【R18】仲間に裏切られた元勇者の大魔王活動記

指素世宗

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十六話 料理人に託す

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 俺は一度ラティアを部屋に返し、一風呂浴びて汗でベトベトだった身体をリフレッシュした。

 その後、第六位階魔術の『異空収納ストレージ』から予備の服を取り出し、新しい服に着替えて、調理場に足を運ぶ。

 調理場に辿り着くと、既に数名の使用人が朝食の用意に取り掛かっていた。

 本来ならば元々雇われていた男の料理人が用意するのだが、そいつは数回ラティアのことを犯した歴のあるものだったため、既に屋敷からは追い出している。
 
 いずれその命も奪うつもりだが、まだ当分は泳がせておいて、生きた心地のしない時間を送って貰っているというわけだ。

 他にも数名いた男性使用人達も軒並み同じ理由でシャットアウト中だ。
 同じくいずれはディスとその取り巻きと同じ運命を辿らせる予定である。

「これは! 大魔王様、おはようございます!」
「「「おはようございます!」」」

 調理場に入ってすぐ、中にいた使用人達が俺に気づくと挨拶をしてくる。

 昨日あれだけのことがあったのに俺に怯えている様子は微塵も感じられない。

 これも全てラティアのおかげである。

 彼女が昨日、自分の娘とこの城で暮らす使用人達に、俺がどんな人物かを懇切丁寧に教えた結果、俺のことを素晴らしい人物だと尊敬するようになっているのだ。

 前の主人や男の使用人達がクズすぎたのも相まって、更にはラティアを大切にしたり、怪我していた娘をなんの見返りもなしに魔術で治したのも相乗効果となっているのだろう。

 ディス達を問答無用で焼き殺したのだって、俺が強力な毒を盛られそうになったという正当性のある理由もあるしな。

「おはよう。あらためて自己紹介をしておく、昨日からこの城の主となっている大魔王のリューだ。ラティアから聞いていると思うが、君達には今後もこの城で務めてもらうことになる。これからよろしく頼むな」

「は、はい! よろしくお願いします!」
「「「します!!」」」

 ただ、俺の圧倒的な力に怯えはしなくても、萎縮して緊張はしているようだ。
 何故か皆俺と目が合うと顔を赤らめるが······ああ、そうか。そういえば、愛神エロールの加護で魅力にかなりの補正がかかっているんだったな。
 ここまであからさまに見蕩れられると、少し気恥しさも感じるが、まあ有用なものなのだから多少のデメリットには目を瞑ろう。

「さて、では本題に入らせてもらうぞ。今日の朝食はこの肉を使った料理を作って欲しい」

 そう言うと、俺は『異空収納』にしまっておいた炎龍王の一部をおもむろに取り出し一人のメイドに手渡す。
 何故一人のメイドに直接手渡したかといえば、この女が唯一『料理』というスキルを保有していたからだ。

 叡智の情報では、スキルは加護で手に入れる以外の方法は二つしかなかった。

 一つは生まれつき。

 そしてもう一つは、そのスキルを得るためにただ只管に努力をすることだ。

 そして、後者の場合の方が生まれつきでスキルを保有していた者よりも圧倒的に熟練度が高く、その技術は比べるまでもなく上に位置するらしい。

 そして、今炎龍王の肉を手渡したこのメイド。名をラフリアというのだが、そんな彼女は後者の努力で料理スキルを手に入れた猛者だ。

 努力でスキルを手に入れるような彼女は、間違いなく一流の料理人と言えよう。
 そんな彼女、ラフリアに料理して貰えれば、きっと炎龍王の肉を美味い料理に変えてくれるはずだ。

 だから俺は、彼女を信じて託した。

「この肉は、昨日この町にやってくる前に俺が単独で倒した、炎龍王の肉だ。
 これをお前に料理してもらいたい。頼めるな?」

「え、炎龍王の肉ですか!? そ、そんな伝説のようなお肉を私が!?」

 俺が炎龍王を倒したことに疑問をもっていない様子に少し驚いたが、あれだけ圧倒的な力を見せたのだから、それくらい出来るだろうと思われていると考えれば納得がいく。

 それにしても、やはり料理スキルを持っているだけあって生粋の料理人ということか、炎龍王の肉を調理できると知ってかなりテンションが高まっているようだ。

「俺は他者の力を見抜ける能力を持っているからな、お前が料理が得意なのは既にわかっている。
 で、頼めるな?」

 一応、他の使用人達にも何故俺がラフリアに頼んだのかをわかるように補足を加えておく。

「は、はい! お任せ下さい大魔王様!!」

 大きく返事をしてくると、ラフリアは取り憑かれたように炎龍王の肉を見据え、どう調理するかをその場で瞑想しだした。

 俺はその様子に満足し、もう用がなくなった調理場から出ていくことにする。

「あっ、他の奴らはしっかりとラフリアをサポートしてやってくれ、頼むな」

「「「······はい! 畏まりました!」」」

 ラフリア以外の三人も元気よく返事をし、やる気は十分に感じられた。
 俺は彼女達なら俺に最高の料理を用意してくれるだろうと確信し、今度こそ調理場を後にした。


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