初心者女子

nim

文字の大きさ
17 / 22
第一章  吸収期女子編

第十七話  浴衣と昔話

しおりを挟む
「確かこの辺に仕舞っておいた気がするんだけど・・」

押し入れに四つん這いになってあれを探すお母さん、ボクはそんなお母さんの尻を見ながら相談したことに後悔をしていた

なんで家に浴衣があるんだ?うちは元々男系家族だぞ?
ないと思ってお母さんに相談したら「あるよ?いいやつが!」とか抜かしてニマニマしながら探してやがる
これではボクの計画が・・

浴衣を着なければならないなんて誰にも言われてないのに何故か祭りといえば浴衣のワードが頭をグルグルしていた
おそらく脳内のボク女子が指令を出してるんだと思い、浴衣がなければボクは祭りにもイベントにも出なくていいと勝手に思い込んで安心しきってお母さんに聞いたのだが・・

ボクが軽く鬱になりかけたところでお母さんが薄い大きな箱を取り出してボクの前に置いた
ニヤニヤしながらお母さんが箱を開けると鮮やかな黄色の朝顔柄の入った浴衣が入っていた

「ほら!千秋キレイでしょ?これお母さんが昔仕事で着たやつなの、まさか娘に着てもらえる日が来るなんて!お母さん感無量よ!」

えっ?お母さんが昔仕事で着てた?そんなの初耳だぞ?
ていうか親が何してたかとか興味がなかったからわざわざ聞くこともなかったのだが

ふとお母さんを見ると浴衣の下から本を取り出しパラパラと何やら探している
しばらく鬱気味で見ているとお目当てのページが見つかったらしくバンっと床に置いてボクに本を見ろと指図してきた

「これこれ!この娘だ~れだ?」

は?だ~れだって?これは水商売の指名表かなにかか?とか思ったが仕方なくボクはその本に目を下ろしてやる

おぉ!可愛い姉ちゃんだな!髪をお団子にしてるがツヤツヤな髪が色気を醸し出してるな、目鼻立ちも美人だしこりゃナンバーワンホステスで間違いない!源氏名は・・NATSU!

そこでボクは違和感を覚える

なんか目鼻立ちボクに似てないか・・?そいやこの浴衣・・ここにあるやつと同じじゃないか・・あれっ?まさか!
ボクはサッとその本を拾い上げるとページの文字を読み漁る

特集!彼を振り向かせる浴衣女子!
今回のモデルはあの人気ナンバーワンのNATSUさん!
彼女が着こなすイエロー基調の浴衣!読者も真似がしやすいようにシンプルに!・・

何?これ?しかもNATSUって・・これお母さん?

突然のカミングアウトにボクの頭が追いつかない
夢かも?と本に目を向けるとデカデカと黄色の浴衣を着こなすボク似の女子が写っている
お母さんに聞くのが怖くてボクがフルフル震えているとお母さんが勝手に喋りだした

「可愛いでしょ?お母さん昔モデルやってたの!ちゃんとプロだったんだから!結構名前も知れてたのよ?東京の大きなイベントにも毎年出てたし」

嘘だろ・・?これは・・蛙の子は蛙ってやつでは・・
モデルの娘はモデル・・
うっ・・
やだよぅ・・
色んな意味でこわいよぅ・・
だってボク元男だよ?
今は女子だけどいまだにプライドは男だよ?
さだめなの?オババ様が言ってたさだめってやつなの?

久しぶりのアホな子がにじみ出てきたところで、何故かお母さんに手を握られた

「結婚してあなた達の妊娠がわかってお母さんモデル引退したの、夢の続きは自分の子供に託そうと思ってた、でも二人は男の子でモデルにも興味なさそうだったからお母さん諦めてたわ」

しみじみと話すお母さん、未だ震えの止まらないボク
手を振り解こうとしたがギュウギュウと握り返してきて離してくれないお母さん
ふとお母さんの顔を見ると、ギラついた目でニヤッとほくそ笑んでいた

ひいぃ!?怖い・・!?

「千秋が女の子になってチャンスだと思ったわ・・私の夢の続きを託せるって・・美容室にあなたを連れてったのもツテのあるスタイリストにあなたの姿を見せる為・・あなたならお母さん以上のモデルになれるって感じたから!」

感極まって泣きそうなお母さんだが、そんなことはどうでもいい、とりあえず話題を変えないと・・

「あっ!そうそう!こないだのテストもう少しで満点だったんだよ?紗良と同じで学年トップとったんだ!」

ナイス切り返し!これでお母さんもボクを褒めるしかないだろう!
しかしお母さんは更に上の返答を吐き出した

「あら?凄いわね!流石将来トップモデルになる娘だわ!お勉強もできないと世界にも通用しないからね!それだけ飲み込みが早ければモデルのお仕事もすぐになれるわね!」

と痛恨の切り返し、ボクのHPが瀕死になる

お母さんには勝てないとボクが悟ったところで更にお母さんが攻撃を仕掛けてくる

「千秋?イベント当日は美容室に寄って原さんにスタイリングしてもらうでしょ?お母さんも見に行くからね!娘の晴れ姿目に焼き付けないと!」

張り切るお母さんにトドメの一発をもらってしまったボク

あぁ・・もう逃げられない・・

ボクの口から魂が抜けかけたがなんとか正気を保とうとするボク
すると急に男のプライドが男気を見せてきた

しょうがねぇ、やってやろうじゃねぇか!お母さんの夢の続きなんだろう?モデルなんぞ写真に撮られるだけ!!
そんなもんにボクがビビるとでも思ったか?

そうボクの男のプライドが啖呵を切ったところでガクブルのボクは震えながらニヤッとお母さんそっくりな笑顔をしてやる

そのボクのニヤつきを見てお母さんが拍手している

「やっぱり血は争えないわね、その笑顔!お母さんもよく言われたっけ、妖艶の魔術師ってね!それでお父さんも落としてやったんだから!」

そんな情報いらん・・

自らのさだめにボクは身を任せることにしこのあと自宅でお母さんの着せ替え人形と化するボクであった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...