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第六章 芽生えた感情
9
「さて、どうしましょうか」
後部座席に座った私と春ちゃん。
奈々子から借りたアニメのDVDを助手席のヘッドレストの大型テレビモニターで流してもらうと、春ちゃんはキャッキャと笑いながら動画に夢中になっている。
「隣町にある大型ショッピングモールで春ちゃんを遊ばせよう。あそこなら室内型の小さな遊び場もあるし、おむつを替える場所もある。夕飯もそこで済ませよう」
「なるほど。そうですね」
私は後部座席から伍代さんを見つめた。
よくよく考えると、私は今まで異性にリードされたことがない。
いつも自分がリードする側だったし、それが当たり前だと思っていたから。
俊介と付き合っているときに映画を観に行こうという話になった時も、映画館に着いてから席が埋まっていては困ると考え、ネットでチケットを予約しておいて当日それを渡した。
『なんか、お前ってデキ過ぎだよね。こういうのって普通、男がやんない?』
と呆れられた。
確かにそうかもしれない。こういうところが、私の可愛くないところなのだ。
車は幹線道路を進む。伍代さんは春ちゃんを乗せていることもあり、慎重に車を走らせる。
駐車場に着き車を停めると、伍代は春ちゃんのほうへ回り込み、チャイルドシートのベルトに手をかける。
その姿ははたから見たら、パパにしか見えない。
春ちゃんを抱き上げて車から降ろすと、「行こうか、みーちゃん」と伍代さんがいたずらな笑みを浮かべた。
「そうね、ともくん」
負けずに言い返すと、伍代さんがははっと笑う。
「その言い方、悪くない」
気分よさそうに歩き出した彼と春ちゃんの後を私はふっと笑いながら追いかけた。
ショッピングモールの三階に、小さなゲームセンターに併設されたプレイルームがあった。
三十分単位で遊べるらしく、滑り台だけでなくボールプールやトランポリンなど多種多様な遊具がある。
「あそぶー!」
それを見るなり、春ちゃんはキラキラと目を輝かせた。
プレイルームに入ると、ちょこちょこと動き回る春ちゃんを二人で追いかける。
まだ身長が足りず一人でできない遊具もあり、そのたびに伍代さんが抱き上げたり持ち上げたりしながら春ちゃんを遊ばせる。
すると、春ちゃんの元に同い年くらいの女の子が歩み寄った。
「あそぼ~?」
きょとんっと目を丸くする春ちゃんの手を引っ張る女の子。
「うん」
二人が一緒に遊び始め、二人の後ろを伍代さんと私が付いて回る。
すると、「すみません、一緒に遊んでもらっちゃって」と見知らぬ女性に声をかけられた。
背中に赤ちゃんをおんぶしている母親は、春ちゃんと一緒に遊んでいる子の母親のようだ。
「楽しそうに遊んでますね」
いつの間にか、伍代さんが鬼となりキャッキャと楽しそうに駆け回る二人を追いかけている。
仕事の時とは違う彼の姿に思わず笑みが漏れる。
「いいパパさんですね。うちの子ともあんな風に遊んでくれて」
「ああ……、そうですね」
一瞬、何のことを言っているのかわからなかったけど伍代さんのことを言っているようだ。
「うちのパパは……」
母親は言いながら、プレイルームの外に目を向けた。
思わずその視線の先を追うと、ソファに座りスマホを眺める男性がいた。
「ずっとあの調子なんです。一緒に遊んでくれたっていいと思いません?」
「あー……、なるほど」
俊介と別れた後、私は男性全般に対して拒否反応を示してしまうようになった。
だけど、みんなそれぞれ違うのだということが伍代さんに出会い知ることができた。
奈々子に言われたようにそろそろ前を向いてもいいのかもしれない。
彼は俊介とは違う。
楽しそうに走り回って遊ぶ伍代さんの姿を目で追っていると、なんだか胸が温かくなった。
後部座席に座った私と春ちゃん。
奈々子から借りたアニメのDVDを助手席のヘッドレストの大型テレビモニターで流してもらうと、春ちゃんはキャッキャと笑いながら動画に夢中になっている。
「隣町にある大型ショッピングモールで春ちゃんを遊ばせよう。あそこなら室内型の小さな遊び場もあるし、おむつを替える場所もある。夕飯もそこで済ませよう」
「なるほど。そうですね」
私は後部座席から伍代さんを見つめた。
よくよく考えると、私は今まで異性にリードされたことがない。
いつも自分がリードする側だったし、それが当たり前だと思っていたから。
俊介と付き合っているときに映画を観に行こうという話になった時も、映画館に着いてから席が埋まっていては困ると考え、ネットでチケットを予約しておいて当日それを渡した。
『なんか、お前ってデキ過ぎだよね。こういうのって普通、男がやんない?』
と呆れられた。
確かにそうかもしれない。こういうところが、私の可愛くないところなのだ。
車は幹線道路を進む。伍代さんは春ちゃんを乗せていることもあり、慎重に車を走らせる。
駐車場に着き車を停めると、伍代は春ちゃんのほうへ回り込み、チャイルドシートのベルトに手をかける。
その姿ははたから見たら、パパにしか見えない。
春ちゃんを抱き上げて車から降ろすと、「行こうか、みーちゃん」と伍代さんがいたずらな笑みを浮かべた。
「そうね、ともくん」
負けずに言い返すと、伍代さんがははっと笑う。
「その言い方、悪くない」
気分よさそうに歩き出した彼と春ちゃんの後を私はふっと笑いながら追いかけた。
ショッピングモールの三階に、小さなゲームセンターに併設されたプレイルームがあった。
三十分単位で遊べるらしく、滑り台だけでなくボールプールやトランポリンなど多種多様な遊具がある。
「あそぶー!」
それを見るなり、春ちゃんはキラキラと目を輝かせた。
プレイルームに入ると、ちょこちょこと動き回る春ちゃんを二人で追いかける。
まだ身長が足りず一人でできない遊具もあり、そのたびに伍代さんが抱き上げたり持ち上げたりしながら春ちゃんを遊ばせる。
すると、春ちゃんの元に同い年くらいの女の子が歩み寄った。
「あそぼ~?」
きょとんっと目を丸くする春ちゃんの手を引っ張る女の子。
「うん」
二人が一緒に遊び始め、二人の後ろを伍代さんと私が付いて回る。
すると、「すみません、一緒に遊んでもらっちゃって」と見知らぬ女性に声をかけられた。
背中に赤ちゃんをおんぶしている母親は、春ちゃんと一緒に遊んでいる子の母親のようだ。
「楽しそうに遊んでますね」
いつの間にか、伍代さんが鬼となりキャッキャと楽しそうに駆け回る二人を追いかけている。
仕事の時とは違う彼の姿に思わず笑みが漏れる。
「いいパパさんですね。うちの子ともあんな風に遊んでくれて」
「ああ……、そうですね」
一瞬、何のことを言っているのかわからなかったけど伍代さんのことを言っているようだ。
「うちのパパは……」
母親は言いながら、プレイルームの外に目を向けた。
思わずその視線の先を追うと、ソファに座りスマホを眺める男性がいた。
「ずっとあの調子なんです。一緒に遊んでくれたっていいと思いません?」
「あー……、なるほど」
俊介と別れた後、私は男性全般に対して拒否反応を示してしまうようになった。
だけど、みんなそれぞれ違うのだということが伍代さんに出会い知ることができた。
奈々子に言われたようにそろそろ前を向いてもいいのかもしれない。
彼は俊介とは違う。
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