男装バレてイケメン達に狙われてます【逆ハーラブコメファンタジー】

中村 心響

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第一章 出会い編

11話 幼い誓い

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「あ~お腹いっぱいだねぇ」


「うん、おばちゃんの料理すんごく、うまいっ」


「エバって名前だよ。みんなちゃんと、覚えてね‥

明日の朝も、あそこでみんなで食事するんだ。そうしなさいって、エバが言ってくれたんだよ… 

もう、隠れる必要ない‥そのかわり、迷惑かけないようにね」


「 おぅ、わかってるぜ!なっ、マーク、ジョン!」

―うん! 

―ぅッ!


アル達は夕食を済ませて部屋に戻ってきていた。


「なあ、アル‥オイラ、あのおじちゃん好きだなっ」


ティムは口にしながらベッドの上で自分の宝物のダガーを眺めていた。

父親がティムの8才の誕生日にくれた宝物。


『男は剣を使えなきゃいけない‥この剣は父さんが、ティムと同い年の時にティムのおじいさんからもらった物だ‥‥大事にするんだよ

お前が18歳になったら次は父さんのこの剣を授けよう‥  
それから、いいね‥剣は人を傷つける物じゃない…自分の身を、自分の大切な人の身を守る物だ……むやみやたらに振り回しては駄目だ──

腕をみがくんだ‥剣の腕を。この村の男はみんな剣を極めなくてはならない‥

ティムが12才になるまでに“祭壇の儀”ができるよう村が回復してくれればいいんだが‥‥‥』






村の行く末を安じていた父親ももういない。
村を出る時に形見がわりに父の剣を手にしたが‥ティムには大き過ぎ、とても持っては歩けなかった。

“いつか、大人になったら絶対この手にしてやる!それまで待ってろよ!!…”

ティムは村を出る時、そう自分に誓ったのだ…






「ザドルは優しいよ、すごくね………ふふっ」


アルは思い出し笑いをした。


今、思えばあの日──ザドルにちょっかい出されなければどうなっていただろう…



順調に受付を済ませ、宿泊施設があることも知らず、大会までの二週間を待ちきれず死んでたかもしれない…

或は、空腹を耐えられず盗みを侵し捕まってたかも…

そーいえば、この国に着いた時点で餓死寸前だったんだ…

それが、ザドルに絡まれ、隊長さんにからかわれ

アレンに出会い…

エバと出会った……

人の縁て不思議。

ほんの少し遠回りしただけなのに、こんなにたくさんの幸せと出会った。


初日に隊長さんに無駄に走らされ、逆上したりもしたけど…

あの人のおかげでもあるのかな?……




すべてを重く背負い込んでいた自分に、踏ん切りをつけさせてくれたのもあの人だった……

あの瞬間からみるまに世界が広がった。


アルは初日にルイスとやり取りした事を思いだす。


ザドルに汚された顔を拭いてくれ、そしてパンをくれた。その時はすごく優しい人だ! って思ったっけ

それに、すごくカッコ良いと思って…

エロエロ言われてたからイメージは崩れまくってたけど……


「ティム! ザドルだけじゃない…きっと、他のみんなもすごく好きになると思うよ!!」


アルは微笑んだ


「うん!オイラもそう思う!!」





「‥ねぇユリア‥大丈夫?
鼻血止まった?   」


「うん…」


どうしたんだろ?食堂で鼻血を出してから一言も話さない…

アルは元気なティムとは対照的に落ち込むユリアを気に掛けていた。


「調子悪い?
具合が悪くて鼻血でたなら今日はお風呂はやめとく?」



「大丈夫………

ただ、恥ずかしかっただけなの……ぅぅっ‥」


ユリアは泣き出した。



―――そうか…女の子だから、あんなに人のいる前で鼻血は確かに恥ずかしいって思うのも無理ないか…


「大丈夫だよ。ユリアが気にしてるほど、周りは何も気にしてないからさっ!」

「でも…あの人には見られたくなかったもの‥グスッ」


「あの人?‥‥あの人って?…」


「お馬さんみたいな人‥
黒いお馬さんみたいでキレイだったの…」



「……?」


お馬さん‥ねえ…
あそこに馬面な人いたっけ?


「捕まっちゃった人。アタシの鼻血、拭いてくれてただけなのに…アタシのせいで捕まっちゃった…」


考えるアルにユリアは誰のことかを説明した。

「ああ、そうか!鼻血拭いてくれてたんだ。あの人はロイドっていうんだよ」




ジョンが見つかったから解放してくれると思ってたけど、結局繋いだまま連行されたな…


「ロイド…」

ユリアは呟く


「じゃ、大丈夫ならお風呂行こう。ティム達も準備だけしてて…」


「…オ、……」



「?…ティム、聞こえた?」

「オイラっ!一人で入っていいか!?一人で入りたいっ」


「一人?…どうして?」

「どうしてもっ…こ、これからオイラは一人で入るっ──そう決めたんだっ!」

「…?…」

力むティムをアルは見つめる。

そういえば……昨日のお風呂だってティム一人だけ離れた場所で背中向けてたっけ…


七歳のユリアでさえも鼻血を見られ恥ずかしいと言う。

10歳か――これからいろいろあるんだろうな…たぶん自分では対処しきれない事も…

――そうだっ!!


「よしっ!わかったっ

いいよ、 ちょっと待ってて」



アルは何かを思い出し、部屋を出て行く。そして直ぐに戻ってくるとティムに笑顔を向けた。


「ティム。一人ではダメだけどマークとジョンを連れて、今から行っておいで!! 今、頼んで来たから」



「頼む?何をだ?」
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