ゾンビ世界侵略

みかん

文字の大きさ
上 下
6 / 18

六話 任務 サッカー場

しおりを挟む
 隊長から五人に、任務が出された。
 任務内容はサッカー場の調査だ。
 サッカー場といっても今はもう使用されていない。
 五人は基地を出て、サッカー場についた。
「やけにゾンビの数が少ないな……」
 ゾンビの数に違和感を感じながらも、五人はサッカー場へと入っていった。
 サッカー場に入り、受付、いろいろな場所を見ながら、歩みを進めていく。
 そしてサッカーの競技場まで着いた。
 ここにたどり着くまで一体もゾンビに出会わなかった。
(嫌な予感がするな……)
 この不自然すぎる出来事に五人は落ち着かなかった。
 五人はサッカーのフィールドの真ん中まできた。
 するとゆっくりと何かが五人の前に現れた。
 サッカーボールが転がってきたのだ。
 その時だった。
 暗いサッカー場が急にライトアップされた。
「なんだ?」
 急に周りが明るくなり、五人はとっさに目を瞑った。
 そしてゆっくりと目を開ける。
 周りを見ると客席には、武装した集団が立ち並んでいた。
 この異様な光景に頭が追い付かない。
 すると武装集団の一人が口を開いた。
「ようこそ。我がアジトへ」
 我がアジト? 何を言っているのか、頭が追い付かない。
「我々のアジトに勝手に入ったこと……大変許しがたいものです。ですがもう、だれもあなた方を怒ってません……だって、これからとても面白いものが観戦できるんですから」
 武装集団のリーダのような人が奇妙な笑みを浮かべたかと思うと、急に地面が揺れだした。
 地震なんかじゃない。ドシン、ドシンという何かが近づいてくる音。
(な……なんだ?)
 五人がそう思った時、その音の正体は五人の前に姿を現した。
 巨大なゾンビだ。
「なんだ……あのゾンビは……」
 春人はつぶやく。
 体には武装されてある。
 どのようにしてゾンビに武装させたのか。
 またはゾンビになる段階で装備をすでにつけていたのか。
 様々な疑問が五人の脳をめぐる。
(襲われる……)
 そう判断した五人は武器を構えた。
 そしてアサルトライフルを巨大ゾンビに向け放った。
 ゾンビには……効いていない。
 武装をしているところはもちろん装備がされていない、頭を撃っても効かない。
 巨大ゾンビと五人の距離はどんどん近づく。
 そしてゾンビは腕を振った。
 その腕の速度は目で追えないほど一瞬だった。
 そしてその腕に当たった者……
 それは浩だった。
「ぐわぁ!」
 浩は巨大ゾンビに弾き飛ばされ、壁に背中を打ち付け、動かなくなった。
 司はライフルで攻撃する。司のほうを一瞬向いたかと思うと、司の手からライフルが無くなった。ライフルははるか遠くへ飛ばされている。
 正樹は新装備である、ショットガンを巨大ゾンビ頭めがけ撃った。距離が少し離れていたためか、巨大ゾンビは何事もないように動き続けている。
 弾薬が切れた。
「くそっ!」
 リロードしようとした時、巨大ゾンビは正樹の目の前にいた。正樹は蹴られ、飛ばされた。
 春人は後ろから投げナイフを投げた。投げナイフは防具がされていない、ひざの後ろの関節部分に刺さった。すると巨大ゾンビは手を膝のほうに持って行った。
(さすがに攻撃が効いたか……)
 春人はそう思ったのもつかの間、巨大ゾンビは刺さった投げナイフを抜いて、春人目掛け、投げた。放たれた投げナイフは、春人の太ももに刺さった。春人は足を抑え、もがき苦しんでいる。
 隆義は拳銃を巨大ゾンビに向けている。だがその銃を持っている腕は小刻みに震え、呼吸も荒くなっている。
 バン!
 大きな音が響いた。
 銃を放ったのは……
 武装集団のリーダーだ。
「ふっ」
 リーダーは鼻で笑う。
 その銃弾は隆義の足に当たった。
 隆義はその場に倒れこんだ。身動きが取れない……巨大ゾンビのこぶしが目の前へと近づいてくる……
 すると巨大ゾンビの顔に何か棒が貫通した。
 そしてその場に巨大ゾンビは倒れた。
 倒れた先に隆義が見たもの……
 それは浩であった。
 浩は巨大ゾンビにやられた後、意識を取り戻した。
 その時、襲われている隆義が見え、もうろうとした意識の中、落ちていたバールを拾い、巨大ゾンビに刺したのだ。
 巨大ゾンビは倒された。
 五人全員、意識を取り戻し、状況を理解し、浩のもとに駆け寄った。
 五人は疲労困憊で息が上がっている。
「くそが!」
 そういうと、武装集団は一斉に銃口を五人に向けた。
「お前ら全員消してやる!」
 武装集団のリーダーが言った。その時だった。
 次々と武装集団が倒されていった。
 今回の任務の連絡班であった司は、やられた時、基地と連絡する無線を落としていた。
 連絡が取れなくなったことに違和感を感じた軍隊は、出動命令を出し、五人のもとに駆け付けたのだ。
 激しい戦闘の末、武装集団は全滅した。
 その後、五人は救助され、車に乗せられ、基地まで帰った。
 その後治療を受け、五人はしっかり動けるように回復した。
 その後、五人が聞いた話によると、武装集団はゾンビが発生してから、多数発生したそうだ。
 その武装集団同士の抗争は今もなお、絶え間なく続いており、今回も、武装集団の敵が来たと思い、攻撃してきたのではないかということであった。
 今後も気を付けていく必要がありそうだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約者は私を溺愛してくれていたのに、妹に奪われた。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,632pt お気に入り:17

失敗したクラス転移をやり直して復讐+無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:894pt お気に入り:5

【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7,810pt お気に入り:3,551

婚約者の義妹に結婚を大反対されています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:55,253pt お気に入り:4,940

蜂の勘違い

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

クラスごと異世界に召喚されたけど、私達自力で元の世界に帰ります

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,562pt お気に入り:6

異世界に転生した織田信長

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:62

伯爵様は色々と不器用なのです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:31,114pt お気に入り:2,808

双月の恋

恋愛 / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:27

婚約者が相手をしてくれないのでハーレムを作ってみた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,911pt お気に入り:30

処理中です...