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第一章 出会い編

2話 美食の鳩

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「ふぅ‥
なんかすごい不思議…
今までの、もやもやが…
すごくすっきりしてっ‥」

────ギュルルルルルルルル~


ぁ‥//‥ 



「……なんだそりゃ‥」


少年は、耳まで一気に火照った。


こ、これは恥ずかしい

 //////……‥!!


この鳴り方はっっ!

─グュル──キュルル─



しかも止まらないっ!!



「…わかった!

腹でなんか飼育してんだな!?」


////
「うぁ、ぁ‥ お、おとといから井戸水しか飲んでなくてっ‥」  


‥そうだった、手に入る食料はできるだけ、あの子達にくれてたんだっ!


吹っ切れた途端、心と体の緊張がとれたのか腹はますます唸り声? を上げはじめた…


旅の途中、この国に辿り着くまでにいくつかの森を抜けて来たが、その間は狩りで何とか腹は満たされていたのだが… 




森を出て私道にでた途端、やはり人が行き交う場所のせいだろう。
まったく獲物に出くわさなくなったのだ… 


 ─ガサッ

・・・!?


 「ほらっ、 やるよ!」

ルイスは少年の手を取り薄茶色の紙に包んだモノを手渡す…


その中からはバターの濃厚ない~香りがしてくる…


少年は口の中に一瞬にして溢れ出た唾液をグッ‥と飲み込み 所々、脂の染みこんだ包み紙を開けた……

──カサツ

……!?っ  クロワッサンだっ!!


包みの中には手の平半分サイズのクロワッサンが三つ。重なり合っていた。


「…いいのっ?」

「あぁ、腹減ってんだろ?ほんとはそのパン鳩にやるつもりだったんだけど、いつも来る鳩が最近……って聞いてるっ!?」


「ファィ、ひぃへはふ」
(はい、聞いてます。)



 「………」


少年はもう二個目を口に詰めこみ三個目を手に掴んでいた。


「――…っ…まぁ、丸二日以上食ってなきゃそうなるわな ‥でもあの鳩、どこいったかなぁ…あれだけ毎日来てたのにやっぱ、動物に人の食いもんはやるもんじゃないなっ?

最近太り気味だったもんな…」



ルイスは独り言のように話し続けた…

「そいつ最近メタボリックみたいになりやがってさぁ! ハハッ  …って笑い事じゃねぇな、俺のせいだもんなぁ‥
太り過ぎて死んじまったかな?四日前から突然来なくなったんだよあいつ…」


「っ…ウグッ!」

  ──グホッ!


「おい、大丈夫かよっ!?  誰も盗らないから落ち着いて食えよ」


ルイスは三個目を喉に詰まらせた少年の背をさすってやった。


「…ゲホッ‥フ‥あ、ありがと‥大丈夫だか、ら…」


………やばいっ

その鳩、絶対見覚えあるっ!


そう、あれは四日前のことだった・・・
森を抜ける直前にちょうど目の前に、一羽の真ん丸ぷくぷくっ とした鳩が・・

これはっ!──

  これは神様からの
    贈り物だっ!


少年は勝手にそう判断していた。

実際、 いとも簡単に捕まえられた・・・
動きが鈍かったからだ。



‥そうか…あの鳩、
このクロワッサン食べてたのか…

めちゃ旨だったもんな…



少年は冷や汗を誤魔化しながらもあの時の味を思いだした。





そう、

火を通せば留まることなく溢れ出る肉汁…

 煙りとともに漂うその身に染み込んだバター香…

コラーゲンたっぷりの鳥皮は表面は蜂蜜色にぱりっと香ばしく内側はぷるんとジューシーに…

 これでもかっ…ってほどに こってりと成長した肝‥ 思えばあれは脂肪肝だったのかもしれない

 どの箇所の部分を食しても旨味の大波に飲まれていくような何とも言えぬ…‥



そう‥あれはまるで…





  鳩の稲村ジェーンやぁ!! 

(誰や、あんたは?)


 ※[稲村ジェーン]豆知識
稲村ヶ崎に伝わる伝説の大波ジェーン の事


「‥おぃ…大丈夫か? 
君は時々、自分の世界に行ってしまうな?

それとも久々に食事にありつけて感激したかな?」


少年は、はっとして口の端から今にも流れ出落ちそうなよだれを啜った‥


「旨かったろ?クロワッサン 
ここの まかない料理は最高だぜ~ 

受け付けすんだら今晩の食事にありつけると思うよ」


「っ食事!?」


「あぁ 大会に出る為に、いろんな所からきてる奴らも多いからなっ 会場に隣接してる建物あるだろ?

…‥ほらっあそこっ!」


ルイスの指差す方に目をやると、ドーム型の建物が目に入った…

「…大きい建物だね……あれ、ぜんぶ食堂?」


「いや、食堂と宿泊施設になってる…」

「‥宿泊!?」


「あぁ、宿が決まってなかったら泊まるといい…」 
「………」

「金は心配することないよ!」

「なんでっ?」

「ぜ~んぶっ 無料!!」

ルイスは両手を広げておどけてみせた。

「……! タダッ!?」

「そっ! NO、サンキューッ!」 


どうしよう ‥すごくいい国に来ちゃったかもしれない…

「…じゃあっ受け付け行かなきゃ!」


「あぁ、行ってきな…」


「‥それじゃ さっき言ってたの教えて…下さいっ! 立冠式やってなくても参加できる方法!」

ニコッと満面の笑みでお願いする少年に、ルイスも負けじとニコッと微笑みで答えた。












「ないっ!!」








「ニコニコニコニコ・・・」


少年は背中の剣に手をかけたっ!

・・・・っ!

…っこんの、

エロおやじっっ!



「ちょっ、ちょっとまったっ!」


  ルイスは素早くその場を離れた。

少年は構えたまま地面を踏みしめルイスににじり寄る。


― ジャリ
――――ジャリ
―――――ジャリ


「──だっ…だからちょっと待てって!大丈夫だからっ!」



「何が大丈夫ナンダヨっ!」




「立冠式を終えたかどうか誰も証明するモノなんて、はなっから持ってないんだよっ!!」


「…証明するモノがない?………じゃあ、会場のお役人さんはどうやって確認するの!?」


少年は剣から手を放した。


「…ん~なんと言うか…、まああれだなっ

立冠式迎えたとあらば国からは一応
《立派な大人の男に成りました》 ってぇ 認められたことになると……ならば、こんな危険な大会に出るってことは、
(あなたは自分の意志と行動に責任が持てる大人と認識します…)
って事で、後から
『怪我しただぁ なんだぁ』 って騒ぐなよってことだなっ

いるんだよ、たまに…やれ
大事な息子が怪我しただ。
どうしてくれるだ。    

ってアホな親がね…  
自分の子供が自分の意志でとった行動でも馬鹿親は他人に責任をなすりたがる……それを避けるために、
たてまえとして立冠式を終えた健康な男子ってのが条件なんだよ…」



「…へぇ‥そう、言うことか…」

「そう言うことっ! っで…君の場合は立冠式は迎えてはいないが……」

―フムフム――
少年は頷きながらルイスの言葉を聞いている。



「幸か不幸か君には親がいない‥
何かあっても乗り込んでくる心配はない!と‥しかも自分の意志は堅い……参加条件は充分に揃ってるだろ?」


「…うん。ようは、迷惑かけなきゃ参加は自由、
『本音とたてまえ』ってことだよね?」


「おっ! 君、頭いいなぁ!その通りっ!!」

「‥いや…誰でもわかるよ…
それだけ説明してもらえば…」


「クスッ…」

ルイスは微笑みながら少年のチェリーブラウンの髪ををくしゃくしゃっと撫でる──

……と、ポロっと二、三粒グリーンの欠片が転がった。


ルイスはそれを手に取ると……



「‥ザドルめ……酒の肴に枝豆食ってやがったな」


少年はぎょっとした

「思えば…君も災難だったな?  
あいつがちょっかい出さなきゃ、スムーズに受け付けできたろうに…」

そういわれると確かに無駄手間取らされただけだ。


「…でも‥あいつを許してやってほしいんだ…」


許す? …次に顔会わせたら二言三言、言ってやりたいよっ!


少年の 納得いかないっ て表情をみてルイスは困り顔で笑った



「…二の足踏まされて文句言いたいのはわかるけど‥多分、あいつは‥君の事を思って、やったことなんだよ」

あれのっ?どこがっ!?


そんな疑いを含んだ少年の眼差しにルイスは困惑顔になった。

「ん~確かに‥ちょっと屈折した表現の仕方ではあったけどね……悪い奴じゃない‥宿舎で顔を会わせるかもしれない。少し話しでもしてみるといい…」


「ウ~ン…」

少年は悩みながらもちょっと間を置いて答えた


「‥OK! いいよ、食わず嫌いは良くないって昔、よく言われたからっ!」

「そっか、じゃ 頼むよ‥………顔‥ほとんど赤み引いたね‥念のためちゃんと洗った方がいいかもな」
ルイスは一瞬、フフッと含み笑いした

「…そうだ!、何なら医務室いって消毒するか!? あいつはどんな菌持ってるか、わからないからなっ!」

「菌っ!?…き、菌って………エロウィルス?」

「そぅそぅ。そのエロウィルスに感染すると瞬く間に腹が膨らんでっ──…


って…‥それは俺ダァーツ!! 


って、ちっがぁーぅ!!俺じゃねぇっ」



豪快に自分で口にして我が身を否定する。そんなルイスを少年は呆気に取られ見つめている。


「……っ…」

──‥は、初めて見た…

独りボケ&独りツッコミ…っ…


少年は咄嗟に両手で自分の口を塞ぎ、せっかく赤みのとれた顔を全面真っ赤にして必死で笑いをこらえた。

「──…っ…」

…こんの、ガキっ
人をおちょくりやがったな…

そんなルイスの形相が一瞬、般若にすりかわった‥

‥ように見えた‥


「‥ごっ、ごめんなさい!」

少年は微かに怯え、咄嗟に詫びる。

「ま‥まぁいい…それはそうと時間ちょっと食い過ぎたな‥
今日で受け付け締め日だから急がないと参加出来ないぞっ!」


「──!?っ…それを早く言ってよっ!」


気が付けば、日はだいぶ落ちて辺りは薄暗がりになっている。

周りを見渡すと、あれだけの行列が蜘蛛の子散らしたように人気もなく、さっきまで開平されていた扉が閉められている。

――!!!!!ッ
「あーっ!?役所の扉がっ…」

ルイスは上着の内ポケットの懐中時計を確認し、慌てる少年に助言を与えた。

「大丈夫!締切まであと7分ある、走れば間に合うよ!」

「っでも、扉がっ!!」


「向こうに開いてる扉があるだろ!?そこから行けるからっ …だけど受付場所までちょっと遠い‥

だからいいな?よく聞くんだ」

「うんっ、わかった!早く教えて!」


ルイスは一瞬、不敵な笑みを浮かべ少年の体をグィっと引き寄せる。

そして吐息で囁くように耳打ちする──


 「死ぬ気で走れっ!!」


「──っ!?」


発した言葉と同時に少年の背中をルイスは強く押し出した。

うろたえながらも、勢いに押され走り出した少年の後ろ背に、ルイスは手を振り言葉を投げ掛ける。


「頑張れよォ~間に合うように祈ってるからなぁ~」

悠長に語り掛ける声が背中から聞こえてくる。

目を見開きながら必死の形相で少年は走った!

やみくもに走った―――

死ぬ気で走った―――――

扉をくぐり階段を駆け上がり、また駆け上がりさらに走り込み、そして駆け下り…


‥とっ…遠すぎるっ!

絶対に‥間に合わないっ!!

そう思い目の前の扉に追突する勢いで少年はノブに手をかける!


―――――バタンッ

ーゼェ
ーーハァ
ーーーゼェ
ーーーーハァ…‥ゼェ‥ハァ

「‥う‥うけ‥つ…
は‥しめ…ま、し‥…か!?」

裏口から突然、すごい勢いで飛び込んできた少年の登場で受付場にいたお役人達は驚いて資料を床にばらまいてしまった。


「…う‥受付は‥もう‥

………ダメ‥?」

少年は息を切らし再度聞き返す。

「…あ…あの…」

「……っ…」

―――ガーンっ!!!


ハァ‥やっぱり、
間に、合わなかっ…た…

返事を躊躇う役人を前にして少年はヘロヘロになって床にへたれた…




「ぷっ……こ、こちらへどうぞ」

‥ぷっ?


小柄なお役人が笑いをこらえ少年をカウンターの方に招いた…


「…また、エライ全力疾走できましたね~
どこから走って来たんです?」


少年の汗ダクな額を眺めながらお役人が聞いてきた


「ふ、噴水の方から…受付に‥間に合わない‥と思って……急いだ‥んだけど、結局間に合わなかったぁぁぁ」

少年は荒い呼吸のままカウンターにグッタリと寄りかかり首をうなだれた


「…充分間に合ってますよ」

‥えっ?

少年はお役人の言葉に驚く

‥じゅ、充分間に合ってるだって!?


「だっ、だってもう5時過ぎてるしっ」


少年は館内の時計を指差して訴える


「今日は、受付最終日だから7時迄です。
ご存知ありませんでしたか?入口の掲示板に貼り出していますけど…。ああ、ではそれで間に合わないと思って走って来たんですね!………でも、なんでまた遠回りなんか?」


‥遠回りっ!?

「噴水のところからなら真っ直ぐ走って来れば2分とかからないはずですよ。
…なんでまた裏口から?
 階段使わないと来れないから大変だったでしょうに…」

「だっ、だって表口は扉が閉まって……」



「…扉は閉まってるけど鍵はかけていませんよ…夕方になると冷え込むから閉めただけだし、晩に開けっ放しの店なんてどこもないでしょう?」


‥た、確かにそうだ…


少年は呆然とした。


…ちょ、ちょっとまてよ…
なんか、
おかしくないっ?




「──!っ…」


―――ッバンッ!!



少年は、はっとするなり突然カウンターを叩いた!

周りの役人がビクつく中、目の前の小柄な役人だけは至って冷静だ


「突然どうしました?」

しかもニコニコ笑っている

「ちょっとっ!
ちょ~っと、お聞きしても宜しいでしょうかっ!?」

「はぃ、なんなりとっ!」     (ニコッ!)


「あの~もしかしたら、
も~し~かしたらですよ?
精鋭部隊の隊長さんはですね、受付が7時迄ってのわぁ… ご存知の上だったんじゃあ………
なかろうかと自分は思いましてですねっ えぇ、ハハッ―」


少年はひきつる顔で無理矢理笑顔を作ったが、どーにも目が笑ってない。


「はぃ、ご明答ぅ~!」

少年はお役人の言葉にカッと目を見開いた。



「ルイス殿はこの大会の取締責任者でございます」

‥なにっっ!?

「今朝の朝会で 今日は最終日で希望者も増えるだろうから7時まで延長と お取り決めになられたのもルイス殿でございます……」

‥ほほぅっ!?

「あなた様がお見えになる10分前に表口から颯爽といらっしゃり……」

‥10分前っ!?

「“もう少ししたら、血相変えた哀れな子羊が飛び込んで来るから丁重にお迎えしてやってくれ‥” とのお言葉を頂いております。」

「……っ!?…」

少年は意識がモウロウとしてきていた‥

頭の中には何やら霞が掛かっているようだ。

「‥な、なんだ……何がどうなってるんだ…」

頭上を可愛いヒヨコがピヨピヨ鳴きながら飛び回る。

少年は壊れてしまった‥…

「あと、何か言付けはないかと聞きましたら…

“う~ん…… アディオス!”

とだけおっしゃると、表口から爽やかに立ち去りました。」  


…‥ア、
  アディオスぅ!?

…‥…‥…ぅゐゐゐゐゐ~



――――ゴオォォォォォォォッ



『あ゛の゛エ゛ロ゛
  お゛や゛じ゛ぃ~

 許っさん!!!』



たちまち少年の体を怒りの業火が包みこんだ…!‥‥

かに見えたっ!

形相が子羊から一変して魔神のようであるっ!



‥くぅ~
してやられた!!


あまりの悔しさにカウンターに突っ伏す少年に、小柄なお役人は少し同情した。

「してやられましたね?」
少年はブンブンッと首を、おもいっきり縦に振る。
ショックが大きく言葉もでない…


‥前言撤回っ!!優しいなんて思った自分がバカだった………あいつ‥結構、根に持つ奴だ!


「…何か、ルイス殿を怒らすような事でも?」


「……っ」


「…‥したんですね?」


「…ちょっと、
からかっただけ‥だよ‥」


「なるほど……。ルイス殿は借りは必ず返す方です…しかも忘れた頃に。善意、悪意に限らずどちらでも…本人いわく、倍返しがモットーだそうで、あの美しい笑顔にだまされる方も多いようです…………恐い方です…」


少年はガクッと片を落とした…

「納得しました…」

‥笑顔の裏で報復の機会を狙ってたわけだ…
さすが精鋭部隊を率いるだけはあるな?…瞬時に策を練るなんて…っ



「相手が悪かったようですね?今回は、まぁ
勉強をしたと思って、諦めましょう!
仕返ししようなんて考えてはダメですよ!!」



「…あんなくだらない事でこんなに疲れる思いするくらいなら…やらないよ…」

疲れきった顔で愚痴を溢す少年に小柄な役人はクスッと笑い、紙と万年筆を差し出す。

「では、書類にサインをして頂いて……あ、ここにお願いします。──ありがとうございます!はい、これで手続き完了です!   
書類の控えをお渡しします、 少々お待ちを、、、 」

小柄な役人が席を立つと、少年はちらっと時計を気にした


‥5時28分…
2時半にこっち来たから‥かれこれ4時間か、‥
ティム達待ちくたびれてるだろうな‥

少年はフゥとため息をついた。

‥肝心の手続きは5分とかからないのに、‥たくっっ! ほんとっこれもあの 大男のせいだよっ!

思い出すとみょーに腹が立ってきた…

「“ディアノル・J・バートン”さんっ!」


「あっ、はい。」

小柄な役人が二枚の紙を手にカウンターに戻ってきた


「こちらが、先程の控えになります‥ご確認を…‥よろしいですか?…‥で、こちらの方は注意事項や大会についての ルール が書いています、 後でしっかり目を通して下さいねっ」


「はぃ、わかりました。」

少年は二枚の紙を受け取ると四つ折にしてズボンのポケットしまった。




「それでは、ルイス殿から“丁重に”と念を押されていますので、宿舎の方には私がご案内します。
…お泊りになられるんですよね?」


「はぃ、無料だって聞いたんですけど、ほんとですか?」

イマイチ、隊長さんの言うことは信用できない…

「えぇ、こと【闘技会】に関しては 貴族の方々がバックについておられます、食事から何から全て無料でございます。」

小柄な役人はニコニコしながら話た

‥この人が言うなら信用できそうだ‥。

少年はほっと胸を撫で下ろす。

「では、参りましょう…と、自己紹介がまだでしたね。

私、アレン・フォレストといいます。
アレンとお呼び下さい…
えーとディアルル×%○×※……ニコッ」

アレンは笑ってごまかした。

「──ディアノル・J・バートン です。ややこしいから アル でいいよ?みんなそう呼んでる」


「そうですか、ではアル。大会までの短い間ですがよろしくお願いします」


「こちらこそお願いします!」


歩きながら手を差し出したアレンの手を握り、アルも快くそれを受けていた。


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