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しおりを挟むウチに来たらどうやって晶さんを喜ばせようか──
ここで一人居るときはそればっかりを考えてた。
「美味しい?」
「うん…」
隣に座って俺は晶さんを覗き込む。
「果物買ってたらフルーツ盛りも作れたけどあいにく…」
急だったから……
あまりにも唐突に思い立ったお泊まりの誘いだったから、完璧にもてなす準備ができなかったことがちょっと悔しい…
「これで十分だよ」
「そう? 俺的には納得いかない──…」
「………」
「晶さんをもっと沢山喜ばせたかった…」
見つめる俺を晶さんはカクテルグラスから顔を上げて見つめ返してくる。
晶さんは口元にあったグラスを膝に置いた。
その中で揺れるオレンジ色の液体を見ながらポツリ、口にする。
「夏希ちゃんは……できすぎるよ……」
「……できすぎ?」
「うん…」
「───…」
「何でもかんでも、できすぎる……」
「………」
「って……思う…」
カクテルを見つめながら口を開いて出た晶さんの言葉。
「もしかして…さっきからおかしかったのってそれが原因?」
「………うん」
小さく頷いた晶さんを見て、俺は微かに溜め息を吐くと頭をゆっくり抱えていた。
・
「もしかして俺って頑張り過ぎ? 重かった?」
どれもこれも全部晶さんの為だ──
晶さんに好かれようと思って…
喜んでもらおうと思って…
いつでも晶さんに捨てられそうな立場でいる余裕の無さが俺にそうさせるわけで…
こんな必死を重く思われたらやりようが──
「重いとかじゃないよ、そうは言ってない」
頭を抱えて落ち込む俺の頭上からそう聞こえてくる。
「夏希ちゃんは何でもできすぎるから…」
「できすぎ君は嫌いなわけ?」
俺は頭を抱えたまま、肘を付いて隣に居る晶さんに顔を向けた。
「嫌いってわけじゃないけど……」
「できすぎ君が嫌いなら、できなさすぎ君に今からなるからっ」
「いや、できなさすぎはちょっと……」
「じゃあどうすれば良いわけ? どうしたら晶さんは俺に夢中になる?」
「──……」
まともに聞く俺に晶さんは困った顔を浮かべるだけだった……。
何がイケナイのかもうさっぱりだ──
好きな想いが空回りし過ぎ。
一生懸命になることが迷惑だって言われたら気持ちの表し方が思い浮かばない。
俺はあれこれ考えながらまた頭を抱える。
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