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第3章「海と大地の箱庭」
46話 宮殿の中庭
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神たちの姿が大幅に減り、随分と辺りが静かになってきた。太陽が山に隠れ、周囲が暗くなってきている。
セルジュと別れたあと、僕は一度準備を整えてから街に戻ってきた。諦めたふりをしておいて、路地裏に身を隠してこっそりチャンスを窺っているわけだが……。
(……セルジュ、来ないな)
夕方のうちに箱庭へ行けるかと思ったが、準備が難航しているみたいだった。夜は基本的に宮殿の立ち入りが禁止されているから、早めに向かっておきたかったのだが……。
万全な用意に時間がかかっているだけならいいのだが、胸騒ぎがする。
仕方ない。今のうちに、ゲートへのルートを確認しておこう。
(確か、箱庭へ行くためのゲートがあるはずなんだけど……宮殿の中庭にあるんだったな)
ゲート自体は本当に昔から存在しているが、どうしてあのような掟があるのにゲートは存在しているのかは、知る由もない。
とりあえず宮殿に向かおう。中庭は基本、昼間に最高神やアーケンシェン、その他一部の一般神がお茶会などに使用する場所だ。僕も何回か訪れているので、配置などは把握している。
路地裏から出て、宮殿への道を歩く。夜の街は人気が本当に少ない。しかし、意志を持たぬ鎧の兵士のような存在がこちらに歩いてきた。
「…………」
僕とすれ違っても、何も反応は示さず、同じ場所をくるくると歩き続けている。僕を警戒していない証拠だった。
あれは、僕ら神の間では「神兵」と呼ばれるものであった。ある神が魔力を使って増やすことのできる、鎧と翼を持った兵士みたいなものだ。
彼らは明確な自我を持たない、言い方は悪いが使い捨ての存在だ。なので命令がなければ動かすことができず、単体の戦闘力はそこまで高くない。だから犯人への対策には本来向いていない。もはや苦肉の策である。
神兵は元が同じ個体だから、見えない何かで繋がっている。一個体に警戒されれば仲間を集められてしまうことがあるので、動きには注意した方がいい。それに、夜は昼間よりも警戒しやすい性質があるのだ。
アーケンシェンは基本的に警戒しないようにできているからいいけれど、セルジュは大丈夫なのか……? 一応宮殿の入り口付近で待っていることにした。
「────うっ!?」
今一瞬、何か妙な気配を感じた。どこか重く淀んだ魔力のような何かが通り過ぎていった。
周囲には神兵以外に何もない……何が起きたんだ?
「っ!?」
突然、宮殿の入り口付近にいた神兵がバタバタと倒れ始めた。
奇妙に思い、動かなくなった神兵に近づく。ただの魔力じゃない、どこか異質な力の痕跡が残されていた。
「……何か変だ」
懐から、一冊の本を取り出す。ただの本ではないが、魔術書でもない。事件や異変に関するものを記録するためだけに作られた、特殊な器具だ。僕はこれを「原罪の記録書」と呼んでいる。
本を開き、神兵に残された謎の魔力を吸収させる。少しでも手がかりになればいいのだが……。
原罪の記録書をしまったところで、次に一本のガラスペンを取り出した。青く透明で、銀白色の金属の装飾が施されている。
ペン先を地面へ下ろすように持ち、自身の魔力を注ぎ込む。すると、ガラスペンが青白く発光し、剣の形へと変わる。光が薄れ、現れたのは、銀の柄から伸びるガラスの剣だ。
剣を構えて宮殿の中へ入ったが、中は倒れた神兵ばかりだった。アイリス様は日中の件で眠られているだろうし、アリアや他のアーケンシェンはいないようだ。
中庭に続く扉の前には、神兵が二人見張りのために立っているはずだった。しかし、どちらも扉の前で倒れているのだ。やはり、同じように魔力に似た力の痕跡が残されている。
(さっきの謎の気配が気になる。魔法か何かで、神兵が一網打尽にされたのか……?)
恐らく神兵の機能を停止させられている。あの一瞬で、しかも宮殿全体に及ぶ範囲で神兵を潰すなど、悪意の塊である。
恐らく、近くにこの現象を起こした犯人がいる。剣を構えて警戒しながら、中庭への扉を開けた。
木々が生い茂っており、色とりどりの花々が周囲を華やかに飾っている。中央には年季が入っていそうな大木がある。その大木の前には、空色の透明感のある結晶でできた門がある。門を通った先に、大木の空洞が見受けられる。
箱庭へのゲートというのは、中庭の大木と一体化しているものなのだ。当然、周囲には神兵が巡回しているはず。なのに、何の気配も感じられない。
ここに来て、胸騒ぎがより強くなった。
「────先輩! 上です!!」
突然、中庭の入り口から誰かが姿を現した。反射的に空を見上げると────人影が降ってきた。黒いローブをまとい、大きな黒い鎌を持つ男だ。
僕は翼を広げ飛び上がり、男へ向かってガラスの剣を振りかざす。
「ちっ、なんでテメェがここに……!!」
鎌と刃がぶつかり、跳ね返す。互いの力が強かったのか、剣に僅かな傷がついてしまった。
ゲートから少し遠くに着地した男の目元は、仮面に隠れていてわからなかった。しかし、口は悔しそうに歪んでいる。
……なんだか既視感がある。あの大きな鎌も、姿かたちも、何もかも……。
「遅れてすみません、クリム先輩! こいつが神隠し事件の犯人らしいです!」
「なんだって!?」
「魔特隊の仲間から連絡があったのですが、箱庭の端から急に現れたみたいです!」
セルジュは、昼間は持っていなかったクロスボウを構え、一本の矢を装填した状態で男へ向ける。これで、僕とセルジュで男を挟み撃ちにできた。
箱庭の端……普通の神は近づかない場所から、ここへ来たのが本当だとしたら、犯人はかなり異質だということになる。普通の神は、ゲートを通してでしか箱庭を渡れないのだから。
どうりで今まで手がかりが見つからなかったわけだ。あとは……この男を捕まえなければいけない。
剣を構え直すと、男はこちらを忌々しそうに振り返った。
「……ちっ。ここでそのツラを見ることになるとは思わなかったよ」
「何……っ!?」
不意に、男の姿が消えた。魔法を唱えた様子もないし、どこかに隠れたようだ。
「うぅ、どこにいやがるですか……!」
「落ち着いて、セルジュ。どこから出てくるかわからない」
各々の武器を構えて中庭を見渡していると、セルジュがこちらに駆け寄ってきた。互いに背中を合わせ、敵の居場所を探る。
どうも、気配が遮断されているようだ。男の持つ魔法によるものか?
意識を研ぎ澄ませていると、僅かな殺気を感じる。すぐに剣を振りかざすものの────
「うにゃぁっ!?」
「っ、セルジュ!!」
背後から来たのは攻撃ではなかった。セルジュの身体が僕の背から離れていく。男に身体を抱え込まれ、大木の内側へと投げ込まれる。
僕も後を追おうとしたが、男に行く手を阻まれてしまう。
「そこをどけっ! 〈風よ────」
「星よ、我が名の下、断たれし空を繋げ」
周囲から魔力を孕んだ風が舞い込んでいき、ゲートの中が淡い光に包まれていく。
男の言葉は、ゲートを起動する鍵となる呪文だった。実際に聞いたのは初めてだったけど────
「助けてください!! クリムせんぱ────」
あっという間にゲートの中は白い光で満ちて、セルジュの身体が飲み込まれていく。光が薄らいだ頃には、男の姿も彼の姿もなかった。
真夜中の中庭には、僕だけが残されていたのだ……。
「っ、星よ、我が名の下、断たれし空を繋げ!」
すぐにゲートの前に駆け寄り、男が口にしていた呪文を叫ぶ。見立て通りなら、これでゲートが開かれるはずだった。
しかし、僕の声に応えるものは何もない。魔力の風が吹く様子も、光が満ちる様子もない。ただ呪文を唱えただけでは、ゲートは動作しないようだ。
箱庭に行くためには、また何か別の要因が必要となるらしい。とはいえ、それが何なのか見当もつかない。アイリス様に尋ねるわけにもいかないだろうし……。
「セルジュ……」
僕の後悔が、また一つ増えてしまった。
セルジュと別れたあと、僕は一度準備を整えてから街に戻ってきた。諦めたふりをしておいて、路地裏に身を隠してこっそりチャンスを窺っているわけだが……。
(……セルジュ、来ないな)
夕方のうちに箱庭へ行けるかと思ったが、準備が難航しているみたいだった。夜は基本的に宮殿の立ち入りが禁止されているから、早めに向かっておきたかったのだが……。
万全な用意に時間がかかっているだけならいいのだが、胸騒ぎがする。
仕方ない。今のうちに、ゲートへのルートを確認しておこう。
(確か、箱庭へ行くためのゲートがあるはずなんだけど……宮殿の中庭にあるんだったな)
ゲート自体は本当に昔から存在しているが、どうしてあのような掟があるのにゲートは存在しているのかは、知る由もない。
とりあえず宮殿に向かおう。中庭は基本、昼間に最高神やアーケンシェン、その他一部の一般神がお茶会などに使用する場所だ。僕も何回か訪れているので、配置などは把握している。
路地裏から出て、宮殿への道を歩く。夜の街は人気が本当に少ない。しかし、意志を持たぬ鎧の兵士のような存在がこちらに歩いてきた。
「…………」
僕とすれ違っても、何も反応は示さず、同じ場所をくるくると歩き続けている。僕を警戒していない証拠だった。
あれは、僕ら神の間では「神兵」と呼ばれるものであった。ある神が魔力を使って増やすことのできる、鎧と翼を持った兵士みたいなものだ。
彼らは明確な自我を持たない、言い方は悪いが使い捨ての存在だ。なので命令がなければ動かすことができず、単体の戦闘力はそこまで高くない。だから犯人への対策には本来向いていない。もはや苦肉の策である。
神兵は元が同じ個体だから、見えない何かで繋がっている。一個体に警戒されれば仲間を集められてしまうことがあるので、動きには注意した方がいい。それに、夜は昼間よりも警戒しやすい性質があるのだ。
アーケンシェンは基本的に警戒しないようにできているからいいけれど、セルジュは大丈夫なのか……? 一応宮殿の入り口付近で待っていることにした。
「────うっ!?」
今一瞬、何か妙な気配を感じた。どこか重く淀んだ魔力のような何かが通り過ぎていった。
周囲には神兵以外に何もない……何が起きたんだ?
「っ!?」
突然、宮殿の入り口付近にいた神兵がバタバタと倒れ始めた。
奇妙に思い、動かなくなった神兵に近づく。ただの魔力じゃない、どこか異質な力の痕跡が残されていた。
「……何か変だ」
懐から、一冊の本を取り出す。ただの本ではないが、魔術書でもない。事件や異変に関するものを記録するためだけに作られた、特殊な器具だ。僕はこれを「原罪の記録書」と呼んでいる。
本を開き、神兵に残された謎の魔力を吸収させる。少しでも手がかりになればいいのだが……。
原罪の記録書をしまったところで、次に一本のガラスペンを取り出した。青く透明で、銀白色の金属の装飾が施されている。
ペン先を地面へ下ろすように持ち、自身の魔力を注ぎ込む。すると、ガラスペンが青白く発光し、剣の形へと変わる。光が薄れ、現れたのは、銀の柄から伸びるガラスの剣だ。
剣を構えて宮殿の中へ入ったが、中は倒れた神兵ばかりだった。アイリス様は日中の件で眠られているだろうし、アリアや他のアーケンシェンはいないようだ。
中庭に続く扉の前には、神兵が二人見張りのために立っているはずだった。しかし、どちらも扉の前で倒れているのだ。やはり、同じように魔力に似た力の痕跡が残されている。
(さっきの謎の気配が気になる。魔法か何かで、神兵が一網打尽にされたのか……?)
恐らく神兵の機能を停止させられている。あの一瞬で、しかも宮殿全体に及ぶ範囲で神兵を潰すなど、悪意の塊である。
恐らく、近くにこの現象を起こした犯人がいる。剣を構えて警戒しながら、中庭への扉を開けた。
木々が生い茂っており、色とりどりの花々が周囲を華やかに飾っている。中央には年季が入っていそうな大木がある。その大木の前には、空色の透明感のある結晶でできた門がある。門を通った先に、大木の空洞が見受けられる。
箱庭へのゲートというのは、中庭の大木と一体化しているものなのだ。当然、周囲には神兵が巡回しているはず。なのに、何の気配も感じられない。
ここに来て、胸騒ぎがより強くなった。
「────先輩! 上です!!」
突然、中庭の入り口から誰かが姿を現した。反射的に空を見上げると────人影が降ってきた。黒いローブをまとい、大きな黒い鎌を持つ男だ。
僕は翼を広げ飛び上がり、男へ向かってガラスの剣を振りかざす。
「ちっ、なんでテメェがここに……!!」
鎌と刃がぶつかり、跳ね返す。互いの力が強かったのか、剣に僅かな傷がついてしまった。
ゲートから少し遠くに着地した男の目元は、仮面に隠れていてわからなかった。しかし、口は悔しそうに歪んでいる。
……なんだか既視感がある。あの大きな鎌も、姿かたちも、何もかも……。
「遅れてすみません、クリム先輩! こいつが神隠し事件の犯人らしいです!」
「なんだって!?」
「魔特隊の仲間から連絡があったのですが、箱庭の端から急に現れたみたいです!」
セルジュは、昼間は持っていなかったクロスボウを構え、一本の矢を装填した状態で男へ向ける。これで、僕とセルジュで男を挟み撃ちにできた。
箱庭の端……普通の神は近づかない場所から、ここへ来たのが本当だとしたら、犯人はかなり異質だということになる。普通の神は、ゲートを通してでしか箱庭を渡れないのだから。
どうりで今まで手がかりが見つからなかったわけだ。あとは……この男を捕まえなければいけない。
剣を構え直すと、男はこちらを忌々しそうに振り返った。
「……ちっ。ここでそのツラを見ることになるとは思わなかったよ」
「何……っ!?」
不意に、男の姿が消えた。魔法を唱えた様子もないし、どこかに隠れたようだ。
「うぅ、どこにいやがるですか……!」
「落ち着いて、セルジュ。どこから出てくるかわからない」
各々の武器を構えて中庭を見渡していると、セルジュがこちらに駆け寄ってきた。互いに背中を合わせ、敵の居場所を探る。
どうも、気配が遮断されているようだ。男の持つ魔法によるものか?
意識を研ぎ澄ませていると、僅かな殺気を感じる。すぐに剣を振りかざすものの────
「うにゃぁっ!?」
「っ、セルジュ!!」
背後から来たのは攻撃ではなかった。セルジュの身体が僕の背から離れていく。男に身体を抱え込まれ、大木の内側へと投げ込まれる。
僕も後を追おうとしたが、男に行く手を阻まれてしまう。
「そこをどけっ! 〈風よ────」
「星よ、我が名の下、断たれし空を繋げ」
周囲から魔力を孕んだ風が舞い込んでいき、ゲートの中が淡い光に包まれていく。
男の言葉は、ゲートを起動する鍵となる呪文だった。実際に聞いたのは初めてだったけど────
「助けてください!! クリムせんぱ────」
あっという間にゲートの中は白い光で満ちて、セルジュの身体が飲み込まれていく。光が薄らいだ頃には、男の姿も彼の姿もなかった。
真夜中の中庭には、僕だけが残されていたのだ……。
「っ、星よ、我が名の下、断たれし空を繋げ!」
すぐにゲートの前に駆け寄り、男が口にしていた呪文を叫ぶ。見立て通りなら、これでゲートが開かれるはずだった。
しかし、僕の声に応えるものは何もない。魔力の風が吹く様子も、光が満ちる様子もない。ただ呪文を唱えただけでは、ゲートは動作しないようだ。
箱庭に行くためには、また何か別の要因が必要となるらしい。とはいえ、それが何なのか見当もつかない。アイリス様に尋ねるわけにもいかないだろうし……。
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