【完結】ハイスぺ副社長になった初恋相手と再会したら、一途な愛を心と身体に刻み込まれました

中山紡希

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第一章

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「写真?え、でも撮っちゃダメなんじゃ……?」

居酒屋でのやりとりを思い出す。

「全然ダメじゃないけど」

しれっと言ってのける彼に首を傾げる。

「誤解されたら困ることになるからって言ってなかった?」
「言ったよ。でも、秋月は特別だから」

彼は私にぐっと身体を寄せて、夜景をバックにスマホを構える。

「じゃ、撮るよ」

肩同士が触れ合う。
彼の熱がダイレクトに伝わってきていてもたってもいられなくなる。
私は強張る頬を必死になって持ち上げて笑顔を作る。

「ちょっと表情かたいけど、可愛いからいいか。写真送るから連絡先教えて」

言われるがまま連絡先を交換し、写真を転送してもらう。
自分のスマホ画面にも彼と同じ写真が共有された。それが嬉しくて自然と頬が緩む。
勇気を出してクラス会に参加してよかった……。

「写真ありがとう」

お礼を言ってスマホをバッグにしまおうとした瞬間だった。
手元のスマホがブーッブーッと音を立てて震えた。
画面には轟部長と表示されている。
瞬間、喉がひゅっと音を立てた。恐怖で手が小刻みに震えだす。

電話に出れば再び暴言を浴びせられ、出なくともねちっこく嫌味を言われるに違いない。
会社の上層部に相談する勇気はない。
そんなことをすれば轟部長からの執拗なパワハラはさらに酷くなるだろう。
なにより、そんなことをして仕事を失うわけにはいかない。

私には頼れる家族がいない。
大学一年のとき、唯一の肉親だった母に病気が見つかり、闘病のかいもなく半年ほどでこの世を去った。
今頼れるのは自分だけ。八方塞がりな状況に、ぐっと我慢をするしかなかった。

「秋月」

彼の声でハッと我に返る。
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