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── 1章 アルト編 ──
006.アルトの仲間?
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魔法使い風の女性がアルトに抱きついた。わたしはアルトと視界を共有視しているので顔が近い。
「アリアさん。離れてください」
アルトがちょっと嫌そうに言った。興味本位でアルトの表情を覗いてみると不機嫌な猫のような顔をしている。こんな表情初めてみた。
「まあ。つれないわね。アルトが心配で門の前で待っていたというのに。て言うかあなた汚れてるじゃない! 何かあったの?」
「大したことじゃないです」
アリアと呼ばれた女性はそこで抱擁を解くと、アルトの手を握って門のほうへ歩いて行こうとする。
「まあいいわ。こんなところにいるより早く門の中に入りましょ」
「手も繋がないでください」
「いいじゃない。減るもんでもないし」
「ぼくの精神力が減ります」
プクッと顔を膨らませるアリアは仕方なくといった仕草で手を離した。アルトも可愛いがアリアもかなりの美女っぷり。仕草が似合っている。
その後、門番に何かカードのようなものを見せると二人は門をくぐった。
◇◇◇
今はエーテルウッドの街の中を歩いている。
石畳のでできた道、木と石でできた建物、そしてそこかしこで見かける布がかけられた露天。
いかにも異世界風というか、中世の街並みのような風景だ。
興味本位で見渡していると鉄の首輪をはめられた人を見かける。奴隷のようだ。隣にいる人に怒鳴られながら荷物を運んでいる。
いわゆる獣人とか亜人とかではない。普通の人だ。というよりもそもそもこの街で見かけるのは普通の人ばかりだね。この世界には獣人はいないのかな? 異世界転生の定番だけど。それともたまたま見かけてないだけ?
「それにしてもまた一人で街の外に出るなんて! 門番に聞いたときは肝を冷やしたわ。本当に心配したのよ? 危険な目合わなかった?」
アリアがアルトに問いかける。今日は休みの日だってアルトは言っていたけど、アリアはわざわざ門の外で待っていたのかな? アリアはアルトに対して過保護なのかもしれない。
けれどアルトはそんなアリアの優しさ?おせっかいさ?に素知らぬ顔のようだ。
「大型の魔物には出会いました。多分フォレストリザードだと思います」
「え? 大丈夫なの?」
「大丈夫でした。あれくらいのスピードなら逃げられます。少し戦ってみたんですけど短剣じゃちょっとむずかしそうだったので撤退しました」
「まず、なんで戦ってみたの?ってところからなんだけど、言っても聞かないんでしょうね。だからちょっと汚れてたのね」
ため息をつくアリア。
フォレストリザードというのは、アルトが遭遇した魔物のことみたい。
「それにしても、フォレストリザード、ね。ここら辺ではあまり見ない魔物ね。一応報告した方がいいかしら?」
「その方がいいと思います。おそらくぼくたちのパーティーに討伐依頼が出ると思いますけど」
「そうね。とりあえず冒険者ギルドに行きましょう。セイソンもおそらくそこで飲んでるでしょうし」
アリアが両手を顔の前に広げて「飲んだくれには困ったものよ」、みたいな仕草をとり、首を横に振っている。
「ちょうどいいからノーアも呼んで今後の話をしましょう」
「そうですね」
「じゃあ早速行きましょうか」
「だから手を繋ごうとしないでください」
「けち!」
アリアがまた手を繋ごうとしたみたい。懲りないやつだ。
それにしても、アルトの口調がわたしと接している時よりちょっと硬い気がする。
なんか理由でもあるのかな?
◇◇◇
「あ、着いたわね」
着いたのは一見小さめのお城かと思われるような荘厳なイメージの建物だった。外壁は丈夫な石で築かれ、中央は木の扉で覆われている。その扉には剣と盾がクロスされたギルドの紋章が刻まれ、いかにも冒険者らしい雰囲気を漂わせていた。
その扉をアリアが開くと、そこは賑やかで活気のある雰囲気が広がっている。そこかしこに置かれたテーブルにはおそらく冒険者であろうものたちが集まり、グラスを持ち、話で賑わっている様子が窺える。まるで酒場のようだ。
「おー。アリアとアルト。お前らも酒か?」
テーブルの一角から大きな声が上がる。
「セイソン。あんたと一緒にしないで。魔物の報告よ」
彼がセイソンらしい。短く整えられた髪に薄手の鎧を纏った大柄の男だ。横柄な振る舞いから勝ち気な性格が滲み出ている。
「魔物だぁ? またアルトが森に行ったのか? 懲りねーやつだな」
「休みの日に何をしようとぼくの自由のはずです」
「アリアが困ってんだろうが」
「いいのよ。わたしが勝手に心配しているだけなんだから。それよりノーアを呼んでおいてくれる? おそらく討伐依頼が出るわ」
「マジかよ。大物か?」
「アルトが言うにはフォレストリザードみたいよ?」
「ちっ! それは俺たちにしか討伐できねーな。おっけー。呼んでくるわ」
「ノーアは多分、宿屋よ」
「わかってるって」
セイソンはのそりと立ち上がり扉の方へ向かっていった。
「わたしたちは報告に行くわよ。説明は任せていい?」
「大丈夫です」
「じゃあ行きましょう」
酒場のような場所を抜けると、巨大な掲示板が壁際に広がる一角にある受付カウンターだった。受付嬢はにこやかに微笑みながらアルトたちを見つけて話しかける。
「いかがなされましたか?」
「先ほど街の北にあるグローヴの森で、ここら辺では見かけない大型の魔物を発見しました。フォレストリザードだと思われます。街道からは遠い位置にいたことと、動きがそんなに早くはなかったので問題はないかもしれないですが、いちおう念の為報告しておきます」
「ありがとうございます。フォレストリザードだとCランクの魔物ですね。ここら辺には現れない魔物のはずなんですが……。アークライトの皆さんで討伐可能ですか?」
「大丈夫よ。今日出会ったのはアルトだけだったからね。メンバー全員で戦えばそんなに苦戦しないんじゃないかしら」
「わかりました。では、〈アークライト〉の皆さんに依頼が出ると思います。明日の朝、またこちらへいらしてください」
「わかったわ」
報告は終わったみたい。もっと色々聞かれるのかと思ったけど意外とあっさりだった。ちょっと拍子抜け。
「要件は以上でしょうか?」
「素材の買取をお願いします」
そういって袋からツノを取り出す。
「キラーラビットのツノと魔石が5つずつとゴブリンの魔石が6つですね。合計で3600ニクルになります。ご確認ください」
置かれたのは銀色の硬貨3枚と銅色の硬貨6枚だった。
おそらくニクルと言うのが通貨の単位で、銀貨が3枚で3000ニクル、銅貨が6枚で600ニクルってことかな?
「ありがとうございます。要件は以上です」
そう言うとアルトたちは受付嬢から離れ、セイソンが座っていた場所で腰を下ろした。
◇◇◇
「よう! 待たせたな」
「待たせた」
日が暮れた頃にセイソンは女の子を連れてきてアルトたちに話しかけた。
セイソンが連れてきたのは年齢がアリアよりは下、アルトよりは上だと思われる、ちょっと眠そうな表情の美少女だった。
体にぴったりとフィットした長袖のチュニックとシンプルで動きやすいパンツスタイルがとてもよく似合っている。
彼女がアルトの話に出ていたノーアみたいだね。
「きたわね。二人とも。やっぱりわたしたちに討伐依頼が出されるみたいよ。夕食がてら作戦会議をしましょう」
「むう。今日は休みって聞いてた」
「そうしたらノーアはずっと寝てるでしょ。ご飯食べなさい。奢ってあげるから」
「仕方ない。カレーで手を打つ」
「いつものね」
「ん」
どうやらノーアは省エネ系みたいだ。というかカレーってこの世界にもあるんだね。異世界人とかいるのかな。
「アルトはどうする?」
「じゃあ、パエリアをお願いします」
「わかったわ。注文お願い! カレーとパエリアとカルボナーラひとつずつね!」
「はいよ!」
「んじゃ俺はステーキで」
「あんたの分は払わないわよ」
「なんでだよ!」
「男のくせに女に払わせる気?」
「くそ! しゃーねーな」
そう言いながらセイソンはなんか言いたげな表情を見せている。いや、なんでこっち見るのよ。いやアルトを見てるんだろうけど。なぜアルトを見る?
「で、どうするんだ? 確かフォレストリザードって一度倒したことあるよな?」
「そうね、フォレストリザードは燃えてる間は外皮が柔らかくなるから私の火魔法で外皮を脆くさせて、セイソンとノーアにトドメを刺してもらったわ」
「じゃあ、今回も同じ方法でいくか?」
「ダメね。今回フォレストリザードがいるのは森の中でしょ? 火魔法を使うと森が延焼する可能性があるわ。あまり、森を燃やすのはどうかと思うのよ」
「そうか……。なら誘い出すか」
「誘い出すってどこに?」
「森のはずれに崖になってる部分があっただろ。そこだったら延焼を気にせず戦えるんじゃないか?」
「……セイソンにしては考えたわね」
「俺にしてはってどう言うことだよ!」
そこでアルトが手を上げた。
「どう誘い出すつもりですか?」
「そこはアルトが──」
「危険よ! それにそういうのはノーアの方が適任だわ!」
「大丈夫だろ。確かにノーアの方がうまくやれるだろーが、戦闘面でもノーアの方が使える。戦いにだってアルトじゃまだあまり役に立たねえ。適材適所だろ。つーかアリアはいちいちアルトに対して過保護なんだよ」
「だけど」
「ぼくもセイソンに賛成」
「ノーアまで!」
声を荒げるアリアにノーアは嗜めるように言った。
「アルトはやわじゃない」
「でもアルトはまだ12歳、祝福を受けて1ヶ月も経ってないのよ」
「アルトならできる」
反論しようとするアリアにノーアが見つめて言った。眠そうだった目を見開いている。その瞳には強い意志が込められている気がした。
「……そう、ね。アルト。任せていい?」
「大丈夫です。任せてください」
「危なかったらちゃんと逃げるのよ?」
アリアが心配そうにアルトを見た。
「よし決まったな? 飯も来たみてーだしさっさと食って、さっさと寝よーぜ?」
「アリアさん。離れてください」
アルトがちょっと嫌そうに言った。興味本位でアルトの表情を覗いてみると不機嫌な猫のような顔をしている。こんな表情初めてみた。
「まあ。つれないわね。アルトが心配で門の前で待っていたというのに。て言うかあなた汚れてるじゃない! 何かあったの?」
「大したことじゃないです」
アリアと呼ばれた女性はそこで抱擁を解くと、アルトの手を握って門のほうへ歩いて行こうとする。
「まあいいわ。こんなところにいるより早く門の中に入りましょ」
「手も繋がないでください」
「いいじゃない。減るもんでもないし」
「ぼくの精神力が減ります」
プクッと顔を膨らませるアリアは仕方なくといった仕草で手を離した。アルトも可愛いがアリアもかなりの美女っぷり。仕草が似合っている。
その後、門番に何かカードのようなものを見せると二人は門をくぐった。
◇◇◇
今はエーテルウッドの街の中を歩いている。
石畳のでできた道、木と石でできた建物、そしてそこかしこで見かける布がかけられた露天。
いかにも異世界風というか、中世の街並みのような風景だ。
興味本位で見渡していると鉄の首輪をはめられた人を見かける。奴隷のようだ。隣にいる人に怒鳴られながら荷物を運んでいる。
いわゆる獣人とか亜人とかではない。普通の人だ。というよりもそもそもこの街で見かけるのは普通の人ばかりだね。この世界には獣人はいないのかな? 異世界転生の定番だけど。それともたまたま見かけてないだけ?
「それにしてもまた一人で街の外に出るなんて! 門番に聞いたときは肝を冷やしたわ。本当に心配したのよ? 危険な目合わなかった?」
アリアがアルトに問いかける。今日は休みの日だってアルトは言っていたけど、アリアはわざわざ門の外で待っていたのかな? アリアはアルトに対して過保護なのかもしれない。
けれどアルトはそんなアリアの優しさ?おせっかいさ?に素知らぬ顔のようだ。
「大型の魔物には出会いました。多分フォレストリザードだと思います」
「え? 大丈夫なの?」
「大丈夫でした。あれくらいのスピードなら逃げられます。少し戦ってみたんですけど短剣じゃちょっとむずかしそうだったので撤退しました」
「まず、なんで戦ってみたの?ってところからなんだけど、言っても聞かないんでしょうね。だからちょっと汚れてたのね」
ため息をつくアリア。
フォレストリザードというのは、アルトが遭遇した魔物のことみたい。
「それにしても、フォレストリザード、ね。ここら辺ではあまり見ない魔物ね。一応報告した方がいいかしら?」
「その方がいいと思います。おそらくぼくたちのパーティーに討伐依頼が出ると思いますけど」
「そうね。とりあえず冒険者ギルドに行きましょう。セイソンもおそらくそこで飲んでるでしょうし」
アリアが両手を顔の前に広げて「飲んだくれには困ったものよ」、みたいな仕草をとり、首を横に振っている。
「ちょうどいいからノーアも呼んで今後の話をしましょう」
「そうですね」
「じゃあ早速行きましょうか」
「だから手を繋ごうとしないでください」
「けち!」
アリアがまた手を繋ごうとしたみたい。懲りないやつだ。
それにしても、アルトの口調がわたしと接している時よりちょっと硬い気がする。
なんか理由でもあるのかな?
◇◇◇
「あ、着いたわね」
着いたのは一見小さめのお城かと思われるような荘厳なイメージの建物だった。外壁は丈夫な石で築かれ、中央は木の扉で覆われている。その扉には剣と盾がクロスされたギルドの紋章が刻まれ、いかにも冒険者らしい雰囲気を漂わせていた。
その扉をアリアが開くと、そこは賑やかで活気のある雰囲気が広がっている。そこかしこに置かれたテーブルにはおそらく冒険者であろうものたちが集まり、グラスを持ち、話で賑わっている様子が窺える。まるで酒場のようだ。
「おー。アリアとアルト。お前らも酒か?」
テーブルの一角から大きな声が上がる。
「セイソン。あんたと一緒にしないで。魔物の報告よ」
彼がセイソンらしい。短く整えられた髪に薄手の鎧を纏った大柄の男だ。横柄な振る舞いから勝ち気な性格が滲み出ている。
「魔物だぁ? またアルトが森に行ったのか? 懲りねーやつだな」
「休みの日に何をしようとぼくの自由のはずです」
「アリアが困ってんだろうが」
「いいのよ。わたしが勝手に心配しているだけなんだから。それよりノーアを呼んでおいてくれる? おそらく討伐依頼が出るわ」
「マジかよ。大物か?」
「アルトが言うにはフォレストリザードみたいよ?」
「ちっ! それは俺たちにしか討伐できねーな。おっけー。呼んでくるわ」
「ノーアは多分、宿屋よ」
「わかってるって」
セイソンはのそりと立ち上がり扉の方へ向かっていった。
「わたしたちは報告に行くわよ。説明は任せていい?」
「大丈夫です」
「じゃあ行きましょう」
酒場のような場所を抜けると、巨大な掲示板が壁際に広がる一角にある受付カウンターだった。受付嬢はにこやかに微笑みながらアルトたちを見つけて話しかける。
「いかがなされましたか?」
「先ほど街の北にあるグローヴの森で、ここら辺では見かけない大型の魔物を発見しました。フォレストリザードだと思われます。街道からは遠い位置にいたことと、動きがそんなに早くはなかったので問題はないかもしれないですが、いちおう念の為報告しておきます」
「ありがとうございます。フォレストリザードだとCランクの魔物ですね。ここら辺には現れない魔物のはずなんですが……。アークライトの皆さんで討伐可能ですか?」
「大丈夫よ。今日出会ったのはアルトだけだったからね。メンバー全員で戦えばそんなに苦戦しないんじゃないかしら」
「わかりました。では、〈アークライト〉の皆さんに依頼が出ると思います。明日の朝、またこちらへいらしてください」
「わかったわ」
報告は終わったみたい。もっと色々聞かれるのかと思ったけど意外とあっさりだった。ちょっと拍子抜け。
「要件は以上でしょうか?」
「素材の買取をお願いします」
そういって袋からツノを取り出す。
「キラーラビットのツノと魔石が5つずつとゴブリンの魔石が6つですね。合計で3600ニクルになります。ご確認ください」
置かれたのは銀色の硬貨3枚と銅色の硬貨6枚だった。
おそらくニクルと言うのが通貨の単位で、銀貨が3枚で3000ニクル、銅貨が6枚で600ニクルってことかな?
「ありがとうございます。要件は以上です」
そう言うとアルトたちは受付嬢から離れ、セイソンが座っていた場所で腰を下ろした。
◇◇◇
「よう! 待たせたな」
「待たせた」
日が暮れた頃にセイソンは女の子を連れてきてアルトたちに話しかけた。
セイソンが連れてきたのは年齢がアリアよりは下、アルトよりは上だと思われる、ちょっと眠そうな表情の美少女だった。
体にぴったりとフィットした長袖のチュニックとシンプルで動きやすいパンツスタイルがとてもよく似合っている。
彼女がアルトの話に出ていたノーアみたいだね。
「きたわね。二人とも。やっぱりわたしたちに討伐依頼が出されるみたいよ。夕食がてら作戦会議をしましょう」
「むう。今日は休みって聞いてた」
「そうしたらノーアはずっと寝てるでしょ。ご飯食べなさい。奢ってあげるから」
「仕方ない。カレーで手を打つ」
「いつものね」
「ん」
どうやらノーアは省エネ系みたいだ。というかカレーってこの世界にもあるんだね。異世界人とかいるのかな。
「アルトはどうする?」
「じゃあ、パエリアをお願いします」
「わかったわ。注文お願い! カレーとパエリアとカルボナーラひとつずつね!」
「はいよ!」
「んじゃ俺はステーキで」
「あんたの分は払わないわよ」
「なんでだよ!」
「男のくせに女に払わせる気?」
「くそ! しゃーねーな」
そう言いながらセイソンはなんか言いたげな表情を見せている。いや、なんでこっち見るのよ。いやアルトを見てるんだろうけど。なぜアルトを見る?
「で、どうするんだ? 確かフォレストリザードって一度倒したことあるよな?」
「そうね、フォレストリザードは燃えてる間は外皮が柔らかくなるから私の火魔法で外皮を脆くさせて、セイソンとノーアにトドメを刺してもらったわ」
「じゃあ、今回も同じ方法でいくか?」
「ダメね。今回フォレストリザードがいるのは森の中でしょ? 火魔法を使うと森が延焼する可能性があるわ。あまり、森を燃やすのはどうかと思うのよ」
「そうか……。なら誘い出すか」
「誘い出すってどこに?」
「森のはずれに崖になってる部分があっただろ。そこだったら延焼を気にせず戦えるんじゃないか?」
「……セイソンにしては考えたわね」
「俺にしてはってどう言うことだよ!」
そこでアルトが手を上げた。
「どう誘い出すつもりですか?」
「そこはアルトが──」
「危険よ! それにそういうのはノーアの方が適任だわ!」
「大丈夫だろ。確かにノーアの方がうまくやれるだろーが、戦闘面でもノーアの方が使える。戦いにだってアルトじゃまだあまり役に立たねえ。適材適所だろ。つーかアリアはいちいちアルトに対して過保護なんだよ」
「だけど」
「ぼくもセイソンに賛成」
「ノーアまで!」
声を荒げるアリアにノーアは嗜めるように言った。
「アルトはやわじゃない」
「でもアルトはまだ12歳、祝福を受けて1ヶ月も経ってないのよ」
「アルトならできる」
反論しようとするアリアにノーアが見つめて言った。眠そうだった目を見開いている。その瞳には強い意志が込められている気がした。
「……そう、ね。アルト。任せていい?」
「大丈夫です。任せてください」
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