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4章 生け贄
しおりを挟む「テメェ‥‥
なにしてくれてんだ‥」
「……う゛…あ‥」
ゆらりと怒りで燃え上がる黒煙を纏い、キングはゆっくりと足を踏み進め、唸るような低い声を静かに響かせる‥
手を放したいのはやまやまなのに、知也を押さえつけていたジャッカルは、ただ、生唾を飲み恐怖に脅えることしか出来ずにいた。
キングは知也の手を押さえ込んでいた奴の腕をグッと掴む‥
そして知也から引き剥がした瞬間、そいつの顎を片手で鷲掴むと机に散らばっていた将棋の駒を獣の口に強引に押し込んだ。
瞬間、顎を掴んでいた手を離し胸ぐらを掴むと渾身の力をこめた裏拳が炸裂する。
弾き飛ばされたようにジャッカルの体が回転しながら宙を舞う。
殴られた勢いで将棋の駒を詰め込まれた口から鮮血の華を空中に散らしながら、ジャッカルは見事な赤い華を顔に咲かせてその場に堕ちた‥
その一瞬の出来事に周りは息を飲む‥
「克、俊ぃ…──」
そして、涙ぐもった震える声で自分を呼ぶ知也に目を向けると再びキングの怒りの炎に油が注がれた。
・
知也の可愛い暴れん坊は一度果てた証拠を床に残し、差し込まれたジャッカルの指のせいで今も尚、ピクピクと脈を打ち反応を返している。
キングはそれを見て、怒りの黒煙を業火の如く立ち上がらせる!!!
燃え盛る炎を瞳に宿し、キングは指を差し込んだままのジャッカルの腕を掴むと、怒りで煮詰まる顔を近づけ威圧するように唸った。
「テメェ‥だけ‥は…
生かしちゃおけねえ‥」
声が掠れ、震える‥
ドスが効き過ぎて囁いているのか唸っているのかも解らぬ低い声‥
その声を吐いた途端、手近に置いていたあの凶器をジャッカルの手に振り下ろした──
「‥ウギャッッ──!!」
東校舎に惨劇の舘で聞こえるような叫びが轟くッ
その叫びを余興で楽しむように笑みを浮かべると、キングはそいつの頭めがけて釘つきバットを振り下ろした!!!
「うわぁ!」
叫び声をあげながら血だらけの手で自分の頭をかばいジャッカルはしゃがみ込む!
その前には大きな影が立ちはだかっていた
ふっとその大きな影を見上げると‥
それは自分達のボス‥
英二だった──
・
英二は振り上げられた凶器を握るキングの腕を掴み不敵な笑みをこぼす。
そして言った。
「フッ‥
相変わらず壊れてんな‥
あ?──人の縄張りに来て好き放題やってくれんじゃねえ‥」
そう言って笑みを顔から消し目の前の怒りに燃えるキングを見据える‥
そしてトップ同士の睨み合いにその場の空気も変わり始めていた
キングは怒りの表情のまま静かに口を開く‥
「英二‥
テメェが仕組んだのか‥」
そんな問いに英二は再び笑みをこぼし嘲笑うように答えた
「ああ、
お前が捨てた可哀想な王子様の頼みでね‥クッ‥
しかし、驚きだな?あ?
そのガキまだ全然、慣れてねえなんてよ。
色惚けのお前が、手を出してないなんて信じられねえ‥‥ってことはよっぽど本気か?‥ククッ‥」
小馬鹿にしたように苦笑を洩らし言った英二の言葉に、離れて見ていた理央が目をふせ悔し気に唇をキュッと噛み締める。
“よっぽど本気か?‥”
そう、英二のその言葉が胸に刺さっていた──
そして同じその言葉を言う克俊に理央は痛みだす胸をグッと押さえ込む。
・
「ああ‥
めちゃめちゃ本気だ‥‥
せっかく怖がらせないように大事にしてたのによ‥
テメェのあほどもがッッ
要らん真似をしてくれて‥
俺は一体どうすりゃいい?‥あ?‥ダークギャングのボスさんよぉ‥‥?」
互いに睨み合い一歩も引かない‥
お互いに穏やかな口調で語りながらも隙をひとつも与えず牽制しあう‥
そう言って怒りの業火の弱まらない克俊に英二は笑みを返し答える‥
「どうすりゃ気が済むってんだ?あ?‥怒れる獅子さんよ‥?」
「フッ‥んなんわかりきったことだろ?
後ろに囲ってるそいつを
“生け贄”として渡しゃいいだけだ。
簡単だろ?たった一人の犠牲でたくさんの命が救われるんだぜ?
悪い話じゃねえだろ?」
克俊の言葉に笑みを浮かべながら英二は鼻で笑い吐くように言う
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