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── 1章 アルト編 ──
039.新たな力
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恥ずかしい醜態を晒したあと、わたしは正気を取り戻した。本来ならアルトの相談をする場面だったのに、いつの間にかわたしの感情を吐き出してしまってアルトに迷惑をかけてしまった。アルトに呆れられなかったことが唯一の救いだ。
『セイさんが妹みたいでしたね』と笑われてしまった。不本意だけど否定できない。無念だ。
わたしはアルトだけを助けるんじゃなくて、アルトがやりたいことをやった上で助けるように考えを切り替えた。アルトが後悔してわたしのようになってほしくはないと思い直したからだ。
そして1日置いてアルトとノーアが門の前で再度アースオーアドラゴンを見つめていた。
なぜ1日置いたのかというと前日は1日探索を休むことにしたからだ。と言っても修行だけど。ノーアと相談して1日魔法の練習をすることにしたのだ。ノーアも思うところがあるようで別の場所でトレーニングをしていたようだ。
今回やった魔法の練習は新しい魔法の習得ではなく、すでに使える魔法をスムーズに使えるようにするための練習だ。いつもと違って魔法を毎回発動する練習だったため大量に魔力を消費したけど、冥左剣シャドウリーパーを解禁したのでそれも問題ない。なぜならシャドウリーパーで攻撃することで魔力を吸収する効果があるからだ。
それと〈天授〉も使った。アルトは協力的ではなかったわたしに頼るのは悪いと思っていたみたい。そんなつもりはなかったけどちょっと反省。
3本の剣に魔法を付与して二人が門をくぐる。ノーアの剣とアルトの右剣にはホーリースパーク、左剣にはアビスファイアだ。
ドラゴンがブレスを放ってきた。相変わらずすごい威力だ。鉄片を含んだ殺傷能力の高い風の渦がアルトたちに向かう。
二人は二手に分かれてそれをかわし、ドラゴンに肉薄する。二人が攻撃するがやはり防御力の高いドラゴンの鱗は傷ひとつつけることができない。
ここまでは前回とほとんど同じ。だけど今日のアルトは一昨日までのアルトではない。アルトが精神集中を始める。ノーアがアルトを守りながらドラゴンの攻撃を捌く。
「ホーリーサンクチュアリ!」
アルトの周りから光が溢れた。神聖なる光がアルトたちとドラゴンを包んで巨大なドーム状に展開される。聖属性の新規の魔法だ。
最初は10pt使って水系統の魔法の取得を狙うことも考えた。ただ、汎用性を考えると次からのボス戦も視野に入れてもっと普遍的に使える手段を狙うべきだという結論になったのだ。そして手に入れたのがこの魔法。
────────────────────
魔法名:ホーリーサンクチュアリ
聖なる領域を展開し、味方の能力値を上昇させ、敵の能力値を下降させる
────────────────────
天声ポイントを100ptも使ったその魔法が聖域内で二人の移動速度を急激に上昇させる。アルトとノーアが剣を振りおろした。ドラゴンの背中の皮膚に深い切り傷をつけて赤い血が噴き出している。ダメージが通った!
ドラゴンが嫌がるようにみじろぎする。二人の後ろの地面が鋭いスパイク状になって視覚外から襲いかかる。
『アルト! 後ろ!』
「ホーリーバリア!」
アルトが即時に魔法を展開した。二人を包む光の壁だ。その壁に阻まれて岩石の針山は二人の手前で勢いを止める。
これはアルトが練習したひとつ目の技、魔法の即時発動だ。今までも魔法の集中時間が短縮した理由を考えていたんだけど、これに〈魔力操作〉に関わってくることに一昨日アルトと話していて気づいたのだ。
具体的に〈魔力操作〉で何ができるようになるのかを再度念じてみたところ、それが精神集中の時間の短縮だった。そしてこれをさらに極めると魔法の即時発動ができるようになることがわかったのだ。
元々時間の短縮はできていたので即時発動ができるまでは意外と早かった。ホーリーサンクチュアリのような高度な魔法はまだ精神集中が必要だけれどそれ以外であれば一瞬で魔法を発動することが可能だ。
ドラゴンが歯の根を鳴らしている。初見殺しの技を見切られて怒っているようだ。その後頭を地面のほうにむけ、そのまま地面に潜っていく。
『空中で待機!』
『わかりました!』
「ホーリーバリア!」
アルトは空中にホーリーバリアを展開した。スカイライトワイバーン戦の時に見せた光の足場だ。アルトとノーアはその足場に飛び乗って着地する。
地面はガタガタと震えドラゴンが下方から飛び出してくる。
「ホーリースパーク!」『アビスファイア!』
アルトの前には異なる二つのエネルギーが宿り同時に解放された。聖と冥の対照的な魔法が交錯し、雷と炎が入り混じった驚異的なエネルギーの光線がドラゴンを穿つ。
これがもう一つの練習の成果、二重詠唱だ。通常の詠唱と、念話での詠唱を使って二つの魔法を同時に放つ。魔法が合わさることで単体とは次元の違う威力が生み出される。
同時に詠唱するのにだいぶ手こずっていたようだけどなんとか1日で完成させた。いや、1日でできちゃうのはすごいと思うけど。
地面から飛び出してきたアースオーアドラゴンには逃げ場がなかった。そのまま二つの魔法を正面からくらい、顔面から胴体にかけて巨大な風穴を空けてゆっくりと落ちていく。
ドスンと体が落ちた後、ドラゴンは黒い煙となって消えていった。
それにしても蓋を開けてみたら完全勝利だったね!
わたしたちの友情の勝利だ!
<天命ポイントが更新されました>
『セイさんが妹みたいでしたね』と笑われてしまった。不本意だけど否定できない。無念だ。
わたしはアルトだけを助けるんじゃなくて、アルトがやりたいことをやった上で助けるように考えを切り替えた。アルトが後悔してわたしのようになってほしくはないと思い直したからだ。
そして1日置いてアルトとノーアが門の前で再度アースオーアドラゴンを見つめていた。
なぜ1日置いたのかというと前日は1日探索を休むことにしたからだ。と言っても修行だけど。ノーアと相談して1日魔法の練習をすることにしたのだ。ノーアも思うところがあるようで別の場所でトレーニングをしていたようだ。
今回やった魔法の練習は新しい魔法の習得ではなく、すでに使える魔法をスムーズに使えるようにするための練習だ。いつもと違って魔法を毎回発動する練習だったため大量に魔力を消費したけど、冥左剣シャドウリーパーを解禁したのでそれも問題ない。なぜならシャドウリーパーで攻撃することで魔力を吸収する効果があるからだ。
それと〈天授〉も使った。アルトは協力的ではなかったわたしに頼るのは悪いと思っていたみたい。そんなつもりはなかったけどちょっと反省。
3本の剣に魔法を付与して二人が門をくぐる。ノーアの剣とアルトの右剣にはホーリースパーク、左剣にはアビスファイアだ。
ドラゴンがブレスを放ってきた。相変わらずすごい威力だ。鉄片を含んだ殺傷能力の高い風の渦がアルトたちに向かう。
二人は二手に分かれてそれをかわし、ドラゴンに肉薄する。二人が攻撃するがやはり防御力の高いドラゴンの鱗は傷ひとつつけることができない。
ここまでは前回とほとんど同じ。だけど今日のアルトは一昨日までのアルトではない。アルトが精神集中を始める。ノーアがアルトを守りながらドラゴンの攻撃を捌く。
「ホーリーサンクチュアリ!」
アルトの周りから光が溢れた。神聖なる光がアルトたちとドラゴンを包んで巨大なドーム状に展開される。聖属性の新規の魔法だ。
最初は10pt使って水系統の魔法の取得を狙うことも考えた。ただ、汎用性を考えると次からのボス戦も視野に入れてもっと普遍的に使える手段を狙うべきだという結論になったのだ。そして手に入れたのがこの魔法。
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魔法名:ホーリーサンクチュアリ
聖なる領域を展開し、味方の能力値を上昇させ、敵の能力値を下降させる
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天声ポイントを100ptも使ったその魔法が聖域内で二人の移動速度を急激に上昇させる。アルトとノーアが剣を振りおろした。ドラゴンの背中の皮膚に深い切り傷をつけて赤い血が噴き出している。ダメージが通った!
ドラゴンが嫌がるようにみじろぎする。二人の後ろの地面が鋭いスパイク状になって視覚外から襲いかかる。
『アルト! 後ろ!』
「ホーリーバリア!」
アルトが即時に魔法を展開した。二人を包む光の壁だ。その壁に阻まれて岩石の針山は二人の手前で勢いを止める。
これはアルトが練習したひとつ目の技、魔法の即時発動だ。今までも魔法の集中時間が短縮した理由を考えていたんだけど、これに〈魔力操作〉に関わってくることに一昨日アルトと話していて気づいたのだ。
具体的に〈魔力操作〉で何ができるようになるのかを再度念じてみたところ、それが精神集中の時間の短縮だった。そしてこれをさらに極めると魔法の即時発動ができるようになることがわかったのだ。
元々時間の短縮はできていたので即時発動ができるまでは意外と早かった。ホーリーサンクチュアリのような高度な魔法はまだ精神集中が必要だけれどそれ以外であれば一瞬で魔法を発動することが可能だ。
ドラゴンが歯の根を鳴らしている。初見殺しの技を見切られて怒っているようだ。その後頭を地面のほうにむけ、そのまま地面に潜っていく。
『空中で待機!』
『わかりました!』
「ホーリーバリア!」
アルトは空中にホーリーバリアを展開した。スカイライトワイバーン戦の時に見せた光の足場だ。アルトとノーアはその足場に飛び乗って着地する。
地面はガタガタと震えドラゴンが下方から飛び出してくる。
「ホーリースパーク!」『アビスファイア!』
アルトの前には異なる二つのエネルギーが宿り同時に解放された。聖と冥の対照的な魔法が交錯し、雷と炎が入り混じった驚異的なエネルギーの光線がドラゴンを穿つ。
これがもう一つの練習の成果、二重詠唱だ。通常の詠唱と、念話での詠唱を使って二つの魔法を同時に放つ。魔法が合わさることで単体とは次元の違う威力が生み出される。
同時に詠唱するのにだいぶ手こずっていたようだけどなんとか1日で完成させた。いや、1日でできちゃうのはすごいと思うけど。
地面から飛び出してきたアースオーアドラゴンには逃げ場がなかった。そのまま二つの魔法を正面からくらい、顔面から胴体にかけて巨大な風穴を空けてゆっくりと落ちていく。
ドスンと体が落ちた後、ドラゴンは黒い煙となって消えていった。
それにしても蓋を開けてみたら完全勝利だったね!
わたしたちの友情の勝利だ!
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