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しおりを挟むもう、フォーカスされるとかそんなこと関係ない。
とにかく今はこの手を離すことに不安が募る。
「なんかマズイことある? 俺のマンションに行くのに」
何か不安が抑えられず、俺はエレベーターの中で晶さんに率直に聞いていた。
「嫌? 行きたくない?」
「そうじゃないけど…っ…」
「ないけど何?」
「………」
晶さんは追及する俺から目を逸らす。
「なんで逸らすの?」
言いながらエレベーターの中で晶さんを壁際に追いやった。
うつ向き加減の晶さんの顔の両脇に手を付き首を傾げて覗き込む。
「そういう顔やめてくれない? 意味もなく不安になるから──…」
少しずつ腹を立ててきてる俺の声に晶さんはやっぱり目を逸らしたままだった。
俺はどうしようもなくて大きな溜め息を吐いていた。
黙ったままの晶さんの手を牽いてエレベーターを降りると部屋の鍵を晶さんに手渡す。
「開けて……」
「………」
「晶さん、前に言ったよね? 俺と一緒に部屋を見たいって…」
俺はちゃんと憶えてる。だから今日は二人で初めて俺の部屋を見るいい機会だと思った。
ほんとはこんな雰囲気になる予定じゃなかったんだけど……
俺の理想だと、二人でワクワクしながら部屋を見る筈だったんだけど……
晶さんのこの躊躇う態度がいまいち俺には理解できない──
そして不安だけが俺を襲っていた……。
・
部屋のドアが開いた途端、センサーで明かりが付く。急に明るくなった部屋を晶さんは驚きながら見渡していた。
社長の古いマンションと違い、最新式のシステムが備わったデザイナーズマンション。
広めのワンフロアに対面キッチンは仕切りが無くても料理時に煙が広がらないよう、換気システムも充実してる。
部屋を見て少し笑みの戻った晶さんにホッとしながら俺は晶さんを奥に手招いた。
「バスタブはジャグジーも付いてるよ」
「……すごっ…」
この部屋に晶さんが居ることが無性に嬉しい──
明らかに気に入った表情を浮かべる晶さんが可愛くて思わずギュッとしたくなった。
風呂場を覗かせながら晶さんを後ろから抱き締める。
「あとで一緒に入ろ?」
さっきまでの不安をかき消したくて、晶さんに思いきり甘えたくなっていた。
またリビングに戻ると言葉少なに回りを見渡しては晶さんは表情をコロコロ変える。
俺はそんな晶さんをソファに座らせて飲み物を軽く作ってあげた。
そう、飲み物を“出した”じゃなくて
“作った”
舞花がウチに来た時とは明らかに対応が違う──
社長のマンションで過ごす時、晶さんはたまにビールを飲む。
酒好きなのは知ってるからこそ晶さんには軽くリキュールで俺、お手製のカクテルを作ってあげた。
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