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七話 町の支配
しおりを挟む町の領主とその取り巻きがものの数分で焼き殺された現状に、町民達は、恐怖し、その場に氷漬けとなっていた。
動きたくとも動けない、動けば自分も殺される。そんなふうに思っているのが手に取るようにわかる。
敵対行動をとられたら容赦はしないが、別に逃げるなら追うつもりはないんだけどな。
「うぐぅー······ぅう······う······」
この場をどう収束させようかと悩んでいると、目の前で苦しそうに呻き声をあげている存在に気づく。
先程まで俺に殺されたディスから殴る蹴るの暴行を加えられていた、ディスの娘だ。
「っち、自分の娘をこれだけ痛め付けるか普通。おい、怪我を治してやるからじっとしていろ」
俺がそう言うと、娘はビクっと反応してその場で俺の方を振り向く。俺に向けるその目は俺を恐れているものだった。
······まあ、あんなものでも親は親だ。そんな親を殺した俺を恐怖しない方がおかしいか。まあ、大魔王になると決めた今、そんなことを気にすることもないけどな。
「『上位治癒』」
俺は第三位階魔術を発動し、目の前の娘の傷を宣言通りに治してやる。
本当に怪我を治して貰えると思っていなかったのか、娘は困惑顔だ。
「お前はあのゴミにも至らぬカスによって俺に献上された。ということは、既にお前は俺の女ということ。自分の女を怪我させたまま放置しておくほど鬼畜ではないさ」
先程娘の前でその親の四肢を切断して苦しめた挙句燃やし殺した俺が鬼畜でないわけがないのだが、それとこれとは話は別ということで無理やり通す。
それを聞いた娘は、命が助かったことに安堵したのか、はたまた自分が俺の物になったことに対して抑えきれない不安を感じたのか、その本意はわからないがその場でくずおれるように気絶した。
「おい、聞け町の民よ。俺は貴様らの領主から歓迎の場を用意したと聞きこの場にやってきたのだが、その領主から貰った酒には協力な魔物の毒が込められていた。これの意味するところは一つ。俺を毒殺しようとした、ということだ。歓迎の場を用意したと言っておきながら······な?
そうだな······簡単に例えると、今のは俺対領主達の戦争······ということだ。その戦争に俺が圧倒的な勝利をした。ただそれだけのことだ。
そして、領主との戦争に勝利したのだから当然、戦利品はこの町だ。
いいか、よく聞け。今日からこの町は俺が支配する。
この大魔王リューがなっ!」
俺が町の民に向かい、そう宣言する。そして更に言葉を続ける。
「お前達に残された選択肢は三つ。
一つ。俺に従い、これからもこの町で過ごす。
二つ。この町から逃げ、別の町に移住する。
三つ。俺と戦う。
どうする。逃げるなら俺は追わないし、戦うと言うなら必ず貴様らを殺す。
そして、俺に従うと言うなら、俺はお前達をこの先守り続けると誓おう。
さあ、選べ!」
まあ、三つの選択肢を用意したが、実質一か二の二択だろう。
ただ、仮に全員が二を選択したとなると、町の民が根こそぎいなくなった町を支配している大魔王ということになる。それはあまりにも大魔王としては、締まらなすぎる。
だから俺は町の民に甘い飴を送る。
「俺は自分で言うのもなんだが、かなり強い自負がある。
領主のディスがそこらにいる小虫と同程度だと思えるくらいに······な。
だから、この町に及ぶ全ての脅威からお前達を守ってやれるぞ。
そして、お前達を奴隷のように扱おうとも思ってない。
お前達はこれまで通り、普通に暮らしてくれて構わない。
俺が支配者になることで変わることはただ一つ。
町の防衛力が今までとは比べ物にならないほどに向上する。ただそれだけだ」
先程までゴブリン程度の軍勢にただ怯えるしかなかった住民達が大半だ。
そんな奴らに安心を与えるようにそう言って、どちらを選んだ方が良いかを無理やり教えてやる。
町の民達はその場で思案顔になり、どの選択肢を選ぶか考え出すが、俺はそんな時間を与えない。
「時間は有限だ。無駄な時間を俺は過ごしたくない。早く決断しろ。俺に滅ぼされるか、俺に守られるか。どちらか一つを今、選べ」
俺が少し威圧するようにそう言うと、広場の真ん中で住人達の一番先頭にいた茶髪の美人な女性が、何かを決意したような表情を浮かべ、こちらに近づいてきた。
「私は······私達は貴方様に従います。
領主は貴方様に殺されてもういないので、その代わりに私が······先程まで領主だった男の妻だったこの私が、代行として誓います。
貴方様がこの町の所有者で支配者です。どうか、この町をお納めください」
ディスの妻だと? あんな豚に何故こんなに綺麗な女が嫁いだんだ? いや、どうせあのゴミのことだ。一目惚れした彼女を無理矢理手篭めにしたというところだろう。
嘘をついているという可能性もあるが、その線は薄いだろう。
パッと見でも先程までディスに殴られていた娘と顔が似ているし、そもそも今ここでディスの妻を驕る必要がないからな。
「······わかった、交渉成立だ。もし今後、俺に敵対行為を示した者は問答無用で殺す。それだけは肝に銘じておけ」
「仰せのままに、大魔王様」
こうして俺は、一つの町の支配者になるのだった。
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