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漣の少女
40話
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私はサリアに会う為に銀行へ向かう。
ちょうどその時、サリアが私を見つけて言う。
「おう!アリスじゃねぇか!ちょうどいいところに来やがったな!」
「ちょうどいい…ですか?」
私が首を傾げながら言うとサリアが楽しそうに言う。
「さっき、アリスに会いたいってやつが来てよ!アタシが居場所を知ってるって聞いて、わざわざアタシのところまで来たんだよ!」
サリアはそう言って私を連れてギルドに入る。
サリアが受付嬢に「例の件だ」と言うと奥から、2人の騎士と2人の少女が出てくる。
青く短い髪の紫の瞳の少女が私の目の前まで来る。
「貴方が炎の女神のリーダーの方ですか?」
「はい。私が炎の女神のリーダーのアリスですよ。」
私はいつも通りに答える。
「そうですか。私は第四姫のレイア・マリアージュともうします。第四姫とは言ってもこの国の姫ではございません。隣国のマリアージュ大王国の姫です。そして、セガール様の許嫁となる者です。」
レイアはそこまで言うと首を横に振る。
「いえ、正確にはそうなる予定の者です。貴方が邪魔さえしなければ…ですが。」
レイアはそこまで言うと睨みつけるように私を見る。
「なので、貴方が邪魔を出来ないように私が力の差を叩き込んでやろうと思ってきたわけですわ。」
「え、めんどくさ…」
思わず本音がダダ漏れになってしまう。
レイアはそんな私の様子を見て言う。
「何ですか、そのやる気のない態度は!これから私達はセガール様をかけた勝負をするのですよ?もっとやる気を出してはどうなんですの?」
黙って彼女の後ろの騎士が頷く。
「そもそも、私自身は婚約の予定もございませんし…セガールが私を選びたいと言うなら、まずはお互いを知る事から始めましょうと言ったところで今の状況って訳なのですが…」
レイアは私がセガールの事を呼び捨てにしたのが気に入らなかったのか、怒って言う。
「はぁ?アンタみたいなやつをセガール様が選ぶわけが無いでしょ!それにセガール様を呼び捨てにするなんて無礼もいい所ですわ!A級クラスの実力を持つこの私が即刻成敗してくれますの!」
「あ~…お決まりのやつ…」
私がめんどくさそうに外に出るとレイアと2人の騎士もついてくる。
周りにお祭り気分の野次馬が集まってきて騒がしくなる。
その中にはこちらをつまらなさそうに見る少女の姿があった。
レイアが高らかに宣言する。
「ルールは簡単ですわ!どちらかが戦闘不能になれば決着、立っていた方が勝者ですわ!勝者にはセガール様との婚約が約束されてますわ!」
レイアが剣を構えて言う。
「護衛の方々は手出ししないでくださいまし!これは私の戦いですわ!」
護衛の2人が黙って敬礼で答える。
「はぁ…面倒な事になったわ…」
レイアが飛び出す。
「隙ありですわ!」
そのまま剣を振り下ろすのを見て、私は軽く左にずれて避ける。
「まぐれで避けていい気にならないでくださいな!」
続けて薙ぎ払いを軽く上半身を後ろに逸らして避ける。
つまらなさそうに見ていた少女の目が輝き始める。
「このっ!このっ!このっ!」
少女は自身の剣が私に当たらない事にイライラを募らせながら言う。
「ちょこまかと逃げてばっかで大したことありませんわね!」
私は彼女から距離を取り、拳を構える。
「はっ!そんなところで構えたところで私に攻撃が届く事はありませんことよ?」
レイアがドヤ顔で言う。
野次馬の中の私の実力を知る何人かが私の構えを見て、私の目線から外れるように移動する。
「甘いですね。」
私は軽く拳を突き出すとその直線上に強烈な衝撃波が飛んでいく。
「キャアアアア!」
レイアと私の目線の先にいた野次馬の大半が勢いよく尻もちをつく。
私は闘気を放って威圧する。
これで降参してくれると良いんだけど…
そして、私はそのまま圧をかけるように言う。
「この程度も耐えられぬとはとんだ箱入り娘ですね。それに剣もただ振れば当たると思っている様な無駄な動きが多過ぎます。もっと相手を見て、相手が次にどう動くかを予想しながら剣を振るいなさい。」
レイアが震える足で立ち上がる。
「うるさいですわ!今まではただ倒すつもりでしたから、本気ではなかっただけです!ここからは本気で殺しにいきます!」
私は縮地法で一瞬でレイアの目の前に移動する。
「だから、甘いって言ったのですよ。」
そのままレイアの首をチョップして気絶させて、倒れるところを怪我させないように肩に担ぐ。
「勝負あり!勝者、アリス・アルフェノーツ!」
周りから感性があがる。
「すげぇ!」とか「かっこいいぞ!」とか様々な賞賛が飛び交う。
散らばり始めた野次馬の中から、赤く長い髪の紫の瞳の少女がゆっくりと歩いてきて言う。
「貴方、すっごく強いのね。私はウェリア。よろしくね。」
ウェリアはそう言うと私に手を差し出す。
「えぇ、よろしくお願いするわ。」
私はなんの躊躇いもなくウェリアの手を握る。
「…あれ?効いてない?」
ウェリアが不思議そうに私に握られた手を見る。
「何が効いてないのですか?」
私が満面の笑みで言うとウェリアは平然を装って言う。
「い、いや、なんでm「もしかして、痺れが効いてない事が不思議だったりします?」
私が食い気味に言うと驚いた様子でウェリアの目が丸くなる。
「言ってませんでしたが、私に状態異常は効きませんよ。そもそも、貴方の行動は全て見ておりましたし、この能力が無くても効かなかったと思いますが…」
ウェリアはそれを聞くと諦めたように言う。
「完敗ね…私もレイアも完全に負けたわ。」
護衛の兵士たちは心配そうに私に担がれたままのレイアを見ていた。
私は護衛の兵士たちにレイアを渡す。
「はい。お返ししますね。今は気絶してますが、しばらくしたら起きると思います。」
騎士たちは安心した様子でレイアを抱えて去っていく。
私もそのままその場を離れてサリアの元に行こうとした時だった。
「アリスさん!私、貴方のパーティーに入りたいです!」
ウェリアが大声で言う。
「…はい?」
私は聞き間違いだと思って聞き直す。
「だから、貴方のパーティー、炎の女神に入りたいのです!元々私の目的は貴方のパーティーに入る事ですので!」
ウェリアは真剣な眼差しで私を見る。
「それは良いのですが…」
ウェリアは堂々と言う。
「なら、精一杯貢献させてもらいますわ!せめて、我が姉の失態に対するお詫びって事にしていただけると助かりますの。」
「…ん?姉ですか?」
私がそう言うとウェリアが焦った様子で言う。
「あっ…す、すみません…忘れてください。決して、私がレイアの双子の妹で第五姫だとか言うわけでは無いのです。」
「あー…はい。双子のお姫様2人で来てたんですね。」
「あれ?なんでバレてるのです?」
ウェリアは不思議そうに首を傾げている。
「だって、今自分で言ってたし…」
私がそう言うとウェリアが目を丸くして言う。
「い、いつの間に?!さては、誘導魔法で私を誘導しましたね!」
「いや、そもそも、私、魔法使えないし…」
「ウソですわ!そんなに魔力があるのに魔法が使えないなんてありえませんわ!」
私はもう説明するのもめんどくさいので、放っておいてサリアに言う。
「実は今日、サリアさんに修行をつけてもらいたかったんですけど…」
サリアに事情を話すとサリアは俄然やる気になって言う。
「よっしゃ!そういう事なら、アタシに任せな!元魔闘士として、力を貸すぜ!」
ウェリアが割って入るように言う。
「ちょっと!私を無視しないでくださいまし!私も修行を受けさせてもらいますわよ!」
サリアはウェリアの格好を見ながら言う。
「良いけど、お前、魔道士じゃないのか?アタシは魔道士の魔法については疎いんだが…」
「大丈夫ですわ!その時は転職すれば良いですし、そんな事より重要なのは、これほどの力を持ったアリスが本当に魔法を使えないのかですわ!この私が見極めてやりますの!」
「そこまで言うなら、わかったぜ。」
サリアは一瞬私の顔を見て「ドンマイ」と言いたげに肩をすくめて、私たちとともに場所を移動する。
ちょうどその時、サリアが私を見つけて言う。
「おう!アリスじゃねぇか!ちょうどいいところに来やがったな!」
「ちょうどいい…ですか?」
私が首を傾げながら言うとサリアが楽しそうに言う。
「さっき、アリスに会いたいってやつが来てよ!アタシが居場所を知ってるって聞いて、わざわざアタシのところまで来たんだよ!」
サリアはそう言って私を連れてギルドに入る。
サリアが受付嬢に「例の件だ」と言うと奥から、2人の騎士と2人の少女が出てくる。
青く短い髪の紫の瞳の少女が私の目の前まで来る。
「貴方が炎の女神のリーダーの方ですか?」
「はい。私が炎の女神のリーダーのアリスですよ。」
私はいつも通りに答える。
「そうですか。私は第四姫のレイア・マリアージュともうします。第四姫とは言ってもこの国の姫ではございません。隣国のマリアージュ大王国の姫です。そして、セガール様の許嫁となる者です。」
レイアはそこまで言うと首を横に振る。
「いえ、正確にはそうなる予定の者です。貴方が邪魔さえしなければ…ですが。」
レイアはそこまで言うと睨みつけるように私を見る。
「なので、貴方が邪魔を出来ないように私が力の差を叩き込んでやろうと思ってきたわけですわ。」
「え、めんどくさ…」
思わず本音がダダ漏れになってしまう。
レイアはそんな私の様子を見て言う。
「何ですか、そのやる気のない態度は!これから私達はセガール様をかけた勝負をするのですよ?もっとやる気を出してはどうなんですの?」
黙って彼女の後ろの騎士が頷く。
「そもそも、私自身は婚約の予定もございませんし…セガールが私を選びたいと言うなら、まずはお互いを知る事から始めましょうと言ったところで今の状況って訳なのですが…」
レイアは私がセガールの事を呼び捨てにしたのが気に入らなかったのか、怒って言う。
「はぁ?アンタみたいなやつをセガール様が選ぶわけが無いでしょ!それにセガール様を呼び捨てにするなんて無礼もいい所ですわ!A級クラスの実力を持つこの私が即刻成敗してくれますの!」
「あ~…お決まりのやつ…」
私がめんどくさそうに外に出るとレイアと2人の騎士もついてくる。
周りにお祭り気分の野次馬が集まってきて騒がしくなる。
その中にはこちらをつまらなさそうに見る少女の姿があった。
レイアが高らかに宣言する。
「ルールは簡単ですわ!どちらかが戦闘不能になれば決着、立っていた方が勝者ですわ!勝者にはセガール様との婚約が約束されてますわ!」
レイアが剣を構えて言う。
「護衛の方々は手出ししないでくださいまし!これは私の戦いですわ!」
護衛の2人が黙って敬礼で答える。
「はぁ…面倒な事になったわ…」
レイアが飛び出す。
「隙ありですわ!」
そのまま剣を振り下ろすのを見て、私は軽く左にずれて避ける。
「まぐれで避けていい気にならないでくださいな!」
続けて薙ぎ払いを軽く上半身を後ろに逸らして避ける。
つまらなさそうに見ていた少女の目が輝き始める。
「このっ!このっ!このっ!」
少女は自身の剣が私に当たらない事にイライラを募らせながら言う。
「ちょこまかと逃げてばっかで大したことありませんわね!」
私は彼女から距離を取り、拳を構える。
「はっ!そんなところで構えたところで私に攻撃が届く事はありませんことよ?」
レイアがドヤ顔で言う。
野次馬の中の私の実力を知る何人かが私の構えを見て、私の目線から外れるように移動する。
「甘いですね。」
私は軽く拳を突き出すとその直線上に強烈な衝撃波が飛んでいく。
「キャアアアア!」
レイアと私の目線の先にいた野次馬の大半が勢いよく尻もちをつく。
私は闘気を放って威圧する。
これで降参してくれると良いんだけど…
そして、私はそのまま圧をかけるように言う。
「この程度も耐えられぬとはとんだ箱入り娘ですね。それに剣もただ振れば当たると思っている様な無駄な動きが多過ぎます。もっと相手を見て、相手が次にどう動くかを予想しながら剣を振るいなさい。」
レイアが震える足で立ち上がる。
「うるさいですわ!今まではただ倒すつもりでしたから、本気ではなかっただけです!ここからは本気で殺しにいきます!」
私は縮地法で一瞬でレイアの目の前に移動する。
「だから、甘いって言ったのですよ。」
そのままレイアの首をチョップして気絶させて、倒れるところを怪我させないように肩に担ぐ。
「勝負あり!勝者、アリス・アルフェノーツ!」
周りから感性があがる。
「すげぇ!」とか「かっこいいぞ!」とか様々な賞賛が飛び交う。
散らばり始めた野次馬の中から、赤く長い髪の紫の瞳の少女がゆっくりと歩いてきて言う。
「貴方、すっごく強いのね。私はウェリア。よろしくね。」
ウェリアはそう言うと私に手を差し出す。
「えぇ、よろしくお願いするわ。」
私はなんの躊躇いもなくウェリアの手を握る。
「…あれ?効いてない?」
ウェリアが不思議そうに私に握られた手を見る。
「何が効いてないのですか?」
私が満面の笑みで言うとウェリアは平然を装って言う。
「い、いや、なんでm「もしかして、痺れが効いてない事が不思議だったりします?」
私が食い気味に言うと驚いた様子でウェリアの目が丸くなる。
「言ってませんでしたが、私に状態異常は効きませんよ。そもそも、貴方の行動は全て見ておりましたし、この能力が無くても効かなかったと思いますが…」
ウェリアはそれを聞くと諦めたように言う。
「完敗ね…私もレイアも完全に負けたわ。」
護衛の兵士たちは心配そうに私に担がれたままのレイアを見ていた。
私は護衛の兵士たちにレイアを渡す。
「はい。お返ししますね。今は気絶してますが、しばらくしたら起きると思います。」
騎士たちは安心した様子でレイアを抱えて去っていく。
私もそのままその場を離れてサリアの元に行こうとした時だった。
「アリスさん!私、貴方のパーティーに入りたいです!」
ウェリアが大声で言う。
「…はい?」
私は聞き間違いだと思って聞き直す。
「だから、貴方のパーティー、炎の女神に入りたいのです!元々私の目的は貴方のパーティーに入る事ですので!」
ウェリアは真剣な眼差しで私を見る。
「それは良いのですが…」
ウェリアは堂々と言う。
「なら、精一杯貢献させてもらいますわ!せめて、我が姉の失態に対するお詫びって事にしていただけると助かりますの。」
「…ん?姉ですか?」
私がそう言うとウェリアが焦った様子で言う。
「あっ…す、すみません…忘れてください。決して、私がレイアの双子の妹で第五姫だとか言うわけでは無いのです。」
「あー…はい。双子のお姫様2人で来てたんですね。」
「あれ?なんでバレてるのです?」
ウェリアは不思議そうに首を傾げている。
「だって、今自分で言ってたし…」
私がそう言うとウェリアが目を丸くして言う。
「い、いつの間に?!さては、誘導魔法で私を誘導しましたね!」
「いや、そもそも、私、魔法使えないし…」
「ウソですわ!そんなに魔力があるのに魔法が使えないなんてありえませんわ!」
私はもう説明するのもめんどくさいので、放っておいてサリアに言う。
「実は今日、サリアさんに修行をつけてもらいたかったんですけど…」
サリアに事情を話すとサリアは俄然やる気になって言う。
「よっしゃ!そういう事なら、アタシに任せな!元魔闘士として、力を貸すぜ!」
ウェリアが割って入るように言う。
「ちょっと!私を無視しないでくださいまし!私も修行を受けさせてもらいますわよ!」
サリアはウェリアの格好を見ながら言う。
「良いけど、お前、魔道士じゃないのか?アタシは魔道士の魔法については疎いんだが…」
「大丈夫ですわ!その時は転職すれば良いですし、そんな事より重要なのは、これほどの力を持ったアリスが本当に魔法を使えないのかですわ!この私が見極めてやりますの!」
「そこまで言うなら、わかったぜ。」
サリアは一瞬私の顔を見て「ドンマイ」と言いたげに肩をすくめて、私たちとともに場所を移動する。
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