんは笑ってみせた。
「やっぱり? でも実は俺、かなりアウトドア派な奴だよ。バーベキューとかかなり本格的っ…はは、うざい?」
「あは、べつに。男の人ならモテポイントでしょそれは」
「そう? ポイント高い?」
「高い高い」
「テキトーに返してくれるね?」
「………」
ハッとして軽口をたたいた口を思わず塞ぐ。マモルさんは笑みを浮かべると
「……倉ちゃん的にはどう?」
「………」
さらりと聞いてきた。
……もしや──
口説きに入ってきてる。…とか?
さらっとし過ぎて警戒できない──
隙入ってくる腕はさすが接客業のプロだと思った。
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