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第二章 甘すぎる一夜の過ち
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「大丈夫か?まだ酔い覚めてないみたいだし、無理して帰る必要はないよ」
前髪が触れるか触れないか。
その距離の近さで伏し目がちな彼に見下ろされて、頬が急激に熱を帯びる。
会社では悪女と呼ばれている私だけど、おそらく同年代の女性と比べると男性経験は圧倒的に少ない。
こんな風に男性に押し倒されることなどほぼ皆無で、どう反応したらいいのか分からない。
なにかを言おうとしても、言葉が出てこない。
口を開いて閉じて、再び開いたとき私の反応を見てふっと彼が笑った。
「なに、その可愛い顔」
「……っ」
思わず目を見開く。
男性に可愛いなんて言われたのは初めてだった。
照れくささと喜びが交互に押し寄せてカッと顔が赤くなる。
「どうしていつも伍代さんは私をからかうんですか……?」
どうにもならなくなった私は、恥ずかしさを隠すために彼から顔を背けて必死に抗議する。
「こないだのこと?」
「そうです。みんなの前であんな恥をかかされて私がどんな気持ちになったかわかりますか!?」
「あの日がエイプリルフールだって本当に忘れてたんだ」
「私は許しませんから!」
酔っぱらって介抱してもらったどころか、ひっくり返りそうになった私を助けてくれた上司になんて言いざまだろう。
可愛げのない部下だと怒って家から追い出してくれることを期待したものの、彼の反応は真逆だった。
「ごめんな。どうしたら許してくれる?」
私の背中に回っていた腕を引き抜くと、彼は私の顔の両サイドに手をつく。
無駄に顔が良すぎるせいでこのシチュエーションにドキドキしてしまう。
奈々子がこれを見たら、絶叫して悶絶しているだろう。
「だから、何度謝られたって許しませんからね」
「……そうだ。いいこと思いついた」
「なんですか?」
「試しに俺に抱かれてみない?」
「はいっ!?」
彼の信じられない発言に声を上げる。
「何度謝っても許してもらえないなら、体で償うよ」
「なっ……、それをあなたがいいます!?」
『体で償え!』っていうセリフは聞いたことがあるけど、『体で償うよ』って提案する人なんている?
「それに、そんな自信満々に言ってますけど、私を満足させられるってことですか?」
「うん。頑張る」
「多分、無理ですよ」
「どうして?」
過去の苦い記憶が蘇る。
学生時代、付き合っていた彼氏とそういうことになったとき全く濡れなかったのだ。
下半身に手を伸ばした彼が「全然濡れてないじゃん」と幻滅したように言ったあの顔をいまだに思い出す。
なんとか結ばれたものの、常に引きつれたような痛みに襲われてそれに耐え続けた。
それからは、セックスは苦痛なものであるという認識になってしまった。
「私、不感症なんです」
私の言葉に目を丸くした後、彼は「性欲はある?」と尋ねた。
「まあ、人並みには」
「そう。じゃあ、嫌ではないってこと?」
「嫌ではないですけど、苦痛だろうなって考えるとめんどくさいですね」
「そう。じゃあ、なおさら俺で試してみようよ」
彼はそう言うとそっと私の髪に触れて、ゆっくりと撫でつけた。
前髪が触れるか触れないか。
その距離の近さで伏し目がちな彼に見下ろされて、頬が急激に熱を帯びる。
会社では悪女と呼ばれている私だけど、おそらく同年代の女性と比べると男性経験は圧倒的に少ない。
こんな風に男性に押し倒されることなどほぼ皆無で、どう反応したらいいのか分からない。
なにかを言おうとしても、言葉が出てこない。
口を開いて閉じて、再び開いたとき私の反応を見てふっと彼が笑った。
「なに、その可愛い顔」
「……っ」
思わず目を見開く。
男性に可愛いなんて言われたのは初めてだった。
照れくささと喜びが交互に押し寄せてカッと顔が赤くなる。
「どうしていつも伍代さんは私をからかうんですか……?」
どうにもならなくなった私は、恥ずかしさを隠すために彼から顔を背けて必死に抗議する。
「こないだのこと?」
「そうです。みんなの前であんな恥をかかされて私がどんな気持ちになったかわかりますか!?」
「あの日がエイプリルフールだって本当に忘れてたんだ」
「私は許しませんから!」
酔っぱらって介抱してもらったどころか、ひっくり返りそうになった私を助けてくれた上司になんて言いざまだろう。
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「ごめんな。どうしたら許してくれる?」
私の背中に回っていた腕を引き抜くと、彼は私の顔の両サイドに手をつく。
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奈々子がこれを見たら、絶叫して悶絶しているだろう。
「だから、何度謝られたって許しませんからね」
「……そうだ。いいこと思いついた」
「なんですか?」
「試しに俺に抱かれてみない?」
「はいっ!?」
彼の信じられない発言に声を上げる。
「何度謝っても許してもらえないなら、体で償うよ」
「なっ……、それをあなたがいいます!?」
『体で償え!』っていうセリフは聞いたことがあるけど、『体で償うよ』って提案する人なんている?
「それに、そんな自信満々に言ってますけど、私を満足させられるってことですか?」
「うん。頑張る」
「多分、無理ですよ」
「どうして?」
過去の苦い記憶が蘇る。
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「嫌ではないですけど、苦痛だろうなって考えるとめんどくさいですね」
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彼はそう言うとそっと私の髪に触れて、ゆっくりと撫でつけた。
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